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第10話 急がば回れ!

「肉ばっかり反対。絶対魚!さかな!さっかっな!」

「暑いから麺類がよくない?」

「ここらへんの名物って何だ?」


最強戦姫と古文書に予言されたチートな聖女姫である私の後を、ワイワイ騒ぎながらついて来る最弱勇者が四人。北の山岳地帯の祠を目指して、東の街道を北上中。


まるでちょっとピクニックに来ているような空気感の道中で繰り広げられているのは、主に次のご飯メニュー決めに関する口論。


「ウォル、昨日も肉食べてなかったか?」

とオーカー。

「だから、ウォルは頭が悪いんだよ。魚を食べると頭が良くなるらしいよ。山盛り食べなよ?」

とアイル。

「山盛り食べても、アイルには全然効果出てねーじゃないかっ」

ツッコミはウォル。

「なんか、疲れちゃったからさ。今日こそさっぱり麺にしようよ」

最後はアッシュ。


四人が一斉に喋るから、うるさくて仕方ない。


「ねぇねぇ、ミナミ姫は何が食べたい?」

「あんたたち!さっき、昼飯食べたばっかじゃん……」

まだ、私のお腹はパンパンよ。食べ物の話だけでもゲップが出るわ~。


「だって他に楽しみないんだもん。ずーっと同じ景色ばっかり、飽きちゃった」

口を尖らせて文句を言うのはアイル。キミは子どもか?

旅っていうのは大体そんなもんだ!


「もうすぐ町に着くわよ。そこそこ大きかったはず。そのあとはシーモス山に行くし、ちゃんと用意していかないとね。どちらにしろ移動手段が欲しいわ」

「馬とか、馬車とか?」

「そうね。でも、そういうモノはお金が要るのよ」

こいつらのエサ代……もとい、食費が結構かさむ。村長に村を出る時、いくらかは持たされたけど段々路金も底をついてきた。


「寄り道するしかないかな……」

私は街道の表示を確認し、分岐点で南下する方の道を選んだ。


「あれ?こっちだと城下町のルートから外れない?」

アッシュが慌てて駆け寄ってくる。

「いいのよ、こっちにテラローザって馬の有名な生産地があるの。町の前にそこの村へ寄るわ」

「え。お金ないんでしょ?脅し取るの?」

心配そうにアッシュが首をかしげる。

「人聞きの悪いこと言わないで。譲って貰うのよ」

「ミナミにとっては脅す譲るも一緒じゃねーの?」


「じゃあ、あんたが私の馬になる?」

素早くウォルの足を払い、無様に転んだ背中に私は足を乗せる。


「何すんだこらぁ」

ジタバタするウォルの背中を、グッと力を込めて踏みつけた。

「ごめんなさいは?」

「……どうもすみませんでしたっ!」


ひーひー言いながら、私の足の下から抜け出すウォル。

私もこの遊び、飽きてきたなぁ……。


「別に脅し取らなくても、野生の馬を捕まえたらいいんじゃない?市場に出せなかった馬が、テラローザでは野放しにされているって聞いたことがあるよ」

アッシュの言葉にオーカーが頷く。

「それはいい案かも。でも野生の馬って人を乗せないんじゃなかったか?」

「兄さんが居たらなんとかなるんだけどなぁ…」

「そうだな。アイツら、今頃何処にいるんだろうなぁ」


オーカーとアッシュのやりとりに私は頭を抱えた。

そうね、まだはじまりの村、ティントから送り出された勇者が三人いるんだった……。


思い出しちゃった。そっちも回収しないとイベント発生しなくて先に進めないんだったわ。


食費、これから一体どれだけかかるのかしら……。

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