法定速度
今、大学生のカップルがトロッコに乗る小説を書いている。トロッコについているレバーをひくと、スピードが出ちゃうのだ。
この内容に迷っているわけではないのである。一度書き始めたら、最後までやると決めている。
ここにこんな事を書いている時点で迷っていそうだが、まあ迷っているのかもしれない。
何でこんなの書いているのか。何で小説書いているのか。よくわからん。
書きたいことは尽きないし、何とか一つ一つ完成させて行きたいのだけれど、燃え尽きなのだろうか。
至上のものを作りたいという欲求はあるけれど、どうしても今この時に満足のいく仕上がりにはならない。
パーフェクト濱野乱になりたいけれど、パーフェクトはつまらないのでそこそこでいいと思う。
そこそここそこそやりたいわけで、まあいいや。今のところこれで。気張るとろくなことないし。
そもそも私の場合、小説書き始めた動機が不遜である。
大学の講義をサボって読んだ竹宮ゆゆこの「とらドラ」に触発されてここまで来たのである。これくらいなら、私でも書ける。そういう勘違い阿保が全宇宙にどれだけいるのだろう。まあそこまで珍しくもあるまい。
とらドラを読まなかったら、どうなっていただろう。どうせ碌な人生は送ってはいないだろう。半死人のようなものだったし、今でもそうだが。
トンネルを抜けても、雪国は期待しない。楽園もない。煉獄もない。なにもない。私は案外何も持ってはいない。 誰かが持っているものに、期待もしない。何もないところに道を作りたくない。どうせ誰かが私を踏みにじる。
私はとらドラを踏みにじって、前へ進んだのかもしれない。