ありきたりな話
昔書いた長編にポイントが入ったので驚いている。
きらり奔るというタイトルのものだが、とある新人賞に向けて書いたものだった。残念ながら一次で落ちたのだが、こうしてどなたかの琴線に触れたとしたら、労も報われるものである。感謝申し上げます。
一応、ヒロインのモデルは私の中学時代の先輩である。
中二の選択制の授業で音楽をやっていた私の所にある日、杏仁豆腐を持ってこられたのが始まりであった。
「杏仁豆腐食べなよ(先輩)」
「いや……、いらないです(私)」
「え?(先輩)」
「え?(私)」
だいたいそのようなやり取りが行われ、話をするようになったのがきっかけであった。彼女は吹奏楽部の部長をしていてきれいな人だった。
何故手作りの杏仁豆腐を持ってこられたのか正確にはわからないが、その授業に吹奏楽部の部員がいたので、その差し入れの意味合いがあったと推測できる。
こうして書くとラノベの一幕のようである。ちなみに同じ塾にも通っていたから一時期は頻繁に顔を合わせていた。
当時も今も私は口下手だから、彼女が一方的に話すだけだった。何を話されていたか覚えていない。そのうち彼女が卒業してそれきりになった。
と、まあ、どこにでも転がっているようなありきたりな話だ。
今でも彼女の面影を引きずっているのか自分でもわからないが、あの時話かけてくれたことは鮮明に覚えている。




