第16話 タデの実の秘密?
「という訳なんです」
「……要するに、何にも原因はわからない、と」
「はい」
「う~ん」
レドの説明を一通り聞いても、私は攻略情報を思い出せなかった。
ここ、飛ばしちゃったイベント……魔石集めに関係なかったし、馬は要らなかったんだよね。
結構、序盤はマメにクエストをしてお金があったらから、乗り合い馬車で移動してたけど……。
とてもじゃないけど今、馬車代なんて払えないなぁ。
「やったぁ、麺だぁ」アッシュ。
「もう、僕食べれなぁい」アイル。
「じゃあ、アイルの分くれよ」ウォル。
「ウォル、お前少しは手伝え!」オーカー。
少し離れたテーブルではお気楽勇者ズが、厨房から出てきた特産品の麺に大騒ぎ中。
「あぁ、タデの実の麺じゃない」
まぁ、製法も食感も蕎麦に近いかな。色は蕎麦よりも結構赤っぽいけど、温かいのも冷たいのもどっちもイケるみたい。この大陸のあちこちで立ち食いタデ屋ってよく見られるぐらい、結構ポピュラーな食べ物。
「本当にあの子たち、よく食べますねぇ」
「ちょっとは遠慮して欲しいわ。全く、恥ずかしいったら…」
「う…っ…ぉぇっ」
「大丈夫っ?ウォルっ!」
突然、真っ赤な顔をしてウォルが立ち上がった。
「苦しい…っ!腹痛い……気持ち悪ぃ~」
「単なる食い過ぎだな」オーカー。
「でもやけに目が赤くない?」アッシュ。
「まて、吐くなっ!勿体ないじゃん」アイル。
本当、小学生の遠足みたい……。
「うわっ、痒い~っ!」
「今度は何?」
大きくなったお腹を抱えて、床でウォルが全身をかきむしって悶えていた。
「掻いちゃダメ」
アッシュが濡れタオルを厨房から貰ってきて、介抱していた。アッシュって、本当に気のつくヤツ。
ん?
ウォル。発疹出てない?
わぁ、手足ブツブツじゃん。
「ごめん、フロス君。すぐにお医者さん呼んでくれる?」
「え?」
「多分、アナフィラキシー。タデのアレルギーだと思うから念のため、薬貰ってきて」
「はいっ」
慌てて駆けていくフロス少年。
「ほら、見せて」
床に転がって唸るウォルの肌をみると自分で掻きむしったこともあり、肌が発疹で盛り上がってみみず腫れになっている。
「あ~あ、酷くなるよ」
「うぅ~っっ!痒い~!」
「ちょっと、大人しくしなさい」
『治癒聖水』
一応、毒消しと回復をかけてやった。
アレルギー源も毒みたいなもんじゃない?身体から出すか消せば多少はマシになる、はず?
私の回復魔法が多少は効いたらしく、腫れ上がってた肌の赤みは引いてきた。
「発疹消えたんじゃない?」
「痒いのはおさまってきたけど、まだ気持ち悪い~」
「ウォル、あんたどんだけ食べたのよ…」
確かにタデの実は人によってはアレルギーが出る食べ物ではあるけど、大量に食べなければ余程大丈夫なはずなんだけど…。
「お医者さん呼んできましたよ~」
ウォルテールの世話はフロス君の呼んでくれた医者とアッシュたちに任せ、私はレドと馬が暴れた厩舎を見回りに出た。




