10
10話目です。
通り魔って怖いですよね。遭ったことありませんけど。
ではお楽しみください。
「きゃあっ!!」
突如起きた強い衝撃に江莉香は体を持っていかれそうになる。
クレアは江莉香の体を片腕で抱え、後ろに飛んで距離をとる。
「...通り魔ってレベルじゃねぇぞあんた」
異能を扱えるようになった世界でそういった異能を使って犯罪を犯すものは目に見えて多い。
そのためこういった通り魔事件のようなこともよく起きたりするのだが、この人物は比較的に分かりやすい攻撃をしてきた。
相手の強さを確かめるように。
「すまねぇな、あんたなんか強そうだったからついやっちまった」
フードからわずかに見える口が笑っているように見える。
手元では異能の力だろうか、炎のような球体を遊ばせている。
「最近力を持て余しててよ、ちょっと相手してくんねぇか」
江莉香はこの人物はヤバいと感じ、一歩後ろに引いた。
だがクレアは素直に思った言葉を口に出した。
「...不審者じゃん」
「おい待て!確かにそうだが、そんな冷たい目で見るな!」
「江莉香ちゃん」
「は、はい!?」
「天聖機動隊に電話しといて」
「わ、分かりました!」
「え?本当に電話するの?」
「当たり前だろ」
「...はぁ、まぁ遊び相手が増えるからいいや」
そう言いながら謎の人物はかぶっていたフードを脱ぎ、その顔を露にさせる。
金髪のツンツン頭に右頬についた一閃の傷跡、その瞳は青く輝いている。
「...外国人?」
「違うわ!ハーフだハーフ!、20年間ここで過ごしてきてるわ!」
「あ、そう?なんかごめんな?」
「謝らなくていいよ!よく間違えられるからな!」
「ツッコミ疲れない?」
「あんたのせいだろうが!」
謎の人物はハァハァと呼吸が荒くなっている。
一呼吸置いて謎の人物はまた話し始めた。
「そうだ、やる前に聞いておこう。あんた、名前は?」
「...そういうのはまず自分から名乗るもんだろ」
「ああ、それはすまねぇな。俺は”時鐘ガイア”ってんだ」
「そうか、じゃあそういうことで」
「ああ、じゃあな」
そう言って2人は踵を返し、歩き出しt「待てやオラァ!!」
再び振り返ったガイアがクレアに殴りかかった。
クレアはそれを半身になって避けた。
「うぉ!なんだよ!情緒不安定かよお前!」
「俺だけに名前名乗らせといて何普通に帰ろうとしてんだテメェ!」
「いや、名乗る方が悪いじゃん。なんでいちいち他人に名前名乗らなきゃならねぇんだよ」
「ぐっ!た、確かに...」
(さっきから思ってたけど、さてはこいつバカだな?)
そう思ったクレアだが、一応相手の名誉のため口には出さないでおく。
ずっと相手にするのも疲れそうなので早々に切り上げようとクレアは考えた。
「なぁ俺ら帰ってゆっくりしたいんだから今日はやめてくんねぇか?」
「それはできない相談だな、俺の体が疼いてしょうがねぇんだよ」
「発情してんじゃん」
「違うわ!闘争本能的なやつだよ!」
漫才みたいなやりとりが続く中、天聖機動隊に連絡し終え、少し離れた場所で見ていた江莉香は、
(この人たち何やってるんだろ...?)
と、困惑していた。
ご覧頂きありがとうございました。
戦闘回始まったか?と思ったらなんだこれ?
次回から多分戦うんじゃないですかね?
また次回お会いしましょう。