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第11話 アッシュの兄はどこ?

「ミナミ姫ぇ、まだ村につかないの?」

「う~ん、もうちょっとかな?あんたたち結構ノンビリ移動してるからね」

主街道から外れて道が細くなり、周囲には小屋一つ建物も見当たらない。うっそうとした雑木林が続き、旅人とすれ違うことも皆無。

夕暮れ時が近づいてきたこともあり、薄暗く不気味な雰囲気が漂って、特に怖がりのアッシュはビクビク歩いていた。


「ほら、アイルがすぐ疲れた、お茶したいってノンビリしてたから遅くなったんじゃね?」

「だって、足が痛いんだもん。ウォルだって、みやげ屋の試食を意地汚く食い回るから遅くなるんじゃない」

「俺のは味見だ、味見」

「今は勇者やってるんだから味見とかいらないじゃん」

「うるせー、お前だってちょっと歩いたぐらいで、ピーピー言って。ちょっとは鍛えたらどうだ」


あ~、アイルとウォルはすぐ喧嘩になる。

どっちもどっちよ。


「レドが見つかるといいなぁ」

「たぶん、兄さん一人だったらそんなに遠くには行ってない気がするんだ~」

「次の村か町に居るといいな」

「そうだね」

オーカーに穏やかに慰められ、落ち着くアッシュ。

確か、この子たち幼馴染じゃなかったかしら?

アイルとウォルが煩いから、和むコンビだわ~。ビクビク、ノンビリしてるから苛々しちゃうこともあるけどね。



「優先順位はレドよ。でもフェズとロンサールも探せるといいんだけど……」

この世界では会ったことはないんだけど、ゲームで散々付き合ったので何となく、何処にいるかは予測がつくんだよねぇ。

あと、イベント的にこの村か、次の城下町に三人とも絶対居るんじゃないかという確信が私にはあるんだけど。

シナリオ通りじゃなかったら、ハズレね。


「三人とも別行動かな?」

「行動パターンが三人とも全然違うもんねぇ」


そう。特にフェズとロンサールは真逆な感じの二人だ。

女の子をみるとひたすら口説きはじめるフェズ。必要なことすら、一切口を開かないロンサール。

多分、フェズは大きな町の酒場で女の子をナンパしてるだろうし、ロンサールは無言で街道を黙々と歩き回って迷子になってる気がする。



なんで、こんなバラバラと何人も勇者が送り出されているかというと、すべてははじまりの村ティントの村長のせいなの。


村長は古い倉庫から古文書を発見した後、すぐに「聖女召喚」の儀式を試してみたらしい。


が、何日たっても誰も現れず。


現れない聖女に業を煮やし、順番をすっ飛ばして適当に村に滞在していた若者レドグレイ、ロンサール、フェズを勇者として勝手に選び、魔王討伐に送り出しちゃったんだって。


その後に、なんか古文書に七人も勇者が要ると書いてあったことに気がつき、また適当に二人選んで勇者として送り出したらしい。それが、アッシュとウォルテール。

アッシュは怖がって村から出なかったみたいだけど。


それから、数日後に私が聖女召喚の効果があったのか、よくわからないけど泉に倒れていたらしい。


慌て者のウォルはその間に一人で洞窟に出かけてその間に罠に嵌まったっぽいわ。


それで、聖女のお伴の勇者があと二人足りないだろう、とまたオーカーとアイルを勇者に仕立てあげ、怖がってたアッシュもつけて勇者三人を私と一緒に村から魔王討伐に送り出した、というのが今回の顛末。


村長のフライングで、だから勇者七人がバラバラと送り出されたってわけ。



一応、村長の勇者を送り出す儀式も意味があって、それぞれ勇者たちに初期特殊能力が付与されるのよ。

その人物の元々の能力や願望が反映された力なんだけど、これが戦いにはどれもあまり実戦向きじゃなくて…。


だけど、アッシュの兄、レドの力は今回、使えそうかな。


生き物が大好きな彼は、どんな生き物とも仲良くなる力を勇者の儀式で付与されているの。



……野生の馬、捕まえてくれないかなぁ。乗れたらラッキー、乗れなくても捕まえて売り飛ばしたら、路金の足しになるでしょ?



ゲームプレイ戦闘中は、モンスターとでさえ仲良くなってしまう彼の力は使えるようで、全く使えなかったけどねぇ。

彼より上のレベルだと効かないうえ、仲良くなると倒せないのでペットが増えていくだけ。結局、レベルは一つも上がらないまま、エンディングだったわ……。

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