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第22話 口説け!アンテッド!

「あれ?あの娘……」

森を焼きつくすなんてやり過ぎだ、と報酬を出し渋る冒険者ギルドからむしりとるようにクエスト達成報酬をゲットした帰り道。


北の墓地の近くでフワフワと白いドレスの女が裸足で歩いているのが見えた。

目は虚ろで焦点はあっておらず、何かに突き動かされるようなぎこちない動きで歩いている。


「女アンテッドが憑依してる?」

女の頭にはクエスト依頼にあった金のティアラが輝いていた。


「どうりで墓地に居なかったわけだわ。生きてる女に取り憑いてたのね」

「あの女、ローズだ……」

フェズが名前を告げた。


「知ってる娘?」

私の問いにフェズは頷く。

「あぁ、僕のことが好きだと言ってくれて付き合った」

「……」

私は深くふかーく溜め息を吐いた。


「一回手を出して、すぐに別れたのね」

「どうして知ってる?」

「私には全く理解できないけど、フェズのポリシーみたいなもんでしょ?一回寝た相手とは、その後、絶対に付き合わない。だからハンターのように手に入るまでは必死に追うのよね。狩人の習性みたいに。そして、手に入ったら興味がなくなる。因果な性癖をお持ちよね」

「レドに聞いたのか?」

「ま、そんなところかな。私、絶対にあんたみたいなタイプは女に刺されて死ぬと思うわ~」

「……」


「とにかく、あのローズとかいう女の子からアンテッドを叩き出してとっとと浄化しなくちゃね」

「ローズごと浄化したらダメなのか?」

「憑依した状態で無理やり引き剥がして浄化するとローズは無事じゃすまないわよ。それでもやるの?」

「わかった。じゃあどうやってアンテッドをローズから出すんだ?聖女姫」

「そんなの決まってるでしょ、勇者様?」

「えっ……もしかして?」

青い顔をして後ずさるフェズ。


「ヤるのよ、勇者フェズ。ここであなたの力を発揮しなかったらどこでするのよ?」

心底嫌そうな顔をしているフェズの背中をアンテッドが歩いていく方向へ私は強く押し出した。

「アンテッドを口説いて、ローズから出しなさい?何ならアンテッドを抱いても構わないわよ?私が最後まで見届けてあげるわ」

「悪趣味な聖女姫だな。綺麗な顔して言うことは鬼……」


「何か文句あるの?」

結局、お約束ワードをぶつける私。


本当に勇者たちと居ると性格悪くなりそうで嫌だわ~。


「大丈夫。アンテッドだろうが何だろうが、相手はあんたの大好きな女。何とかなるわ。いや、何とかするのよ!」

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