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第6話 楽しいピクニック?

「は?何であんたがそんな事知ってるんだ?」

「何でもいいから命が惜しかったら、さっさと出しなさい」


海沿いの漁師の小屋に着いた私は、即小屋の主人に先日海から引き上げた石を渡すように要求した。


本当なら、洞窟に潜って扉が開かないことを確かめ、次の町で聞き込みをしたり何やかやしてから、ここにたどり着くのが正しい道筋なんだけど。


そんなことやってられないわよ!


「本当にお前たち勇者か?」

小屋主は、海底から引き揚げた不思議な石を脅し取った一行に不信感いっぱいの視線を向ける。


「ねぇねぇ、これって完全に野盗か何か悪党のセリフだよね?」

「うるさい!文句があるなら着いてくるな!」

アイルにお約束のセリフを吐いて私はズンズン歩く。


「本当、ミナミ姫ってそればっかり」

「何カリカリしてるんだろ」

「ほらあれじゃない、あの日~?」

「そっかぁ」

「女の子って大変だねぇ」

「僕、女の子じゃなくって良かったぁ」

見た目にもフワフワしたアイルとアッシュがコロコロと笑いながら、着いてくる。


「あー!!もう、あんたたちの会話を聞いてると苛々するっ!ちょっと離れて歩いてよっ!」

私の精神安定のためよ!近寄るなっ。

「ふぁーい」

二人は気の抜けるような返事をして、前をずんずん歩くオーカーを追っていった。



「お、この道はやっと洞窟に行くようだな」

先頭のオーカーが剣をブンブン嬉しそうに振り回す。

「やだぁ、危ないじゃん。やめてよぉ」

「えぇ!ここ、さっきの道じゃんか。またイモムシ出てきたらどうするの?」


早足で海辺の洞窟に向かって歩く私の後ろから、結局キャッキャと騒ぎながら見た目はイケメンの方向音痴な三人がついて歩く。


時折すれ違う人が何の集団?と訝しげな視線を向けてくるのも腹立たしい。

別に私も好きでイケメンをゾロゾロと引き連れてる訳ではない。


「やっと着いたな」

「ねぇねぇ、そこの大きな石に座ってランチしよーよぉ。ちょうど良い感じに木陰になってる~」

「あ、僕サンドイッチ作ってきたよ。デザートもある」

「さすがアッシュ~!」


完全にピクニックですね……キミタチ。


アッシュは料理が得意なはず。

ちょっとアッシュのサンドイッチを食べたい気はするけど、ここで私が参加すると完全にピクニックになっちゃう……。


「ミナミもおいでよ~」

「玉子サンドとハムサンドどっちがいい?」

CMに出てくるようなアイドルスマイルで三人がサンドイッチやおにぎり片手に手招きしていた。

ジャ◯ーズ顔負けの爽やかさだ。


「両方!」

食べ物の誘惑に負けて私はアッシュからサンドイッチを受け取った。


§§§


「お腹いっぱいになったね~」

「今度はお寿司がいいなぁ」

「もうちょっと休憩してから行くか」

食べ過ぎた三人と私は海を見ながら、お腹をさすりながら木陰で寛いでいた。


本当、美味しいもの食べてお腹いっぱいになると幸せね~。



「良い天気だし。海風が気持ち良いねぇ」

「お昼寝したいな」

「確かに、眠くなっては戦えないしな」


三人はお昼寝モード。格好だけは勇者のように剣を抱えて眠るオーカー。猫のように身体を丸めているのがアッシュ。何で持ってたのかアイマスクを着用し、上着を枕のように丸めてがっちり眠る気満々のアイル。



「……はぁ」

連れてっても足手まといだし。

眠らせておこう。



私は深い溜め息をついて、重いお腹を擦りながら単身、海辺の洞窟に向かった。

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