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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
エレドニアでのあれこれの章
79/84

派手で隠密☆

Side Ray. ~レイ・サイド~


 ふぅ………やっぱ、いつもの服装が一番落ち着く。

 俺たちは、ジェラーロが様子見して安全だと判断した部屋で男女別れて着替え終えたのだ。いままで着ていた執事用燕尾服も、黒を基調なのは変わりないとはいえ、それでもあの便利道具“四次元ポケット(笑)付きロングコート”があるとかなり違う。武器の有無って、大事だよな。

 で、一応隠密行動ってことなんだけど……。


「セラフィの服装、ちょーっと隠密には向いてないよな」


 そう。セラフィの服はリディスでざっと揃えたし、その後も欲しいと言えば買っていたが、あまり地味な色の服は着ない。現在着ている服も深めの蒼を基調としたワンピースで、似合っているし可愛………じゃなくて、隠密には向かないのだ。

 ふむ…どうするべきか。


「た~しか~にねぇ。セラちゃんはおしゃれしてレイちゃんに見とれてもらわないといけないとはいえその服装はいだぁああ?!」


 懲りずにハリセンの餌食になったバカは、とりあえず置いておこう。


「なぁ、セラフィ。もうちょい、地味な服とかないのか?」

「……ない、わよねぇ? 欲しいって思ったこともないし、買ってもらってないもん」

「だよなぁ。俺も、お前が地味な服着てる覚えないし。………どうしような?」


 そんなこと言われても……みたいな目で見られても困る。だいたい、ジェラーロはなんかないのかよ?

 俺のそんな不満を感じとったのか、ジェラーロはどこか嬉々として口を開く。


「ふっふーん☆ そろそろ我輩の出番ではあーりませんかぁ? そーして! ミーに報酬が支払われるとっ! さぁ、報酬を渡したまえ! 今すぐにっ♪」


 ……………実際、報酬なんてないと言ったら怒るだろうな。だが、報酬がないなら作ればいい。

 俺はジェラーロを手招きしてこちらに呼び、セラフィたちには少し待つように言ったあと、他の誰にも聞こえないような小声で言う。


「おい。報酬、欲しいよな?」

「そらもちろん。つーか、仕事モードのがいーい?」


 そちらの方が助かるか。


「ああ、そうだな」

「……ふむ。で、報酬はなんだ」


 相っ変わらず、素晴らしい変化のしようだ。……むしろ、二重、三重、四重以上の人格を持ち合わせているのではないだろうか?


「金。と言いたいところだが、俺たちは今、金なんて持ってない。貧乏だ」

「……だろうな。あんなネックレス買えば、普通はそうなるぞ」

「うっさい。仕事モードでもからかうな」

「これが僕の趣味だと言ってるじゃないか。口調が変わっても、僕の意志は変わらん」


 そーですか。非常にめんどくさいヤツだよ、本当に。


「………まあ、お前の意志はともかく。報酬についてだ」

「ああ。早く決めてくれ……。金以外の、僕への報酬。相当、僕の興味をひくことじゃないとな」

「情報。お前が求める、とっておきの情報を、今、ここで作ってやる。王位継承問題についての情報だ。今からの俺の行動、その全てを俺たちと共に見る。それで出来立ての情報の出来上がり。おーらい?」


 …………無理がありそうな気がする。これ、やっぱり報酬にはならないような…。


「ふうむ……。その情報はいただけないが……“出来立ての情報”というものには興味を持てるな。…………よし、分かった。王位継承問題について解決した後に、僕の要求どおりの出来立ての情報を用意してくれれば、それでいいぞ」

「要求通り、なぁ? ……なーんか、怖いが、まーいいだろ。じゃあそれで交渉成立だな」


 ジェラーロは答えず、少し黒い笑みを見せながら握手を求めてきた。俺はなにかおかしいと思いながらも、反射的に握手に応じた。


「ほっほっー☆ これで交渉せぇーりーつ!! 問題が解決したら、絶対にその交渉内容を守ってもらうから覚悟しろやゴラァ♪」


 俺…………なんだか取り返しのつかない契約を結んでしまった気がするんだが、気のせいと思いたい。




「よーし、じゃあ作戦をせっつめいしようではないかぁ! まずセラちゃん♪」

「え、あ、うん。なによ?」

「キミにはぁ、これをこうしてもらってー、この服装でー…………お分かりぃ?」


 ジェラーロはこそこそとセラフィに説明し、最後に理解しているか確認した。……で、そのセラフィは理解はしているようだが、正直あんまやりたくないことだったらしい。


「でも……そんなの、嫌よ…」

「あれぇ? でもぉ、その姿を見せてあげればレイはちょー喜ぶよぉ?」


 む、俺が、どうしたって? おい、こそこそ話してんじゃねぇよ、待てっての!!


「……そういうなら、うん、しょうがないわ。本当に、そうなるんでしょうね?」

「えーえー、もちろんでございますともッ☆ それとも、ミーが信じられないのデースカ?」

「逆に信じられる要素なんてレイの知り合いで、レイは信用してるってとこしかないと思うけど?」

「……でーも! それがセラちゃんとって一番信用するに足る要素なんやないのー?」


 そこでニヤニヤすんな! 変態ジェラーロ!! それとハルたちもニヤニヤしてんじゃねぇ! キモイわっ!!

 と、そんな俺の苦情なんて関係なく、話は進められていく。


「ま、まあ………しょうがないわね。信用してあげるわ」

「おしおし、それでよろしい♪ ……でーは、次にヘタレあんど不思議ちゃん! ユーたちNE☆」


 はあ、結局セラフィになにを頼んだか分からずじまい。さらに、またあのキモイテンションでハルたちに話をふる。………ホント、こいつキライ。


「えぇと、僕たちはなにをすればいいんですか?」

「ねぇ、ジェラート食べたい」

「ふふふふ、ルナちゃんはマイペースだねぇ」


 ハルの質問をシカトしてるし、“マイペース”に関しては、お前が言えたことじゃないと思うぞ。


「っとぉ、早めに説明せねばっ! おっし、キミらにはなぁ………ごにょごにょ……」


 説明していくジェラーロに、ハルたちは二人仲良く顔をしかめる。………ホント、こいつは何をさせるつもりなのだろうか?


「えぇ………また、“アレ”なんですか?」

「もう、あれはあきたよ」

「でもでもでもでも、そんなの関係ねぇのだよ☆ ほらそれにー、アレやって目立つとかーっこいいよ♪」


 なにをやらせようとしているか知らんが、ハルの様子を見た限りでは確実にかっこよくない。それでもルナールはあっさりと騙されたようで…。


「かっこいい? ホントに? ……じゃあやる」

「おー、ルナちゃんいーこいーこ」


 言いつつルナールの頭を撫でようとするが、ジェラーロの手は払われる。


「ぶぅ……やだ!」

「はっはっー☆ そうだったね、そういえばキミらも爆発すべき人種に近いのだった!! 忘れていたよォ! ま、僕ぁ気にしないけどー」


 …………なにを気にしないだ。そして何が“爆発すべき人種”だ。なにが言いたいか分からん。つーか逆にお前が爆発しろっ!!


「やだレイちゃん! つれないこと言わないで☆」

「………口に出してたのはもうわざとだと認めよう。ただ、そのキモイ口調だけはやめてくれ」


 うん、コイツ相手だと“テレパシー?!”と、ボケる気にもなれない。つーか、やりかけた俺がバカだった。


「しょうがないねっ! じゃ、最後にレイちゃん☆ キミの仕事を教えてあげよー。キ ミの し ご と は ♪」


 隠密でーす☆ ………と、言われた。


 ………………これ、たぶん俺が一人で行動しなくちゃいけない流れだな。と、そこまで理解出来て、嫌になった。同時に、作戦の内容も少し分かった気がする。


「つまり、お前らで派手にブチかまして、その間に俺に暗躍しろと。そういうわけだな?」

「そーゆーこと! さっすがレイちゃん、説明が楽でいいよぉ! ……さっ、だからモー一度着替えて、早速おっぱじめよー!! レイちゃんは、王宮内が騒がしくなってからここに向かってね☆」


 そう言って、ジェラーロは俺に一枚の紙を渡してきた。どうやら、俺の行くべきところまでの地図らしい。ついでに、作戦内容も書かれている………用意周到というかなんというか…。

 こいつ、もしかしたら俺がどう答えて、どう推理して、どのように行動するのが正しいのか、全て来る前から予測していたのかもしれない。


 …………相変わらず、性格も能力も化けモンだな。


 かつて何度も思ったこの知り合い(断じて友人ではないっ!)の異常さに、溜め息が出るのは禁じえなかった…。



人気投票は続いております。


出来れば、清き一票を!w


張ってあるアドレスから投票ページへどうぞ。


一人につき何票でも、誰に入れても構いません。


一応、重複もありとします。


よろしくお願いしますね。

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