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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
マリシア滞在の章
40/84

今日も僕たちは平和です。

平和な四人組の話。


それでは、本文をどうぞ!

Side Hal. ~ハル・サイド~


 僕達はただレイに連れられて町の中を歩いて回った。立ち寄った武具屋の怖そうな主人は、なんだかレイと気軽に話していたから、ふたりは知り合いなのかな?

 そのグレアムの店を出るとレイは僕達に言った。


「次はギルドでパーティー登録やら何やらするが……めんどくせえからお前らは何もすんな」

「えーっ? それどういうこと!? なんか嫌味込められてる気がするんだけど!」


 早速セラフィーナがレイの発言に食らい付く。これって、このあと僕が仲裁して二人ハモって僕のこと怒鳴り付けるんだよなあ、きっと。どうやら僕は予知能力を得たみたいです……ははは。


「お前らが手ぇ出すと余計な面倒事呼びかねないって意味だ。嫌味じゃなく素でそう思っただけだ」

「えっ? そうなの? じゃあ馬鹿にされてない……でもなんかムカつくぅ!」

「うっせえ! 厄介事じゃなくて金貨でも拾ってこいよ!」

「何よぉ!」


 ああ、そろそろ僕の出番かな……。

 不意にルナールが僕の服の裾を引っ張った。


「ん? なにルナールちゃん?」

「わたしもやってみたい」


 何を? と問う前にルナールはふたりの仲裁に入った。それ、僕の役目……。


「ふたりとも、けんかだめだお」

「「だからヘタレはっ……」」


 ヘタレはひっこんでろ! 的な台詞を放つつもりだった様子のレイとセラフィーナが停止した。


「けんかじゃないやり方で、なかよくして!」


 そうとだけ言ってルナールは満足げに頷き、ぱたぱたと僕の隣に戻ってきた。なにがやりたかったんだろう……なんでルナールさん嬉しそうなの?


「……なんか、狂うな」

「そうね……」


 不完全燃焼な様子のふたりだけど、とりあえず口喧嘩は終了したからいいか。

 今日も今日とて僕達は平和です。






 ギルド内に入る前に、「勧められてもアルコールを摂るんじゃねえよ。今度は絶ッ対に放置するからな」と、レイにキツく言われた。言われなくても、もうそんなことするわけないよ……多分。

 そして僕達はギルドに足を踏み入れた。


 この町のギルドは傭兵とか、男臭いなんて雰囲気は無く、白い壁にカウンターにと、まるで喫茶店の様な明るい空気だった。

 昼間だということもあり、店内(店?)はがらんとしていた。さっと見ただけなんだけど、カウンターの向こう側に女性が一人と、テーブル席に男性が一人居るだけだった。


「いらっしゃいなー」


 女性が僕達に声をかけた。女主人らしい。すらりと背が高く、きれいな顔立ちをしていた。


「ギルド登録とパーティー編成がしたいんだが」


 代表してレイが要件を述べる。女主人は僕達を透視するように、上から下まで眺めた。そしてため息混じりに言う。


「そんなメンバーで大丈夫?」

「大丈夫だ、問題ない」


 レイを除いた三人は(少なくとも僕は)主人の言葉に反論しようとしたが、あっさりレイが否定発言をしたので僕はどうしたらいいのかわからなくなってしまった。とりあえず、レイの背後で強く、頷いておいた。



「まあ、構わないけど。私はキリー。わかってるだろうけど、この町のギルドマスターよ。で? ギルド登録するのはだぁれ?」

「そこの女子二人だ」


 セラフィーナはキリーに向き直り、ルナールはぺこりと頭を下げた。羽織った黒いポンチョをばさばささせるのが、なんかかわいい。


「あら、そこの坊やは?」


 え、僕? 僕のことですか? レイにはちゃんとした扱いだったのに、僕は坊や扱いですか?


「ぼっ、僕は立派な傭兵です! ワイバーンだって倒しいだっ!?」


 レイの拳が僕の脳天に落下。


「何が立派な傭兵だ! くだらねぇコト自慢すんな。大体、飛竜だって殆ど俺が倒したようなもんじゃねぇか!」


 ううう……へこむ。頭は膨らむ、瘤が出来て。

 それとルナールさん? 頭撫でてくれるのは嬉しいんですが、若干手荒くて痛み増します。


「あらあら御免なさいね、立派な傭兵さん」

「こいつの事はいい。さっさと手続き済ませたいんだが」


 キリーはカウンターの奧から紙の束を引っ張りだした。あ、僕も見たことがある、ギルドの登録書だ。


「それじゃ、必要事項書いて、ここに署名して」

「他のとこは俺が書くからお前らは署名だけしておけ。余計な事はするなよ」


 はーいとうなずく女子二人。それぞれに名前を書いてもらって、後はレイがさらさらっと記入する。

 ぺらぺらと、数回確認して、レイはキリーに書類を渡す。



「はーい、オッケー。ギルド本部に登録が済むまで二、三日かかるわ。そのうちにふたりのギルドカードも発行されるはずだから、それまでこの町から出ないように。あとは、パーティーメンバーの編成ね?」






「もう、ドラゴンバスターでいいじゃない!」

「ドラゴンなんか討伐してたまるか! 却下だ!」


 ふたりのギルド登録が済むと、僕達のパーティー編成に取り掛かった。

 パーティーには形式上、名前をつけるらしく、今はそのネーミング議論が勃発していた。



「じゃあなにがいいのよー!」

「それっぽい名前で十分なんだよ! 本当、センス皆無だな」

「あたしにばっかり文句いわないでよ! ルナールはどうなの?」


 セラフィーナの振りに、ルナールはしばし考えこんだ。



「レイと楽しいなかまたち?」



 ……今日も僕達は平和です。




次回、とうとうパーティ名が明かされる!!


え? どうでもいい? まあまあ、そんなこと言わずに!



それではっ(^^)ノシ

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