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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
移動の最中、面倒事の章
58/84

恋は盲目なんだってさ。

あぁ、せっかくエイプリルフールなのにネタをなにも用意してないっ…。



っと、どうでもいいですねw


それでは、本文をどうぞ!

Side Hal. ~ハル・サイド~


 あれがリエナ……?

 シノラインの意識を通して見た魔物はとても異質で、異様なものだった。

 しかしレイの魔物に対する反応が示している、あれはリエナだと。それに、魔物の発言がそれを証明した。

 ジュリアスの護衛を殺したのもリエナ……いや、この魔物だという。リエナ自身に罪はない、そうだろう。


 ルナールの張ったシールドの中で、砂塵が巻き上がり、やがて引いた。魔物のいた場所は、深く窪み、そこにはリエナが倒れていた。


 レイの指示でルナールが駆け降りる。リエナはまだ息をしているようだ。


「……おいハル。後はおまえに任せた。俺がどうこう言える立場じゃねぇ。女の子に勝手な説教たれて泣かしたしな」


 シノラインは剣をしまい、体の自由が僕に返ってくる。と同時に襲われる倦怠感。うぅー、体が重い。シノライン暴れすぎだよ……僕の筋力がないからかな。真面目に鍛えようかな。


「レイ!? 大丈夫かっ?」


 いきなりジュリアスが声を上げる。見ると、倒れこんだレイを、隣にいたジュリアスが支えていた。


「レイっ!!」


 悲鳴に近い声を上げてセラフィーナがレイの元へ走り寄る。僕はルナールに助けを求める。


「ルナールちゃん、レイが倒れた! どうしよう?!」

「いま、いそがしいの!」


 ルナールは振り向きもせず声を返した。その様子から見て、リエナの状態はかなりの危険を孕んでいることが悟れる。それでもルナールは僕たちに指示をくれた。


「セラ、レイのけがは?」

「えっ……出血はしてないけど」

「じゃあつかれてるだけ、そっとしておいて。ジュリーかはる、魔法つかえる?」

「あっ、はい! 僕ほんとに少しなら使えるよっ!」

「じゃ、はるてつだって。ジュリーは……わたしのテントのなかに小さいビンがあるから持ってきて赤いラベルのやつ」

「わ、わかった!」


 セラフィーナはレイを寝かせ、僕はクレーターを駆け降りルナールとリエナのもとへ、ジュリアスはテントまで走っていった。

 レイが倒れこんでしまい、魔法で治癒が出来るのはルナールだけだ。倒れたリエナに翳すルナールの手は、籠められた魔力によって白く輝いている。

 僕はそんなルナールの隣で、リエナの様子を見ながら言う。


「ルナールちゃん、こういうことやったことあるの?」

「ない。けど、やらなきゃ。ジュリーがくすり持ってくれば、もうあんしん」


 そういっている間に、ばたばたばたっという足音が近付いてきていた。


「はぁ……も、持ってきたぞ! はぁー、はぁー……」


 ジュリアスが息を切らしてクレーターの縁から顔をのぞかせた。その手に握られた瓶を掲げている。


「ハル!」

「うん!」


 投げられた茶色の小瓶をキャッチ。フタをあけると、中には無色透明な液体が。


「これは?」

「ハイポーション。ふつうのくすりに治癒魔法かけたもの。効果がたかい」


 ルナールはそれをリエナの口に運び、そして目に見えて大きな傷口にも薬を振り掛ける。すると傷はすうっと癒されていった。

 リエナの呼吸も落ち着いたようだ。僕はハラハラと眺めていたジュリアスにサインをだす。


「もう大丈夫みたい!」


 するとジュリアスは嬉しさからか、飛び上がって後ろにいたセラフィーナ達に報告する。


「リエナさん助かったって! あっレイ! 起きて大丈夫なの?」


 ここからは見えないが、レイも意識を回復したらしい。リエナの無事を聞いて、さぞかし安心しただろう。

 僕は背中の剣を腰のベルトに差しなおし、ゆっくりとリエナを背負った。魔力を消費してふらふらなルナールは、呼び付けたジュリアスに支えてもらう。そうして地面に出来た窪みから脱出。それにしても、すごい威力だな、レイの必殺技は。一夜にして地面抉れるとか怪奇現象だよ。


「リエナは……?」


 僕らがクレーターから抜けると、セラフィーナに肩を借りたレイが、不安そうに尋ねる。僕は笑って頷く。


「だいじょぶだよ、もう」


 レイは長い息を吐き、天を仰ぐ。空の端はすでに白く染まっていた。


「……じゃあ、帰ろうか」







「兄様の差し金じゃなかったんだ……」


 ジュリアスはほっとしたような、訝しがるような曖昧な表情を浮かべてつぶやく。衛兵たちが殺されてしまった理由の話だろう。下手したらジュリアスも殺されていたんだろうかと思うと、ぞっとする。


「でも、僕たちが居たときに襲ってきた人たち……ブルーリオ王って叫んでいた人達のことはまだわからないよ。油断は出来ないね」

「……そうだな」


 ジュリアスは神妙にうなずいた。この年で、十一歳で自分の命の心配をするなんて……。そこまでしなければならないのは、王子だからなのかな。




 背中で落ち着いた寝息を立てるリエナを見て、僕は思う。

 嫉妬、かあ。

 誰にでもあるよな、その感情は。僕も、レイやシノラインの戦の腕には嫉妬してたし、多分、セラフィーナもリエナに嫉妬してたはず。

 リエナの場合は、それが少し具現化しちゃっただけ。それだけ。それに、リエナ本人のせいじゃないし。

 それに、レイ。レイはクールだし強いし優しいし。すごいよなぁ、かっこいいしなぁ、ずるいなぁ。あ、僕嫉妬した?

 そのレイに惚れ薬を盛るなんて、大胆なことしたなぁ、リエナも。それが、こんな事態を引き起こしたんだけど、やっぱり勇気だなあ……すごいなあ……。


『恋は盲目、ってやつじゃねぇの』


 くたびれたようなシノラインの呟きが聞こえた。


前回と今回は、みんな結構頑張った回でしたw



それでは、また次回っ(^^)ノシ

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