その2番「嫌な予感・・・」
「――そ、それはきっと・・・空耳ですよ!空耳」
優さんは、突如現れた少女―潤奈さんに笑顔を見せました。
しかし、潤奈さんのその冷たい、落ち着いた表情は変わりません。
「ねぇ・・」
潤奈さんは、優さんに近づきました。
「お願い、生徒会に入って。」
ぎゅうと、潤奈さんは優さんの手を握り締めます。
その目はきらきら輝いていて、眩しく思えました。
―――カチッ!
なにかのスイッチが入る音が聞こえました・・・
嫌な予感・・・私は、優さんの顔を見ました。
「嫌に決まっているでしょ?後、顔近い。触らないで、私に。」
冷たくなりましたーー!!!!
もしかして、さっきのスイッチが入る音って・・
優さんだったんですかーー!!
黒くなりますスイッチ。ですね、これ。
「え〜、そんなこと言わないでさっ、入ってよ♪」
さっきまでの清楚の感じがーー!!!
なくなっています!なんか、ハチャケタ感じになっています!
「嫌っていってんでしょ、このドデカ」
優さんは、そう言うと潤奈さんを足で蹴り飛ばしました。
――黒い、黒いですよ・・・優さん・・・
「ドデカって酷いなー、お願い。」
潤奈さんは、優さんの手を引っ張りました。
「っ・・・だからっ・・触るなって言ってるだろぉおおお!!!!」
優さんがそういったとたん、優さんの手前の地面が深く穴が出来ていました。
潤奈さんは、これを見て危険を感じたのか、逃げていきました。
潤奈さんの顔が微妙に笑っていたのは気のせいでしょうか・・・?
「・・・優さん、もしかして―――」
「あ、分かった?」
優さんは、さっきまでの姿はなくなり、微笑みました。
「私さ、生まれ持っての怪力なんだ。」
薄暗い部屋の中―さきほど、優さんに生徒会に入るよう頼んだ潤奈さんがいました。
薄暗くて、よく分かりませんが、潤奈さんの後ろには三人、人がいます。
「くっ〜!あの子すっごい!なにあの怪力っ!」
「落ち着いてください、かいちょー」
少年が、止めに入ります。
笑顔で、潤奈さんを止めに入りますが、潤奈さんの興奮は止まらないようです。
「確かに、あの子すごいですね。潤奈さっ・・・!!」
もう一人の小柄な少女は、そういった途端足にカーペットを引っ掛けてしまいました。
ドダン!という音が静かな部屋に響きわたり、少女は鼻を押さえながら立ちました。
少女の隣にいる、無愛想な顔をしている少年は黙って見ているだけです。
「よーし!なんとしてでも!あの子を入れさせるわよーーー!!」
潤奈さんは、大声で叫びました。
周りにいる、三人は少々苦笑いしながら潤奈さんのことを見ていました。
「で、でも、『アレ』を持っている人間は・・・」
「もぉ、黙りなさい、音葉この子の怪力があれば、『能力者』がどうとか関係ないでしょ?」
「それもそうですが――彼女も困るのだと思うのですが。」
潤奈さんの、体だけ・・・時が止まりました。
音葉と呼ばれた少年は、相変わらず苦笑しながら潤奈さんを見ています。
「音葉くんの言ったこともあると思うけどさ、怪力だけじゃあ和泉たちには付いてこれないと思うけどな」
小柄な少女の発言で、潤奈さんの周りの空気が冷たくなります。
「もぉ!じゃあさっ、つければいいじゃない!あの子に!」
「ちょっ!それは、いくらなんでも――」
「会長・・・やめな」
音葉くんの止めと、今まで無口だった少年の二人が潤奈さんの計画を危険と感じたのか、説得しています。
潤奈さんの周りは、うるさくなり始めました。
「――うるさいわね!やってみなきゃ判らないでしょ!?とりあいず、やるの!いい!?」
「「「――会長がそういうならば」」」
音葉くん、小柄な少女、無口な少年の声が合いました。
――(会長の命令は、どんなことでも従う・・・)
この考えは・・・間違っていると思いますが―
どんなことをこの四人はやるのでしょうか・・・?
どちらにしても―優さんのことですよね・・・