《高橋 准》
・高橋 准
・28歳
・12月24日生まれ
・漫画編集者
・マイルドセブン
久々の休日に、いつもより早く目が覚めた俺は、
カップ麺や、コンビニ弁当が散乱している、物置化されたキッチンで、
インスタントコーヒーを入れた。
そして、パソコンの前の長年愛用しているオフィスチェア
にゆっくり座りパソコンを起動させた。
慣れた手つきでパソコンを操作し、yahooニュースを開く。
ニュースには、今日の最高気温は、32度と記載されていた。
昨日、エアコンをつけたままで寝たので、部屋が冷えていて、
あまり実感がない。
インスタントコーヒーを啜る。
ふと、パソコンの文字が、霞んで見えた。
会社で、何時間もパソコンとにらめっこしてるせいだろう。
頭の中で、''老眼''という2文字が浮かんだ。
いやいや、まだ28歳だ。そんなことは無い。……多分。
俺は、机の上のマイルドセブンの箱に手を伸ばした。
中から、1本タバコを取り出し、
コンビニで買った安いライターで火をつけた。
パソコンの前に置いてある、
吸殻で満員のシルバーの丸い灰皿は、
確か、去年新しく買ったものだ。
……
……
「つまんねぇなぁ。」
ボソリと呟いた。
未だに、休日サービスする相手もいない。
彼女もここ何年もできていない。
友人は少なくない方だったか、地方に散らばってしまったり、
結婚して、なかなか会えなくなってしまったり、
疎遠になってしまった。
20際になった時は、漠然と、25歳までには結婚して、
27歳には、子供がいるのかな~。なんて思っていたが、
出会いもなく、ズルズルとここまで来てしまった。
早いうちに、両親が他界し、身内は年の2つ離れた姉だけになった。
姉貴も、自分の生活があるので、俺に構ってくることはほぼない。
もし、結婚を急かしてくれるような人かいたら、
今頃、結婚して、子供でもいたのだろうか。
……
……
いや……。俺には、無理か。
家族とか、恋人に生きるより、仕事に生きる方が向いている。
1本目のタバコを吸い終わり、また、箱に手を伸ばす。
しかし、空っぽだった。
さっきのが最後の1本だったようだ。
(コンビニ行くか。)
俺は立ち上がった。
寝巻きの代わりに来ている、Tシャツを脱ぎ、洗濯機に突っ込んだ。
寝室に置いてある、タンスの上から、
紺色のTシャツを取り出し、袖を通した。
黒のジーパンに手を伸ばす。
(さすがに外は暑ついかな……。)
タンスをあさり、黒の半ズボンを取り出し、履いた。
リビングに戻り、財布と携帯を尻ポケットに入れた。
玄関に行き、ふと姿鏡に写った自分が、
みすぼらしくて、眉間にシワがよった。
「はぁ。」
小さくため息をつき、
履きすぎてボロボロのナイキの黒のサンダルに足を入れた。
家の鍵と車の鍵の着いたキーケースを持ち、ドアを開けた。
(あ、エアコン……まぁいいや。)
玄関をてらす形でちょうど直射日光に当たった。
思わずたじろいだ、そのくらい猛暑だ。
俺の家は、3階だ。
エレベーターもあるが、健康のため、階段で降りるようにしていた。
平面駐車場に向かうと、俺の白いワゴンRが、
熱でへばっているように見えた。
鍵を開け運転席に入る。
モワッとした空気に、怪訝そうな顔をした。
エンジンをかけ、エアコンをつけ、急いで窓を開けた。
内心急いでも、どうしようもない。
フロント窓には、姉貴に貰った日除けがつけてある。
それを外し、助手席に置いた。
日除けのおかげで、ハンドルはそこまで暑くなっていなかった。
パーキングから、ドライブにし、車をゆっくり発進させる。
敷地から、出ようと左ウインカーを出す。
いつもは渋滞など皆無な道が、やけに混んでいた。
(そうか、世間はお盆だもんなぁ。)
世間では、今日からお盆がスタートなことをすっかり、忘れていた。
トラックの運ちゃんが、パッシングして、入れてくれた。
軽く右手を上げ、左折する。そしてハザードをたいてお礼をする。
この道は大通りに面していて、そこから高速に乗れる。
だから、この時期は混むのだった。
ゆっくりと流れているが、すぐに進まなくなってしまった。
(この道は、裏道も何も無いんだよなぁ。)
やっとエアコンが機能し、冷たい空気を出すようになったので、
窓を占める。
(タバコがあればなぁ……。)
また少し車が流れ始めた。
少し行くと、信号で、止められた。
赤信号になった瞬間、軽くお腹がなった。
(お腹すいた、昨日から食べてないし。)
右から左へ、左から右へ、車は流れる。
右折待ちしている、トラックがいた。
右端に、黄色信号になったのが、見えた。
黄色の次は、右折の矢印が出る。
トラックは右折を開始し始めた。
その時だった。
右から、右折の矢印がでたとき、
黄色い乗用車が交差点に侵入した。
トラックと、乗用車のブレーキ音と共に、
爆発音に似た音がした。
……
……
(何が起きたんだ。)
俺は言葉を発せなかった。
目の前で起こった光景に、目を丸くするしかできなかったのだ。
体が震えてる。
2.3秒、放心状態になった。
目の前で、黄色い乗用車が、トラックに突っ込んだのだ。
俺は、パーキングに入れ、シートベルトを外し、
車から降りて、少し近ずいた。
「手伝ってください!!」
青色の服を着た女性が、俺に向かって叫んでいた。
2作品目
心洗浄する物語を描きたい。