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第5話 世にも恐ろしい敵!byお気楽勇者ズ

私がオーカーの視線の先をたどると……

「虫?」

ちょっと大きめのイモムシ系のモンスターがノンビリ歩いていた。


こんなの、足でも踏みつぶせるヤツじゃん……。

「先に行くよ」

私はスルーして通り過ぎた。

虫には興味はない。


「うわぁ僕、実物見たの初めて~!」

アイル、女子か?

「やだ~怖い。何か、角から黄色い液出てるっ!」

お前もだ、アッシュ。

「おっ、生意気に威嚇してんな」

オーカー、お前が普通に男子だな。


珍しい昆虫を見つけた子どもたちのように、イモムシくんに群がる初心者勇者ズ。

その辺から拾った棒の先でツンツン、モンスター?をつついて騒いでいる。


……ほっとこう。


流石にいくら駆け出し勇者でも、イモムシ一匹なら何とかなるでしょ。三人いるし。イモムシには悪いけど、何でもいいから経験値積んで少しでもレベルアップしてくれれば助かるんだけど。


と私が背中を向けて歩き出した途端。


「うわぁ、やだぁぁぁっ!」

「みっ……ミナミ姫!!」

「ミナミっ、助けてぇぇぇ……」


森の中に三人の悲鳴が響き渡った。


私が振り向くとイモムシモンスターが白い糸を吐き、三人をグルグル巻きに拘束して、爪楊枝ぐらいのサイズの凶悪な牙を振りかざしていた。


シャーシャー言って、仲間も呼んでいるようだ。


「イヤ、気持ち悪い~っ」

「増えてる、増えてる~っ!!」

キャンキャン喚くアイルとアッシュ。


オーカーは一応、糸を切ろうと剣を振り回している、が全く切れず。ますます糸がこんがらがって余計に絡め捕られていた。



「……」


弱い。

知ってたけど、弱すぎる。


勇者なのにレベル1の最初のモンスターに三対一で勝てないとは。


こいつら連れていかなくても何とか魔王城まで行けないかしら。イベントクリアは代替で何とかならないかなぁ?とりあえず、この辺の森に三人とも埋めておいて……。いや、このままイモムシのエサにして事故で処理してもらおうかしら。


私は黒い思考を巡らした。



「げっ、ミナミ姫のあの顔。絶対ヤバいヤツだよ、あれ……」

そこはムダに鋭いアッシュが叫んだ。


「ヤダヤダ、ミナミ姫~っ助けてよぉ!」

「助っ人お願いしま……っ……んむっう~!!」

もう、顔の周りまで糸が巻いてしまったオーカー。こりゃ、窒息するかな。


はぁ、イモムシもドンドン増えたきたし。

仕方ない。



火炎弾(ファイヤーボム)!」


私は集まってきたイモムシを三人ごと吹っ飛ばした。


§§§


「ねぇねぇ、もうちょっと違う助け方なかったの?ねぇってば!」

ところどころ焦げた服や傷んだ髪をつまみ、恨めしそうにアイルが訴えてくるが私は無視して歩いていく。


「それより、ミナミ。さっき僕らを見捨てようとしたよね?」

アッシュが私に不信の目を向けてくる。


「……結果、助けたからいいじゃない。文句言わないの」


大体ねぇ。

三人がかりでイモムシ一匹さえ倒せない勇者たちってどうなのよ?!


「僕達だけでいきなり、あんなに沢山増えるモンスターと戦うのは無理だよね!」

お気楽アイルがオーカーと慰めあう。


「糸、全然切れなかったもんな。初めての戦闘にしてはなかなかレベルの高い相手だった。俺たち、よくやったよなぁ」


イヤイヤ、あのイモムシくん達は多分レベルはあんたたちと同じですよ?


そんなこんなで、勇者トリオは誰一人レベルアップすることなく、今回の目的、海沿いの小屋に到着した。

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