アナログとハイテク
すずめの戸締りを観てきた。
新海誠監督の最高傑作! ってcmで煽っていた気がするが、どうなんだろう。私は天気の子の方が好き。でも今の時代ならではの部分もあるので、駄作かというとそうではない。
異界から現れるミミズを封じる閉じ士と出会ったすずめは、災害を防ぐために旅に出る。
異界である常世に通じる扉には要石という封印があり、それが破れると地震が起こる。
封印が破れる場所は廃墟などの忘れられた場所であり、そこに鍵をかけることで封印が完了する。
鍵を使って戸締りをする行為はアナログであり、主人公のすずめが人々と交流するシーンもアナログ的な趣きがある。震災の爪痕と、対比としての都市の流動性、スマートフォンなどのハイテクが混雑するのも興味深い。
全体のテーマとしてはトロッコ問題だと思う。誰かが犠牲になることで、平和が保たれる。まどかマギカの頃と変わってないといえば変わっていない。ブルアカでもトロッコ問題をやっていたが、強引な解決という点ではすずめも同じレベルだった。そこは不満。
これはアニメという媒体の限界というよりは、我々という物語の限界を提示していると思える。
散々命を軽視しておいて、政治が今更産めよ増やせよと号令をかけても何も響かない。
素人芸に見えるVtuberがなぜ流行るのかよくわからなかったが、物語の押し付けに反発している可能性がある。
これが僕たちの王道とか、なろうに押し付けられても反吐が出るし、それと同じ心境なら理解できる。
戦争と平和、アナログとハイテク、理系と文系、色々混ざり合ってわけのわからない時代である。
アークナイツの無理おじも最強の騎士にして社畜という設定を持っている。封建制と資本主義の混ざり合ったアークナイツの集大成みたいなキャラともいえる。
この不安定な時代、どちらかに触れて破局を迎えるのか、新しいものが生まれるのか私にはわからない。
生きるべきか、死ぬべきか。そんな問いは創作の中だけでしてもらいたいものだ。