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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
マリシア滞在の章
46/84

お金がない。お金がないよ。

はい、金欠です。


どうなる、“アカシア”のメンバーたち!?



……というわけで、本文をどうぞ。

Side Hal. ~ハル・サイド~


「起きろぉお!!」

「ぐっはあ!」


 刺さった! 腹になんかきたぁ! 何、肘鉄ですか!? 驚きと鳩尾の鈍い痛みで僕はベッドから転がり落ちた。レイが見下ろしてくる。


「やっと起きたか」

「お、おはようございまず……何が起きたんですか……?」

「拳を一発」


 肘じゃなくて拳でしたか。っと、そうじゃなくて! なんで拳!


「ひどいよ……」

「いくら呼んでも起きてこねぇからだろうが! 今朝はもうマリシア出るって言っただろ! 支度できてんのかっ」


 すみませんごめんなさい。忘れてましたー……。

 急き立てられるように(実際に急き立てられてたけど)僕は慌てて身支度を整える。


「忘れ物ないな?」

「多分……」

「盾忘れてんじゃねぇか!」


 うわ、昨日もらった盾忘れてた。左手に装備してみる。そして決めポーズ。


「うわ、レイ、これかっこよくない?」

「操れたら文句は無いんだがな」


 それは……追々、鍛えていけば、ね! 実戦特訓すれば上達する、はず!


「セラフィたちはもう下で待ってる。早く行くぞ」

「はーい」




 セラフィーナとルナールはすでに一階のフロアでうだうだしていた。僕はカウンターで店主に宿を出ることを告げる。それにしても……。


 お金がない。お金がないよ。


 大事な事なので二回言いました。

 レイが値段の言えないペアリングを買ってさらにグレアムの品物がこんなに高かったなんて。まあ、僕は極貧生活になれてるんだけどさ。もともと、養うお金がないから独立して生きておくれ! って放り投げられたんだし。父さん母さん、僕はちゃんと独立して生きてますよー。


 と、それは置いといて、未練がましく宿の支払いを済ませてキリーのギルドへ向かう。また来てくれって言っていたしね。


「はぁあ……お金は無いよりはあった方が嬉しいよね」

「はる、どんとまいんど」


 ルナールがグレアムに作ってもらったロッドで僕をぽかぽか叩く。コレ、そういう武器でしたっけ? しかし何が気に入ったか、ブンブンとロッドを振り回しながら歩いていた。






「いらっしゃい」


 ギルドを訪ねると、待ってましたとばかりにキリーさんが喋りかけてきた。


「はい、これがあなたたちのギルドカードよ。本部でのパーティ登録もしたから、パーティ間で連絡をとることも可能よ。えーと、確か“音声送受信魔法”だったかしら」


 うーん、魔法の名前は覚えられそうにないです…。まあ、便利そうだからいっか。


「それで、依頼人は?」

「依頼人さんなら、ほら、あそこにいるでしょ?」


 キリーはギルド内から見える、この町の西門を指差した。確かに、誰かがそこに立っているようだ。レイが目を細め言う。


「とうとう俺の目も狂ったか? おい、あそこに立ってんのはチビなガキに見えるんだが」

「そうね。十歳よ」

「「「「はぁ?」」」」


 四人ハモリきました。キリーはさらっと言ったけれど、十歳ってどういうこと? 僕より、というかこのパーティ最年少であるルナールより年下だ。本当に依頼主なの?


「本当にあの子が依頼主なんですか?」

「そうねー。クエストを出すときに提示したギルドカードも本物だったわよ」

「あれは……護衛じゃなくて子守りじゃねぇか!! 子守りなんて現状で手一杯だっての!」

「「ひどいっ!」」


 今度のハモりは僕とセラフィーナだ。子守りされてる自覚があるってことなんだよなあ……。


「ま、頑張ってねー。あなたたちなら、なんとかなるわよ。また会える日を楽しみにしてるわ!」


 キリーは気楽に手を振って見送ってくれた。僕達は仕方ないのであの十歳の依頼人のもとへ向かっていくことにした。




「おい……間近で見てもチビなガキじゃねぇか」

「ほんと……なんであたし達が子守りするの?」

「ねぇねぇ、このひとわたしよりちっさい?」

「あの、本人を前にして言うのはちょっと……」


 僕達は依頼人を取り囲んで談義し始めた。依頼人は本当に、十歳くらいの男の子だった。身なり等から見て、身分は良さそうだ。ちなみに、ルナールより小さい。


「う、う、うるさい! 僕を馬鹿にしてるのかっ!?」


 顔を真っ赤にして怒る男の子。僕達に噛み付くように怒鳴りたてる。

 その子供っぽさを見てか、さらにレイ達の熱は冷める。


「報酬はきっちり支払えるのかよ」

「何が悲しくてこんな子犬の面倒見なきゃいけないのよ……」

「ねぇねぇ、わたしより年下?」

「だから、一応依頼主さんだし……」


「金ならある! 犬って言うな! 僕は十一歳だ!」


 なんか……高慢だなあ。どっかの良い身分の生まれの子なのかな。貧乏で出稼ぎに出た貴族の子とか? 身を売られそうになって逃げたした地主の子とか? 崇められた生活に疲れて抜け出した子とか? 親に見放され放蕩生活している子とか? あれ、どっかで聞いたことあるな。

 とにかく、高飛車な雰囲気だなあ。


「ほっほら、これから数日間一緒になるんだし、仲良くしないと!」

「「「ちっ」」」


 舌打ちですか! ルナールまで! 僕のフォローぶち壊しですか!



「ぶっ、無礼な……僕は……予は、この国の第二王子だ!」


 は?




お、王子様だってぇー?!


こ、これは金をせびるチャンスではないですか!!


レイくん辺りが全力で金とりにいこうとしそうですよw



というわけで、今日はこれで。


それではっ(^^)ノシ

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