イリュージョンっ?!
修学旅行で、少し投稿が遅れました、すいません(汗)
さらに、筆(?)も進まなくなってきているので、更新が今以上に遅くなっていく恐れがあります。
重ねてすみません。
Side Hal. ~ハル・サイド~
早速レイだけが別行動に移り、僕達はジェラーロ設案の計画の準備にかかった。
「ちょっと……これ、短すぎない? スリッドもかなり……」
「いやいやいやチョーいーYO☆ ばっちグーだね、かわうぃーNE!」
セラフィーナはしきりにスカートの裾を気にして、それをジェラーロがやたらVサインと安っぽい誉め言葉を連発している。
これがジェラーロの言う策とはいえ、ちょっと僕は恥ずかしいなぁ。またあの白もふの羊コスに着替える。ルナールも狼さんの衣装に……。
「っふぇええええー! ルナールちゃんそれは、危険だよぉ!」
さっきまで、全身着ぐるみの灰色だったはずのルナールが、その、えっと足を晒している。早い話が、ホットパンツに生足。人目の多い所で白く細い足さらしたら危ないでしょう!
「え? だってあついから、きった」
「いっいけません! おとーさん許さないからねぇ?!」
ぽん、と肩に手が置かれた。振り替えると満面の笑みのジェラーロ。
「心配なーい、誰もそんなお子ちゃま体型にグッとこなーい! 軽くセクシーだからって、欲情しちゃいやーん♪」
「ちがっ、ちがぁーう!」
ルナールの疑問を含んだ目と、セラフィーナの猜疑心に塗れた視線が突き刺さる。
ジェラーロはぱんと手を打って場の雰囲気を戻した。
「ま、準備おーけい? 心配なっしんぐ失敗のーさんきゅーですぞ! ミーの言ったとーりに動けば完ッ璧ハッピーエンド間違いなし三年保証付き☆」
その格好で言われても、あまり説得力がないと言いますか……。
それ何色ですか? という派手色でだぼついた服に帽子。ついでに赤鼻。まんま、ピエロみたいな格好。まぁ、目立つことには間違いないだろうけど。
「なんか……目に痛い色ね」
「みてられないね」
セラフィーナとルナールの感想。ルナールさん、見てられないって若干皮肉じゃないですか……。
でもまぁ…。
「それじゃあ、」
「いっちょ派手にかましてやりますぞぉお!」
「あぁ僕のセリフぅ!」
「さぁさぁ今宵は無礼講、有象無象の執り行う宴のさなか、いざ出でにたるは、ってちょ、爆竹の音でかすぎやしませんかお嬢! せっかくミーの考えたセリフがぁ?!」
ジェラーロの長そうな口上に、バァンバァンとルナールの魔法で立てた大きい音がかぶさる。ピエロでその口上はどうかと思うけどね……。
その大騒ぎに城内の人々は慌てふためく。当然だけど。
「なっ、なんだなんだ!」
「不審者だっ、捕らえろぉお!」
周囲の衛兵や王族の騒がしさの倍を越える騒々しさで僕達は王城の廊下を練り歩いている。もはや歩く騒音。
ピエロ装備のジェラーロが先頭を切って進み、僕とルナールは羊と狼のコスで続き、それにセラフィーナが色仕掛け? で華を添える。
「なんで疑問形なのよ!」
「えぇ! テレパs……このくだりはもういいよね」
まぁ、色仕掛けで人々の目を引きまくる、と。何度もいうけど、目立つことには相違ない。それが目的だから、いいんだろうけどさ……。ちょっと、いやかなり恥ずかしいよ。あっという間に見物人は増加していく。
この歩く騒音(僕達)に加え、慌てる騒音(見物人)によって、もはや隣人の発言すら聞き取れない。
「えぇ!? ジェラーロさん何か言いましたかっ?」
「人手がおーすぎるのっ、ひとまず逃っげろーい! にゃははははぁっ☆」
「「「ええーっ!」」」
こ、これも計画なの? 聞き返そうとするも、抜け駆けで一足早く飛び出したジェラーロの背中はすでに遥か遠く。
「なぁあっ、待ってくださぃいー!」
ジェラーロを追って逃げ込んだのは、吹き抜けの玄関ホール。
「いやー、いい運動不足の解消になりましたのぅ。昨今の運動不足が問われる今、こうして全力疾走を」
「あ、ジュリー」
「「えっ!」」
ジェラーロを遮ったルナールの指差した方を見ると、女装を解いたジュリアスが侍女や執事やらにガードされて二階から見下ろしていた。よく見えないけど多分、ナニこいつら! とかこの馬鹿って顔してるような……。騒ぎを聞き付けて見てみれば、みたいな感じだ。
「ジェラーロさん、ジュリアスいましたっ」
「やっぱりねん☆」
やっぱり? ってことはジュリアスがここに来ること知ってたってこと? うわぁ、よくわかんないけど、わかんないなぁ、ジェラーロという人は。さらに大声を上げるジェラーロ。
「おーぉ、そこにあらせられる御人は、ジュリアス陛下ではございませぬか! さぁさ、こちらに、こちらに」
僕、もうわかんないよ……。
ジェラーロは諸手を挙げて、まさに仰々しくジュリアスに向けて一礼する。僕の隣ではルナールがぶんぶん手を振っている。
唖然としたのか、途方に暮れたのか、ジュリアスは僕達の顔を比べ見る。
再びの催促にしぶしぶとジュリアスは階段を降りてくる。がっつり周囲の視線を集めて。
「さぁ今から王子に浮遊飛行マジックを行っていただきましょー!」
そこでルナールに向けてウィンクが飛ばされる。あぁ、マジックっていっても魔法ですか……。
「ちょっ、マジックって……その前に」
そこでジュリアスは声を潜めた。
「なにやってるんだよっ! その格好に……もう帰ったかと思ってたのに」
「はいはーい、詳しくはこちらに☆ 書いてあるとーりに動くんだゾ♪」
ジェラーロは見つからないように小さな紙を押しつけた。
「ちょ、なんだっ、それに誰だ?」
「さーあさぁ、観衆の皆様! 王子を受けとめる準備は万全でごじゃりますなぁ?!」
とたんに観衆は騒めく。ジェラーロはジュリアスを軽々担いで、先ほどジュリアスが見下ろしていた二階目がけて投げ飛ばした。
「うぉわああ!」
すぐにルナールが魔法でフォローして、ジュリアスは無事に飛んだ。二階の天井に、頭をぶつけたみたいだけど。
「いっつ、ミラクルーぅ!」
また大きく一礼をするピエロ。
な、何がしたかったの……? ルナールは楽しげに拍手しているけど、僕とセラフィーナはぽかーん。
ジェラーロはあっさり頭を上げて僕達を急かした。
「ささ、行くにょー! レイちゃんが上手ぁくやってくれてるハズ、まぁ、レイちゃんには心配なんて無用みたいだけどネん♪」