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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
マリシア滞在の章
47/84

王子様(笑)

さて、王の息子だったクエスト依頼人の子供と、“アカシア”メンバーはどのように絡んでいくのでしょーか。



それでは、本文をどうぞ!

Side Ray. ~レイ・サイド~


 こ の 国 の 王 子 ?


 つまりミアルカンドの王子→金持ち→おだてる→「ははは、そうだろうそうだろう」→がっぽり♪


「これはこれは。失礼いたしました。先程のご無礼、お許しください。てめぇらも謝れボケぇ」

「すみませんでした、王子さま。あたし…いえ、私どものご無礼、どうかお許しください」

「なんで? ねぇ、それよりもこの子年下?」


 空気読めぇぇ!!


「おいハル!! ルナールを一旦遠ざけろ!!」

「へ? うぇえ?! わ、分かった」


 俺たちの態度の豹変についてこれていないのだろう。

 しかし、ことは急を要する。なんせ…。


 ………今、俺たちには金がないのだ。欠片も金がないのだ。


 大事なコトだから、二度言ったぞ? 覚えとけ。って、このネタをついさっき誰かが使ったような気がするのは、やはり気のせいか?

 っと、そんなことより。


「王子。わたくしどもをお許しいただけるでしょうか…?」


 軽くお伺いを立てておかなければ。金は欲しい。つか金だせや。てめぇのポケットにたんまり入ってることは分かってんだぜ。なんなら、全部のポケットをひっくり返してやろうかぁぁ!!

 ………………俺はチンピラか。


「な、なんだその態度の変化は?! 気持ち悪いから崩せ! せっかく敬われるのが嫌いだから傭兵ギルドに登録してるんだぞ!!」


 あ? 敬われるのが嫌いだって? なら、自分から身分明かしてんじゃねぇよ。


「だいたい、依頼主は僕なんだ! それがどんな子供だろうと受けるのが一流ってもんじゃないか! これだから下賎の傭兵は困る。どれも貧相なヤツばっかじゃないか。黒髪な毒舌豹変金の亡者に、茶髪でヘタレで……えと、ヘタレなヤツに、無反応年齢気にする不思議少女に…」


 うん、全部ネーミングセンスねぇよ? それに、金の亡者とか言われても全然気にならねぇ。……金がないのは事実だ。金がいる。

 あ、だけどハルについては完全に的を射ている(笑)


 そんなことを思っていると、王子様(笑)は、最後にセラフィの方を向いて言葉を吐く。


「それと……あぁ、君はもしかしてあれか? トレスフィニアで捕まったアーヴィン家の子供か? 親に捨てられたっていう。ふむふむ、なるほど。確かに捨てられそうな顔してるよ」


 ブチッ!! 

 目の前が赤く染まる。怒りの色。セラフィを侮辱すんな…! 完ッ全にブチ切れた。こいつは、言っちゃいけねぇコトを言っちまったよ。

 俺は目の前にいる子供の首を掴み、少しだけ持ち上げる。セラフィが声をあげる前に。


「てめぇ……! 今、なんつった…」

「おい、無礼だぞっ! 離せ!!」

「謝罪しろ…!!」

「なんで!」

「いいから謝罪しろっつってんだガキがぁぁ!!」


 俺の声が響き渡る。…………さすがに、注目を集め過ぎちまうか。


「レイ……もういいよ…。なんで家の情報が他国にまで伝わってるかは分からないけど、もう気にしてないから…」


 嘘だ。親に捨てられる辛さを、そんな簡単に乗り越えられるワケがないじゃないか。……俺も両親に捨てられたから、少しはお前の気持ちが解るんだ。

 とはいえ、ここで騒ぎを起こすべきではないのも事実。


「………悪い、調子乗ったな。王子、ケガねぇか?」

「…はぁ…はぁ…ケガさせようとしたのは、お前じゃないか…!」

「えと、王子さま? レイは、仲間が侮辱されたからつい怒っちゃっただけなんです。許してあげてくれませんか? ……この通りです」


 ハルは、そう言って頭を下げた。


「ふむ…………少なくとも君は、少しは高い身分だったようだな。じゃあ、君に免じてここは許す。……それと、予定の報酬以上のお金は払うつもりないからな!」

「許してくださって、ありがとうございます」


 もう一度頭を下げたハルの肩を、ありがとうという意味を込めて軽く叩いておく。

 その間に、依頼主の王子様(笑)はさっさと歩を進めて門を潜り抜けていった。おそらく、その先に荷馬車などがあるのだろう。


 はぁ……傲慢な野郎だ。

 身分で差別されて、あがめられるのを嫌うコイツが、自ら身分で差別して、平民を蔑む。……どうやら、すこーし撫でておく必要があるみてぇだな。ちなみに、この場合の“撫でる”は、“シメる”と同義だ。


「ハル。フォロー、ありがとな」

「へ? あ、うん。僕も役に立ちたかったから」

「おう、今回ばかりはお荷物じゃなかった」


 実際、俺が暴走するのを止めてくれたのは非常にありがたい。


「それと……セラフィ。大丈夫じゃねぇだろ?」

「えと……ううん。大丈夫よ」

「……そうか。あー、そうだ。今夜、寝る前に少しだけ俺と会う時間作ってくれ」


 高慢傲慢チビ王子(ネーミングセンスがないのは分かってる、分かってんだよ…)を軽くシメる必要もあるが、今最優先なのはセラフィのケアだろう。


「ふぇえ?! えと、あの、うん。……わ、分かった」

「おう、頼む」


 なんでそんなに慌てたんだ? ………あ、夜って結構マズイ感じ?


「ねぇはる。レイとセラは、夜に仲良くするの?」

「うぇえ?! えと、あー、ちょこっと会話するだけじゃないかな? ね、レイ?!」

「お、おう! 当たり前だろうが」


 なーんで俺も慌ててんだか。


 それはさておき。

 さっさと、気にくわねぇ王子様な依頼人のトコに行かねぇとな。また機嫌損ねたらめんどくせぇ。






「遅い! なにしてたんだ!!」

「おう、わりぃな王子様(笑) 少し話すことがあったんだ。ここは、王子様(笑)のひろーいお心で許してくれ。な、王子様(笑)?」

「…………なんか、無礼な呼ばれ方な気がするのは気のせいか?」

「気のせいだって王子様(笑) なぁ、ハル。俺は別に変な呼び方してねぇよな?」


 ちょっとこの呼び方、ハマったわ。やっぱ熱く怒るよりも、冷静に少しずつ刺激して、逆撫でして、精神的に攻撃した方が楽しい。


「……レイ。ちょっと趣味悪いよ」

「テレパシー?!」


 って、これで“実は喋ってましたパターン”はマズイ。


「レイ、ちがうよ。たぶんはるは、かおを見てはんだんした」

「うん、すっごく悪い笑みだったよ…?」


 あー、ルナールにまで気付かれてたか。


「いやいや、そんなことねぇって。俺がそんな悪いヤツに見えるか?」

「「「見える」」」


 いや、セラフィまで裏切んなよ…。


「冗談よ。レイはたまに意外と優しいもん」

「おひとよし」

「そうそう、いつも助けてくれるよね。毒舌だけど」


 セラフィ、“たまに”と“意外と”は余計。ルナール、“お人好し”は俺にとって褒め言葉じゃねぇ。そしてハル、“毒舌”が余計だ。わざわざ付け足す必要ねぇだろうがよ。


「おい! いつまでダラダラしてるんだ!! クエストを受けたんだからしっかり僕のことを護れよ!!」

「おーわりぃわりぃ。今行くって王子様(笑)」


 とりあえず答えておき、すでに馬車に乗り込んだ王子様(笑)の後を四人で追うのだった。



『レイ、ブチ切れる』の回でした(笑)


どうやらレイは、自分を貶められてもなんとも思わないけど、大事な人(そうと自覚していなくても)を貶められると、怒っちゃうタイプの人種のようです。




それではっ(^^)ノシ

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