第18話 酒場のクエスト!
「まぁ、初期のクエストならこんな値段かぁ」
私はコーラルリーフの城下町の酒場のカウンターで金になりそうなクエストを物色していた。
「そこ一列、もらえます?」
コーヒーチケットのように並べられているクエストの受付を酒場のオヤジに依頼する。
「は?お嬢さん一人かい?」
「まぁ、今は」
「これ、C級以上の冒険者のクエストだけど大丈夫かい?」
あからさまにジロジロ私の全身を見てくるマスター。
まぁ、当然かな。若い女一人だもんね。
ちなみに私、この世界ではS級冒険者。技もチートレベルなので、出来ないクエストは多分ない。
「大丈夫。パーティーに勇者が五人いるから」
「は~!勇者が五人も!?そりゃ、豪勢だな。なら大丈夫か」
私の発言にあっさり受付の判をつくオヤジ。
大抵、勇者が居る、というと皆黙るのよね。
勇者様はこの世界では最強の職業だから。
実はレア過ぎる職業で、普段殆ど出会わないから、イメージだけで最強説がまかり通ってるのが真実なんだけど……一般人はそんなことは知る必要はないわ。
「ん?」
タデの実を大量に買い取りますぅ?
下段のクエスト、報酬が安過ぎて私がスルーした場所に長期にタデの実を買い取るクエストを発見。
依頼者はコーラルリーフ城下町近くのフリント牧場主……。
「怪しすぎじゃない?」
帰ったらレドに探ってもらおう。
「マスター、そのタデの実のクエスト。どれぐらい前から受け付けてるの?」
「あぁ、これかい。ちょっと前から出てるやつだよ。お嬢さん、安いけどやるかい?近くの森にたくさん落ちてるのを集めて持っていくだけだ。簡単だから人気だよ」
「いや、やめとく。なんとなく気になっただけよ」
人気あるんかい。じゃ、さぞかしたっぷりタデの実は集まったことだろうねぇ。
とりあえず、今日は先に財布をあっためることにしますか。
一枚目は、と。
何これ。気持ち悪いイラスト。
あ~、アンテッド討伐かぁ。
『城下町北の墓地で徘徊するアンテッドの討伐…… 墓地にアンテッドが巣食ってしまった。昼間もアンテッドが襲ってくるため、墓参りも葬式も出来なくて困っている。
因みに、アンテッドのボスは若い男を襲う傾向あり。金のティアラをしているという情報がある。倒した場合、その金のティアラを証拠として提出されたし』
若い男好きのアンテッド?アンテッドまでこの世界はイケメン好きなの?
まぁ、墓地を囲って炙っちゃえば一瞬で片づくかな。
私は酒場を出て、さっさと北の墓地に向かった。
§§§
「面倒くさいからまとめて聖なる十字架!」
墓地の入り口に立った私は墓地全体に結界を張り、墓地に聖属性の魔法を放った。
ま、これでアンテッドも蒸し焼き状態よ。
「ありゃ?」
小物のアンテッドは一瞬で浄化されたっぽいけど、肝心のボスが居ない。
う~ん、これじゃあ報酬貰えないじゃない。
墓地に居ないってことは、どっかに行っちゃったのかしら?
まぁ、仕方ないわね。諦めて次のクエストへGO!




