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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
名も無き集落の章
62/84

ヘタレの交渉

Side Hal. ~ハル・サイド~


 どうするどうするどうするよぉ! えぇ! レイったら面倒事丸投げじゃん匙投げじゃん! こっちに投げないでよ受け取れないから! 僕に何しろって言うのさ、ヘタレで全身筋肉痛のこの僕にぃ! この特訓で得たものって、まだ筋肉痛しかないからね!

 おっと、レイの壊れっぷりが感染ってしまったみたい。落ち着け僕。

 まずは状況確認、うん、コレ大切。僕達は無人の宿内にいて、外には村人らしき人達約十名。レイによるとAからJまで。以上。

 そして次に展開の確認。僕達は無人の宿を勝手に拝借してのんびりしてた。で、気が付いたら宿屋が包囲されていた。理由がわからないけど、以上。

 最後に、解決方法の模索。うん、これ重要だね。ラブ&ピースが大事だってレイも言ってたし。話し合い、素敵だ。穏やかな解決、素晴らしい。平和的和解、最高。よし、行こうか。


「いっ、いきます!」


 おー、とアカシアメンバープラス二名が気のない拍手を僕に送る。もうちょいテンション上げさせてほしい……。

 僕は一歩前に出る。すると向こうの集団からも体躯のいいリーダー格らしき男がずいっと前に出た。取っ組み合いになったら、勝てないだろうなぁ……。争いにならないように気を付けないと。


「あのっ!」

「なんだっ、チビ!」


 うわ、僕へこんだよ。いきなりチビとか言われてテンションだだ下がりだよー。さっそく僕の背後のメンバーに助けを求める。


「はるー、がんばー」


 他人事なルナールの応援。ほかの人員はさも、めんどくさそーに傍観している。まぁ、応援してくれるだけいいか。気を取り直して、れっつごー。


「僕たちは初めてこの場所に来たんですけど、これは一体どういうことですか?」

「何を言うんだ侵略者! そんな戯れ言聞きたくないわあ!」


 戯れ言ほざいてんのはどっちだよ、とレイの呟きが聞こえたが、まずはこの人たちを落ち着かせなきゃ。平和的解決目指して。


「僕たちは、皆さんを救いたいんです。事情を話してもらえませんか?」


 僕の言葉に男たちの態度が変わってきた。少し、戸惑っているようだ、仲間内でザワザワと話を始める。


「そ、そうなのか? おまえらは侵略者じゃないのか」


 男AからJの誰かが僕に改めて尋ねる。そもそも侵略者って何なんだろう。侵略者って……宇宙人みたいなイメージがあるのは僕だけ?


「違いますよ、僕たちはただの傭兵パーティですって」

「傭兵とな、問題事を解決する輩と聞いたが?」


 男たちの中でも一際歳を召された長老的な人が僕に訊いてきた。


「そ、そうですけど」

「そんならのぅ、ちと話を聞いてくれんか。この村は首都に近い。それゆえ規模は小さいながら栄えていた、昔はの。しかし最近では首都に近いがために、首都を狙う山賊やらの拠点とされてしまったのじゃ。若い者共は首都へと逃げ込み、さらに悪がのさばり、村の活気はずいぶんと衰えてしもうた。もうここに残る者は、ただの頑固者だけじゃ……」

「違ぇよじいさん、村に残ってる奴らは、この村が好きなんだ! この地を守りたくて残ってるのさ!」


 一人が発した熱弁に、そうだそうだ! と、勝手に盛り上がっちゃってる村人たち。地元愛すごいなぁ。あれ、僕ら要らないんじゃない? 僕たちは山賊じゃなくて傭兵だからね。誤解も解けたことだし、僕はゆ~っくりの~んびりさせてもらおうかな。


「ちょっと待て?」


 おろ? 宿屋に戻ろうと集団に背を向けると、AからJの誰かが僕を呼び止めた。一件落着じゃないの?


「おまえさん、さっき俺らを助けたいとかなんとか、言ったよな?」

「なな、なんのことでしょう……か?」


 なんか、怪しい話の流れ。


「困ってるやつが目の前にいたら放って置けないんじゃないか? 例えば、山賊の討伐に苦しんでる人間とか」


 それって、陰に、いや堂々と僕らを利用しようとしてるよね!? しかも、その男の発言に周囲は乗り気だし……。


「そうだそうだ!」

「俺たちを見捨てるっていうのか?」


 ぼ、僕にどうしろと。……ええい、ままよ!


「面倒事厄介事問題事は、ギルドパーティ、アカシアにおまかせあれ!」

「おぉーっ!」


 あぁー……メンバーの視線が背中に突き刺さるなー。僕は交渉結果の報告をするためパーティのもとへ。早速レイが一言。


「ハル」

「……はい」

「武器を使わずにあいつらを沈静化したのは褒美に値する。……だがなぁ!! こんな面倒事になるんなら武器でもなんでも使って逃げ出した方がとんでもなく楽じゃねぇか!」

「レイ、落ち着いて。怒りたくなる気持ちはわかるけど」


 うわセラフィーナ、さりげに、私も怒ってるって言ってるよーそれ。


「私は、戦い方わからないですぅ…」

「そうだな、僕も元々は依頼人だし、山賊と戦う義務なんか無いよな」


 と、傍観を決め込んだリエナとジュリアス。


「まぁまぁ、レイはいつも口ではわるいこというけど、さいごには大活躍してくれるってしんじてる」


 ルナールさっすがナイスフォロー! かわいいなぁ頭撫でてあげたい。うわ、何考えてんだ僕。


「おいっ、何を話しているんだ? 山賊共を倒してくれるんだろうな!?」


 男たちは催促してくる。これ……依頼を受けたら面倒事解決しなきゃだし、断れば村人たちの反感買うし。それじゃあ。


「それじゃあレイ、パス☆」


 アカシアのリーダーはレイだし、決定権はレイにあるし、あとよろしく! 僕もう知らないんだからね!



レイ「いつの間に俺がリーダーになった…」

ハル「うぇえ?! レイがリーダーじゃなかったの?」

レイ「……(俺が纏めなきゃならないワケか……はぁ、めんどくせぇ)」


というやり取りがあったような、なかったような(笑)



それでは(^^)ノシ

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