第24話 仲間割れの策略!
「鬱陶しい女たちね」
私にジリジリと近寄ってくるローズINアンテッド。
あ、鬱陶しいで思い出した。手に入れ損なった1500G!あの特徴のないのっぺりとした顔の牧場主の名前がドラブだったわ。そして、ドラブを振ったのはローズじゃなかったかしら?
フフン。
……さぁて、そこの女子、仲間割れしてもらいましょ。
「初めましてローズ。私がフェズの新しいカノジョよ?」
「へぇっ?」
急に私に抱きつかれて、キョトンとするフェズ。
(いいから、合わせなさいよっ)
私に靴の爪先でグリグリ踏まれて、フェズは涙目で頷く。
「悪いな、ローズ。僕の本命はこの娘なんだ」
私の腰にさらりと手を廻して、フェズは慣れた手つきで自分に引き寄せる。
いつまでもガタガタしてるんじゃないわよ……。
密着するとフェズの身体がまだブルブル震えてるのがわかる。
怖かったのね。まぁ、イイ機会じゃない?女をナメるんじゃないわよ。
「でも、ローズも新しい彼氏出来たんじゃなかった?ドラブって言ったっけ。牧場やってる男!」
フェズに抱き寄せられながら、私はアンテッドチームに予定通りの爆弾をぶっこんでやった。
「「えっ!」」
「ドウイウコトダ?」
「ドラブハ、カレシジャナイ……!」
ほぉら、動きが止まったよ~。
「え、ごめんね。ローズ。またワンナイトだっけ?」
「オマエガ、ドラブサマヲ、ワタシカラ、ウバッタオンナ?」
「チガウ!アレハマチガイダ!」
やっぱりねぇ~。フェズに振られてやけ酒でも飲んでドラブとマチガイをやっちゃった、と。
ドラブ、執着してたからそうかな、とは思ったけどビンゴだったのは我ながら、ちょっとオドロキ。
よし、そろそろ引き剥がせるかな。
「ローズには悪いけど、フェズはあきらめてくれない?あなたにはドラブが居るじゃない?」
私はフェズの首に手を回し、ローズINアンテッドに見せつけるようにキスの真似事をした。
モチロン、口元。頬っぺたにチューだが、角度的に彼女たちからは熱烈に口づけを交わしてるようにしか見えないことは計算済み。
の筈だったんだけどっ!
吊り橋効果なの?恐怖がMAXに達していたのか、フェズが唇をずらしてきやがった!
「はぁ……ミナミっ!ミナミっ!」
熱っぽく浮かされたように私の名前を呼びながら、深く唇をあわせると、しつこく口腔内を舐め回す。
「ん~!んっんっ!!」
習性のように舌を絡めてくるからタチが悪い。
しかも、ムダに上手い……。
ヤバい。こっちが理性とんじゃったらどうするのよっ!蕩かすのは、私じゃなくてあっちでしょ!
(「こら、バカ!本当にしてどうするのよ!」)
「いってぇ……!」
私はフェズの舌に噛みついてやった。
「コノオンナ!」
一瞬私たちに掴みかかろうとするが、すぐに反対方向にのけ反るローズINアンテッド。
「ドコニイク?ローズ!ドラブサマノ、トコロニハ、イカセナイ!」
「チガウ!ドラブノ、トコロナンカ、イカナイ!」
よし、離れた。今よ!
「聖なる十字架」
ローズから離れて、行く手を阻もうとしたアンテッドを浄化した。
「オ、オオ……オオ…ン……!」
ローズに憑依していたアンテッドは悲しげな雄叫びをあげながら、パラパラと灰になっていった。
チャリン……。
地面に薄くくすんだ金色のティアラが落ちる。
地面に崩れ落ちたローズは顔色はまだ、真っ白だけど呼吸は規則正しいリズムを刻んでいる。
ま、 そのうち、目を覚ますでしょ。




