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第47話 キメラ発見!

怪しげなフェンリス神仙の会とやらの寝座になっていた、登山口の洞窟にはもはや誰もいないようにみえた。


すっかり日が昇り昼間なはずなのに、辺りはかなり 薄暗く不吉な鳥の鳴き声が聞こえる。


……もう、ボスがやられて下っ端は逃げちゃったのかしら。



「誰もおらんな」

「そうね。それよりいい加減下ろしてもらえる?」

私の言葉は無視し、嬉しそうに私を抱えたカーディナルが答えた。

「ん?では、このまま我が城へ行くか?」

「行かないって言ってるでしょ!」


私が両手両足を振り回すので、カーディナルはようやく私を地面に降ろす。

「どうせ我が城に最後には来るのだから、良いではないか」

「今行ったって、あんたを倒せないでしょう!そもそもラスボスがこんなところまでノコノコやってくるんじゃないわ!」

「待ってるのはもう飽きた。だからこうして手伝ってやってるではないか」

「だからそれがおかしいって言ってるでしょ?」

「可笑しかったら笑えばよい」

「……もう良いわ」

あきらめて私はカーディナルにベタベタ触られながら洞窟内を探索しはじめた。

後ろから無言でフォグルが着いてくる。


勇者たちは予想通り一人も着いてこなかった。


本来、ラストダンジョンで倒すべき魔王、その圈族の人狼。そしてそいつらを倒す予定なのに魔王に無意味に惚れられたチート聖女。


……この組み合わせ、何?



「音だ……」

フォグルの常人を超越する聴力が何かを捉えた。

「何かいる!」


闇が揺れる。

物陰から白い何かが現れた。


「なにこれ」

「使い魔だ。ラスカスが作ったんじゃないか?」

「……何の生き物?」

「キメラ……か?」

白い毛玉に不思議な羽。白いフサフサのしっぽ、ちっちゃい耳。うるうるのおメメ。短い手足。背中近くによくわからない穴が空いている。


「えい」

ヨチヨチ歩く、その生き物を軽く蹴るとアッサリ転がった。


……バタバタ。


自力で起き上がれないらしい。

「バランス悪っ」


白い生き物は

「きゅきゅーん」

と媚びるように鳴いた。

ビミョーに可愛い、かも。とりあえず、毛皮が抱き枕とかになるかなぁ。


「白いアザラシベースに白いクリオネ、白キツネ、ホワイトベア、ベルーガ……とにかく白いものがやたらくっつけてあるな」

フォグルが呆れたように言う。


「なんだ、ラスカスの実験体の失敗作ではないか。残り物をくっつけたんだろう。こやつは今夜の鍋にでもしたら良い」

カーディナルが興味なさそうに呟いた。


「えっ、ヤダ~。これ鍋にするの?気持ち悪い」

「好き嫌いは感心せんな」


「きゅきゅきゅーっ!!」

喰われそうと知って、ひっくり返ったまま焦る白い塊。


「コイツ絶対不味いですよ、魔王様」

フォグルは白いキメラの臭いを嗅いで嫌そうに主人に進言する。

「じゃ、生ゴミか」

「まぁ、そういうことになりますねぇ」

カーディナルが目前のキメラを消滅させようと右手を挙げた。


「ストーップ!!」

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