しゅきしゅき春琴ちゃん
私は、小説で美少女を書きたくない。
美少女とは、嘘っぱちである。何か男の理想を体現したようなあへあへしている様に飽きがきたのだ。
私が書きたいのは、そこらの道で座りこんでいる女であり、常に腹痛を抱えているような頑張り屋である。
それでも書くけどね。あへあへしてるのもさ。時には重要だからね。歴史的に見てもさ。
谷崎潤一郎は嘘くさい女の子を沢山書いた。春琴ちゃんみたいな気位の高い娘が、どこの世界線におるというのか。居たら教えて欲しい。蹴られにゆくから。
ライトノベルのように書かれた女の子は、二次元に位置し、現実の女の子は三次元に位置する。 この中間を推移するのが多分丁度いい塩梅ではないかと個人的に思う。
そもそも二次元美少女が溢れる現状ってどうなのだろう。
きらいきらいしゅきしゅき……
本当はどっち?
私は、しゅき。
私が子どもの頃、アニメというのは今より遥かにマイナーなジャンルだったような気がする。隠れてこっそり観る少女革命ウテナが背徳的に感じられたのだった。 親に知られるとまずいと本能で悟っていたのかもしれない。
日の目を見ないことで、輝く分野も存在する。私はどちらかというと、日陰ものだから、そういうものに敏感な方かもしれない。
当たり前じゃないものが当たり前になったら、どうなるのだろう。 春琴ちゃんが現実になるのか。喜ばしいような、そうでもないような。