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第14話 先行きの不安!

「何してんの?ミナミ姫?」

「大丈夫?」

気がつくとアッシュが私の目の前で手をヒラヒラとかざしていた。


勇者たちが呼びにきてくれるまで、暫く放心状態で私は厩舎の裏にへたりこんでいたようだった。


「何かあったの?」

「……うぅん……何でもない」

首を振ってなかなか立ち上がらない私にアッシュが手をとって立ち上がらせてくれた。

臆病者のクセに本当に一番、気のつくヤツ。



「唇、腫れてるよ?」

「……え?」

顔をそっと寄せて私に囁いてきた。アッシュの顔がほんのり赤らんでいる。

私は慌てて口元を擦る。


やだ、まだ、濡れてる……。


唇を触るとさっきの痺れるような感覚が甦ってくる。恥ずかしくて、皆の顔を見ることが出来ず顔を伏せた。


「何?あのカオ……やっばぃ、何かミナミ姫、エロくね?」

頬をそめて、顔に手を当てて騒いでるのはウォル。

「確かに、何だろうね。普段皆無なのに、この色気…」

失礼なことをいっているのはアイル。

「腹空きすぎておかしくなったのかな、俺……どうしよう……」


「早く行かないとご飯、冷めるぞ?」

一番、何も気づかないのはオーカー。



「ごめん、大丈夫。早く行こう」

私は下を向いて、皆を促して一緒に歩きだした。


皆の一番後ろを歩いていると、隣にいつの間にかアイルがくっついてきた。

「さっきまで誰かと居たんでしょ?何かされたの?」

下を向いて歩く私の顎を突然、くいっと持ち上げた。

彼にとっては珍しく真面目な表情で覗きこまれて戸惑う。


「やめてよ」

アイルの手を振り払うが、自分でもいつもより力が入っていないことがわかる。

「わかった。何されたかはもう聞かない。でも食堂行く前に顔洗ってきたら?」

「……どういうこと?」

「村人に被害者が出たら困るでしょ?」

「……?」

「勘違いされて襲ってくるバカがいるかもってこと。この村ごと吹っ飛ばしたら困るんじゃないの?」

「……わかった」



食堂につくとすぐに化粧室を借りた。

鏡に写る自分の顔をみて愕然とする。


こりゃあ、アイルに言われるはずよ……。


鏡に写る自分の顔……。


瞳は潤み、頬はほんのり赤く染まって、半開きの唇はまだ赤く腫れている。

快感の名残か、自分でもぼぅっとした表情。男を誘っているような物欲しそうな、オンナの顔。


これはヤバいわ。


魔王の淫猥な魔力に当てられたのだろうか。

これ、18禁のエロゲーじゃなかったわよねぇ。


個別の勇者たちとくっつくルートとハーレムエンドはあった。


私はどのルートもやってないけど。

エロゲーほどじゃないけど、勇者たちとヒロインの朝チュン系はあったんじゃなかったかな?



最短ルートで魔王にアタックしてご褒美勇者にたどり着くことだけが目的だったから、ラブイベントとかは全部とばしてきた。特定勇者をパートナーにしなくても行けちゃったんだよね。ヒロイン強すぎて。


おかげでほとんどの勇者と親密度も好感度も何もかも全く上がらないまま、エンディングだったの。


ただ、魔王にヒロインが手を出されるルートなんて裏攻略にもなかったと思う。


この展開、未知だわ~。


バシャバシャと勢い良く顔を洗ってから、私はもうとっくに先に食べはじめている勇者たちの元に戻った。

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