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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
マリシア滞在の章
45/84

根こそぎ…。

武器を取りに行き、やっとのことで学術都市・エレドニアへ向かう準備を終えます?w



それでは、本文をどうぞ!

Side Ray. ~レイ・サイド~


 昨日、なんだかんだで夕食まで四人並んでバルコニーでダラダラして、そんなゆっくりと流れる時間軸のままに、夜を向かえ、そして朝を迎えた。


 俺は早起きをしての早朝訓練は日課なので、早く起きるのは簡単だ。いつも通り早く起きて、三時間ほどのトレーニングを終えてから風呂に入って身を清め、軽く朝食を摂って部屋に戻る。どうせ皆も俺のトレーニングの間に朝食は終えているだろうし、別に一人で食べてしまっても問題ないだろう。



 時計は、すでに正午一時間前を指している。…………えーと? また起きられないワケ? 毎回毎回、なんで昼近くまで寝てなきゃいけないワケ? つかお前は疲れることしてねぇだろうが。

 ゆっくりまったりしたまま寝ると、次の日までゆっくりして起きられないとでも?


「おい、起きろ、ヘタレ。今日は武器取りに行く日だろうが。飛竜討伐の時のお前の報酬まで持ちださねぇと、武器代を払えねぇんだ。早く起きろ、おい、早く!」


 なんど揺すっても、なんど声をかけても、ハルは起きない。…………あぁ、この感じ、たぶんセラフィたちも起きてないんだろうな…。




 結局、セラフィとルナールも起きてなかなか起きてくることはなく、やっと起きてきたのは昼食を摂るのにちょうどいい時間帯だった。


「ん~、おなかすいたわ~。あ、レイ、みんな、おはよ」

「…おなか、すいた。…ねむい。…おはよう」

「みんなおはよー。僕もおなかすいたよ~。朝ごはんまだかな~?」


 宿の一階、カウンターにて、マスターと軽く会話しながら時間を持て余している時、やとのことで三人が起きてきた。……何故に同時に起きてくる? そして寝ぼけるな、もう昼だボケェ。


「おはよう…じゃねぇよ。お前ら……もう昼だって自覚しての言葉だろうな…?」

「ふぇ? 昼? そんなワケないじゃない。もう、レイも冗談好きね~」

「レイ、朝からそんなじょうだん、おもしろくないよ。……それとねむい」

「そうそう。それで、朝ごはんはまだかな~?」


 …………寝ぼけるのもいい加減にしてくれよ、マジで。あとルナール。どんだけ眠いワケ?


「今 は !! 昼だボケぇぇ!!!」


 すでに宿から町に出た人が多く、ほとんど誰も居ない宿の中に、俺の怒声が響き渡った。






 あれから十分ほどかけて今が昼であることを自覚させ、驚愕の表情でいる三人と共に昼食を摂り、なんとか武具屋へ向かうことが出来るようになった。


「だいたい、なんで昼まで起きられねぇんだよ。昨日は特になにもしてねぇじゃねぇかよ」

「うるさいわねぇ。いいじゃない、別に。昨日はなんかまったりしてたからしょうがないのよ」

「はっ、それでも午前中にはしっかり起きて欲しいけどな!!」

「じゃあ起こしに来ればいいじゃないの!!」


 女子の部屋に? 俺が? 起こしに? …………そりゃ無理だろ。


「お前、本気で言ってる?」

「なんで? ………あ! だ、ダメ! 入ってきたら絶対ダメなんだから!! ねっ、寝顔なんて見せられないっ!!」


 起こしに来いとか来るなとか、忙しいヤツだな…。


「つかルナール。お前も起きられなかったのか?」

「……ねむい」

「………まだ覚醒してなかったり?」

「ルナールちゃん。起きて、レイが呼んでるよー」


 ハルがルナールを揺するが、焦点の合わない目のまま歩き続けている。……大丈夫か、おい。


「…ハル、この子が転ばないように注意しとけよ」

「うん、分かった」


 …………グレアムの武具屋に着くまでに、四度ほど『バタンッ』とか『ビタンッ』とか聞こえてきたが、多分転んだわけではないだろう。そう思い込む。




「邪魔するぞ」

「おう、やっと来たか。こっちは既存の武器を軽く整備して魔力込めるだけなんだ、もっと早く様子見に来いってんだ」


 武具屋に入って出迎えるのは、前回と同じように無愛想な偏屈爺。


「あんた、もっと時間かかりそうな感じで言ってたじゃねぇかよ。こっちは次のクエストに間に合わない可能性も考えてひやひやしてたんだからな」

「てめぇはこっちの状況も考えずに次のクエスト入れてたのか! まったく、なっちゃいねぇ」


 一々文句の多いヤツだ。


「……レイも軽く文句言ってるよね?」

「テレパシー?! ってこのネタ軽く久しぶりだな??!」

「それもレイの気分とさじ加減なんじゃ…」

「うっせぇヘタレ! さっさと武器受け取るぞ!」


 ヘタレのくせに生意気言ってんじゃねぇよ。


「おう、話は済んだか? 随分にぎやかなパーティだな」

「不本意ながらな。……ちなみに、こんなのはまだまだ序の口だったりする」

「うん、そうだねぇ。特に、レイとセラちゃんの言い争いは、多発アーンド大音声だもんね。ね、ルナールちゃん」

「………ねむい」

「「「まだ寝ぼけてたっ??!」」」


 いつまで寝てんだ、おい。いい加減起きやがれ。


「………仲がいいのは結構だが、さっさと武器を渡してもいいか?」


 おう、わりぃ、グレアム。これがいつもの俺たちなんだ、許せ…。


「ああ、頼む」

「うし、じゃあちょっと待ってな」


 そう言ってグレアムは、一旦店の奥に引っ込んでいった。


「ねぇハル。あたしとレイの言い争いがうるさいだなんて言わないでよね。いつも怒鳴りあってるみたいじゃないのよ」

「へ? いつも怒鳴りあってるよ?」

「「怒鳴りあってない!! 現に今日は……」」


 ………怒鳴りあってるか。


「それがレイとセラの仲よしな証拠。でも、けんか以外で仲よくしなきゃだめなんだよ」

「「「いつの間に起きた??!」」」

「んと、さっき?」

「曖昧だな、おい」


「おう、やっと起きたか。持ってきたぜ」


 ルナールも完全に起きたところで、グレアムが店の奥から出てきた。その腕には袋が抱えられている。


「あーっと、まずはコレか」


 そう言って袋から取り出したのは、かなり短めな片手剣と盾のセットだ。盾に、片手剣を収納出来るようになっている。


「そこの茶髪。あー、ハルだったか? これがてめぇのだ。魔力を込めれば込めるだけ切れ味が増すように作ってある。刃こぼれもほとんどしねぇ。盾の防御力も一級品だ!」


 まぁ、初心者には片手剣辺りから武器に慣れさせるのは正解かもな。片手剣ならどんな状況にも対応出来るし、リーチの長い武器が必要なら盾部分に刃をしまい、シノラインの宿った長剣に取り替えればいいだけの話。無難な判断だ。


「次、これな。さっき起きたばっかの嬢ちゃんのだ」


 取り出されたのは大振りのロッド。片方の先には、大きめの珠が嵌っている。


「自分の思い通りにシールドを展開できる。見たところ、てめぇらのパーティで防御的後方支援になり得るのはルナールちゃんだけだからな……魔力を込めればシールドを任意の数、展開できるようにしておいた。もちろん、普段通りにシールドを展開するよりも消費魔力は少なく済む」


 これは、なかなか使える。ルナールほどの魔力ならば、その防御力は相当なモノになるだろう。


「で、次が……おっ、レイの想い人な嬢ちゃんかい」

「誰が想い人だボケェ!!」「れ、レイとはそんな関係じゃないもん!!」

「あ? 違うのか? 二人してお揃いのペンダント付けといて、そりゃねぇだろ」


 ぐっ……それを言われると、キツイ。………セラフィまで顔真っ赤じゃねぇかよ。


「かっはっはっ、ちょいとからかい過ぎたな。で、これがセラちゃんの武器なんだが……正直、今は渡せねぇ」


 そう言って取り出したのは、小さな筒…? 引き金がついた、変な形の筒だ。しかも二つ。


「こりゃ最先端の武器でな? 魔銃っつって、魔力を込めただけ弾を高速で放てるすげぇ小さな大砲ってトコか」


 小さな大砲って、矛盾してね? まぁ、言いたいことは分かるけど。


「つまり、威力が高すぎると。そういうワケだな?」

「まぁ、そういうことだな。だから、レイ。てめぇが持って、扱いをマスターして、んでセラちゃんに教えてやりな」

「えー、じゃあ、あたしはしばらく武器なしー?!」


 セラフィの不満そうな声が響く。……まぁ、コイツでも役に立ちたいって思ってんだろうな。


「そうなるな。……基本、戦うのは白狼(リア)なんだから、問題ないだろ」

「召喚士って聞いてたからな。それと盾もおまけしてやる。………っと、最後はレイ、てめぇのだな」


 そう言って、グレアムは袋から武器を取り出す。


「まずはこの前言ってた起爆札な。こりゃうち謹製だからな、威力は高ぇぞ」


 おう、ありがたい。んー全部で百枚くらいか? 結構用意してくれたみたいだ。


「んで、これが本命だ!」


 バンッとカウンターに武器(?)を叩きつけるが……武器には見えない。どう考えても、ただの皮製グローブ(黒)だ。しかも指先はない。


「これが、武器か?」

「おう、てめぇ、鋼糸使えるっつってたよな?」


 確かに使えるが……それがどうしたって? 


「それで?」

「これはな、鋼糸をいくらでも取り出せる武器でマジックアイテムなんだ。集中して念じるだけで必要とする分取り出せるからな。しかも! 魔力を込めれば込めるほど鋭くなり、そして耐久度も増し、魔力操作で宙に繫ぎ留めるのもかなり簡単になる優れもんだ!」

「おぉ! そりゃ助かる!」


 すげぇ。どの武器も、有能な武器ばかりだ。

 ……………気になるのは、お値段の方だが。


「値段が気になるか? そうだろうそうだろう。だがここは! なんと! ……コレくらいに負けといてやる」


 そう言って、領収書を見せてくるグレアム。

 …………………そして、全ては固まった。




 グレアムの店から出て、パーティ“アカシア”の面々は全員が顔面蒼白だ。そりゃそうだろう。なんせ…。


―――――生活費まで根こそぎ持ってかれた…。


 ははは、クエストの間、依頼人に食事も与えてもらわなきゃならねぇかもな…………笑えねぇ。



はい、お金がなくなりました。


とにかく金欠です。


“アカシア”の面々は、この先生きてゆけるのでしょうか?w



それではっ(^^)ノシ

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