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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
のんびり気ままな旅の章
36/84

一杯で泥酔? ないないない!

とりあえず、今話でミアルカンドの地を踏むことが出来そうなどたばた四人組は、果たしてこれからどうなるのか。



それでは、本文をどうぞ!

Side Hal. ~ハル・サイド~


 僕達はセインと別れ、トレスフィニアとミアルカンドとの国境に位置する関所に向かっていく。両国は比較的に友好関係にあるので、互いの国の衛兵が仲良く(?)関所を警護している。一方の国の監理課が出国許可を出し、そのままもう一方の監理課に入国許可を申請する寸法だ。

 レイは僕らより一足先に関所に話をつけ、すぐに手続きを済ませてくれた。恐ろしい入国検査とかがあるかと思ったが、すんなりミアルカンドの地を踏むことができた。こんなにあっさりした手続きでいいんだろうか。それとも、レイが何かしたのかな?




 以前レイが話してくれたが、この国にはエレドニアという都市があるという。

今回はそこを目指す旅になるらしい。ちなみにエレドニアは国の中心部に存在するので、ここから馬で数日だとか。歩いたらどれほどかかるかな……はは。

 僕は関所を出る前に衛兵さんに訊いておいた。


「あの、この先に町とかあります?」

「え? ああ、この先すぐに、小さいですが町村が点在しています。ここから一番近いところですとマリシアという町ですね。あそこの宿は評判がよろしいですよ」


 入国者に何度も同じ質問をされていたのか、衛兵は淀み無く答えてくれた。まあ、宿のことが知りたかったからいいんだけど。


「そういえば今朝も一人、入国者がありました。その方もマリシアに滞在していると思いますよ」


 ここから歩いて数十分という至近距離なので、とりあえずそこへ向かうことにした。もっとも、進行指揮は全部レイが執っているので僕達は付いていくだけなんだけどね。




「ねえー、まだー?」

「今歩き始めたばっかだろうが! その性格を直せとは言わねえが、せめて体力をつけろ、コラ!」

「うっさい! 女の子は非力なモノなのよ!」


 僕達は例によって例の如く、たらたらと歩みを進めていった。


「だから、ケンカは……」

「「ヘタレはうるさい!」」


 そしていつものように僕が被害を受ける。ルナールの前で叱咤されるのはちょっと……アレだな、なんというか、苦笑いするなあ。


「はる、また怒られてる」


 彼女は面白がっているみたいだけど。じゃあいいか。いや、いいのか? ルナールの前でいじられてるんだぞ! 脱・ヘタレはどうした! あれ、脱・お荷物だったっけ? まあいい、びしっといこう、びしっと。


「ケンカはよくないぞ、君たち!」

「は?」

「ついに……イっちゃった感じ?」


 ちっがあああう! ていうか、ふたりとも酷い!! ルナールが何かを宣告するように僕の肩に手を置き、無言で首を振った、真顔で。ち、ちっがあああう!


「どんまい」

「うん……って、へこむよおー」


 やっぱり脱・ヘタレは無理なのかな。っていうか、僕そんなにヘタレてないと思うし! それに僕は(以下自粛)

 と、まあそんなこんなで僕達は最初の町、マリシアにたどり着いた。そして僕の目標はすてきな人間になることに決まった。あ、もちろん家の為に傭兵になったことは忘れてないけどね。


「おなかすいたー」

「疲れたー」


 町に入るなり、女子ふたりが文句を言い出した。


「うっせえうっせえ。お前らは宿の部屋を取ってろ。俺は行くところがある」

「え、レイ、ギルド行くの?」

「まあ、そんなとこだ。ハル、お前も宿でこいつらのお守りしてろ」

「ちょっと! こんなヘタレにお守りされるなんて勘弁! あたしも一緒に行っていいでしょ?」


 セラフィーナが強く否定した。ぼ、僕のせい? 僕がヘタレだから?


「いや、用があるからな。おとなしくしてろ」


 言うなりレイはさっさと歩いて行ってしまった。え、僕が不満げ少女と空腹少女を連れてけっていうの?


「と、とにかく、部屋を予約しないと、ねっ!」







 この町唯一の宿、“湖の詩”は一階は酒場として、二階は宿として営業しているらしい。そして地下には温泉が湧いているということで、女子ふたりは狂喜して地下へ駆け込んでいった。


 たいして僕はすることがなく、まだ誰も居ない酒場で一人だらだらすることにした。



「よお、一杯どうだ?」


 宿の店主が僕にグラスをさしだした。


「あ、でも……」

「気にすんな、暇だからサービスしてやるさ」


 レイが言ってたもんね、酒場に来たら一杯飲むのが礼儀だって。というわけで僕もいただくことにした。


「どうも、いただきます」

「女の子ふたりも連れて、なかなかやるんだな、おまえさん」

「あっいいえ、仲間はもう一人いるんですよ」


 僕はグラスの液体をあおる。なんだ、意外と度が強くないし平気じゃん。もう一度口に含む。

 ルナール達は入浴場に立てこもっているのか、なかなか出てこない。レイも帰ってこらい。あ、帰ってこない。遅いなー。


「ふーん。そいつも女の子か?」

「ちがうろー。僕はヘタレなんかじゃないからあ……」

「あ? まさかお前、酒……」

「酔ってなんかないおー」

「酔いどれはみんなそう言うんだがな……」









「ここにちび三人が部屋を取りに来たはずなんだが」

「お、おお。こいつのツレか。わりいが、部屋まで連れていってくんねえか? たった一杯で泥酔するたぁ、思わなかったんだ」


 レイの溜め息の先には、テーブルに突っ伏す僕がいたそうです。



一杯で泥酔とか…………どんなだよw


こりゃ、次の日は二日酔いだな。てか、二日酔いにさせる!!



なんてふざけた決心をしつつ、今日はこれで終わりにしておきましょう。

それではっ(^^)ノシ

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