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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
移動の最中、面倒事の章
52/84

力をつけるには時間がかかる。

今回は、シノライン視点でお送りします。



それでは、本文をどうぞ!

Side Shinorain. ~シノライン・サイド~


 やあ久しぶりだね、女の子の味方シノライン様だぜ。最近出番が少ないだって? そりゃ仕方ねぇぜ。なにせ百年もこの世に留まってるんだぜ。魂が疲弊することもあるだろ、多分な。だから出来る限り寝かせてくれよ……。

 まあ、今はそんな場合じゃないけどな。確かにこのガキの言った通り、ハルを鍛えることに関しては賛成だ。いつまでも、俺が構ってやるわけにはいかないからな。ハルの身体であるし、ハルの人生だから。それに、俺がいつまで傍に居てやれるかわかんねぇし。


 ってそんな先の話する以前に、今だ、今。


 俺は今、レイに短刀を向けられている。遠~至近距離で万能に行使できるダガーだ。さらにコイツは鋼糸やら起爆札やら使いやがる。それはつまり、攻撃の幅と応用が多彩ってことだ。わかったか、ハル。


 とりあえず、策を張り巡らせる。ハルの前で負ける訳にはいかないからな。本音は、単純にこのクロガキでクソガキに屈するとかいうのはムカつくからだ。男には容赦しねぇよ。それにあいつ生意気だし。

 にしても、このハルの身長がネックだな。元々の俺より二十センチくらいはチビなんじゃねぇか? 強くなる以前にカルシウム摂れよなー。

 とにもかくにも、ルナちゃんもセラちゃんの前で、あとよくわかんないチビもいるけど、まあ、みっともねぇ格好さらすわけにはいかないな。俺は抜き身のロングソードを二、三回振る。


「来いや、クソガキぃ!」

「言われなくともッ」


 レイはダガーを手に構える。 しばらくののち、かかってくる。間が一瞬でぐんと縮まる。その駆けた勢いを利用してダガーが放たれた。

 ダガーを長剣の腹を使って全力で叩き落とす。さらに飛んできたもう一つは身をかわして避けるが、その着地点めがけて鋼糸が放たれた。


「いよっ!」


 上体を反らしそのまま剣を右手に左手は地面について宙返り。ふむ、身軽だと得なこともあるんだな。

 逃げてばかりもつまらねぇからな、俺は剣を両手で握り直し、右足を踏み込み切り付ける。


「はっ!」


 袈裟切りから突き刺す動作。しかしレイも後ろに下がって剣を避け、体勢を整える。動きはとにかく素早いんだよなあ、コイツ。再び対峙。


「なんだ、そんなもんか?」


 どうもこうもムカつくなコイツはぁ!


 俺は剣を真上から直下に振り下ろす。そのまま左回りに一回転し水平切り。剣先はヤツの脇腹をとらえた――はずが、地面から垂直に張られた鋼糸で阻まれてしまった。これで二本目の糸。

 レイはダガーを逆手に握り飛び込んでくる。長剣は至近距離に弱い。避けなくては。

 とりあえず目に入ったのは一本目の鋼糸。俺は細いそれの上に飛び乗り、バネのようにたわませてレイの背後に跳躍。あっ俺、カッコよくね?

 レイとの間合いが出来たところで…。


「ちょっ、タンマ。ルナちゃんー、盾持ってきてー」


 傍観していたルナールは盾を持ち、とてとてと歩いて恭しく盾を渡してくれた。うん、なかなかに質がいい盾だ。重量も重すぎず薄っぺらすぎず。


「ルナちゃんありがとー」


 頭を撫でてあげると、若干嫌そうな顔をされた。


「はるだけどはるじゃないと、きもちわるい」


 ……言うねこの子は。

 右手にロングソードを、左手には盾を新たに装備。


「はいよ、再開」


 俺は左上から右下に剣を振り下ろす。レイも防ぎ、俺の背後に回る。右手のダガーが光る。こんな時こそ盾、だが俺は盾を放り投げた。一瞬だがレイの視線はそちらに揺らぐ。その間に俺は体をひねりレイの背中に腕を回す。

 しかし相手もやはり反応は早い。体位を右にずらし、左足を踏み込み、手に握られたダガーの剣先を勢いよく突き出す。

 剣は俺の鼻先寸前で止まった。動けない。俺の負けか? いや、そうでもねぇぜ。


 レイの背に伸ばした腕には、盾に付属されていた小刀が握られている。盾を投げる前に抜いていたのだ。その刃先はヤツの背中ど真ん中にぴたりと当ててある。

 互角ってとこか。ムカつくが。


「なんだよ、色々言っときながら、そっちこそたいしたことねぇんじゃないか?」


 俺は短剣を下ろす。じゃないと動けないからな。レイもダガーをしまう。


「互角ってとこか、クロガキ?」




「はっ、どうかな」


 嫌な笑みと共に、レイはダガーを持たない片手を大きく後ろに引いた。だからなんだ? と思う間もなく俺の片足も一緒に吊り上がり……。


「おい、ちょ、待っ」


 ガッ!

 知らぬ間に足に絡められた鋼糸により、バランス取っていた軸足を失った。受け身をとるなんて、両手に刃物持った状態ではままならず、激しく頭を打ち付けた。

 俺転倒、レイ見下ろす、観衆ら拍手。


「この野郎!」


 レイは俺を見下ろしながら鼻先で笑った。こんのヤロぉぉ!!


「ハル呼べ。誰の特訓って、あいつを鍛えるためなんだから」


 ちくしょう。ハル、出番だ。さっさと行け! 俺は寝る!





「どうだ?」

「あの、れ、レイ。激しすぎて全然わかんなかったよ……」


 ……そんなことだろうと思ったぜ。ヘタレを鍛える道は長そうだ。




やっぱり、ハルを鍛えるには時間がかかるようですw



それではっ(^^)ノシ

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