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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
名も無き集落の章
66/84

明日、だ。

今回、短いですが、次回は長めです。


よろしくお願いします。

Side Hal. ~ハル・サイド~


「あ、明日っ?」

「ああ。俺たちの情報が向こうに筒抜けになっているかもしれない。まぁ、一応用心はしてあるから大丈夫だと思うが……行動に移すのは早いほうがいい」


 宿に戻ってから、作戦会議。その前に、出歩いていたルナールに宿の前でばったり遭遇して心拍数急上昇したり、宿で女三人の中に取り残されたジュリアスに怒られたりしたけど。


「んで、正面は俺とセラフィ、ルナールとハル……いやシノラインは裏からな」


 一瞬、レイに黒い笑みがよぎったのかきっと気のせい、うん。ルナールと一緒に行動するのは僕じゃなくてシノラインなのもきっと偶然、はい。

 早く、シノラインじゃなくて僕自身が必要とされるようにならなきゃね。そのためには鍛えて……筋トレはやだなぁ。レイの指導怖いし。でも強くなりたいなぁ。ルナールに信頼されたいし。うわ、これって動機不純? でも、誰であれ女の子に助けられるのはちょっと……。僕がヘタレってのを差し引いても、うわ、また自分でヘタレって自覚してる。やだなー。


「おい、そこのヘタレ。聞いてんのか」

「はいぃ! ごめんなさいっ!」


 レイに、どうせくだらねぇこと考えてたんだろーな、みたいな顔をされた。その通りだけどさ……。そのうえ、ルナールは僕を見てきょとんと首を傾げた。僕、変な顔してたかな……。


「じゃ、ジュリーとリエナはおとなしく宿に残ってろよ。敵陣に捕まったりすんじゃねぇよ?」

「当然だ。そんな情けないことするわけない!」

「アタシも連れていけぇえ……はい、レイが言うならここでおとなしくしてますぅ」


 ジュリアスと、混同しているリエナはふたりで居残り。久しぶりに、アカシアメンバーだけの行動になる。にしても、リエナ&裏リエナはどういう精神構造してるんだろう……。同じ二重人格者? としてちょっと気になるな。いや、僕のは二重人格じゃないけどさ。あらぬ方向に意識が流された僕に、またレイが釘をさした。


「おいヘタレー。聞いてたか。ヘラヘラしてて失敗すんなよ。そんじゃ、解散な」




 他のメンバーは明日に備えて支度したり、もう寝たりで、僕だけが食堂に残っている。僕は、シノライン頼りだから、特になにも気にしないで、絶賛リラックスタイム。手には、一杯のお酒じゃなくて、ただの紅茶。晩酌相手は、さっき覚醒したシノライン。っていうとかっこいいかもしれないんだけど、ただ隅っこでお茶飲んでるだけなんだよなぁ。まぁ、僕の身の丈にあってる気がするよ。


『なぁ、ハル。俺のこと忘れてねぇ? 技巧の剣士にして数多の女性を手中におさめてきたこのシノライン様を。色恋沙汰はあのガキじゃなくて俺に言えよ!』

「だってシノライン、ルナールちゃんに嫌われてるみたいじゃんー。それに、シノライン最近反応ないし」

『俺もくたくたなんだよ。まさか、死期が近いのか? あぁ、ルナちゃんの話だな。あの子は断固として例外だろうが。かわいいけどよ、精神年齢が二桁の子が俺の許容範囲内だっての。三桁は行きすぎだしな。もっと、そうだな……セラちゃんくらいの子ならオトす自信大有りだぜ?』


 ちょ、ちょっとやめてよ? セラフィーナはやめてあげて! これ以上レイを苦しめないであげてっ。さすがにレイがかわいそうに思えてきたよ……。


「それは、殺されるからね、レイに。それに、ルナールちゃんが精神年齢一桁っていうのもちょっと」

『あの子はかわいい! 自然体で気取らないし妖精みたいな女の子だ。稀に見る純粋な子だ! だがな! 俺はロリ趣味じゃねぇ! 俺いくつだと思ってんだ、もう二十も半ばだぜ!? 精神年齢だけならもっとだ!!』

「うん、わかったから、シノライン。落ち着いて。でもセラちゃんに手を出すのはやめてね」


 叫ばれると、頭がくらくらする。シノラインの声が直接響くからね。にしても、ロリ趣味ですか。怪しい……もとい一風変わった趣味が集まるパーティだね、ここ。うわ、そんなにこと言ったらレイに殺されそうだなぁ。あっ…。


「じゃあ僕、ロリ趣味ってことなの!?」

『いやお前はー、ルナちゃんと同じくらいだからいいんじゃねぇの? 背の高さとか』

「ひ、ひどいっ! 筋力は鍛えられても身長はどうにもならないんだからっ!」


 これからが伸び盛り……だよね? これで成長止まるなんていったら、本気で靴底に細工しなきゃいけなくなるよ。

 僕は手に持ったコップを煽る。もう中身は空になってしまった。リラックスタイム終了かな。


「ふぁあ……僕もう寝ようかな」

『んじゃ、あとは俺に任せろ。ついでに不寝番しといてやるから』


 その申し出に、シノラインに意識を明け渡して、僕はすぐに眠りに落ちた。




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