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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
拝まれ未知数少女の章
27/84

多少の我が侭くらい、聞いてやるよ

果たして、ルナールを仲間にするのか………レイの決断は…?


それは、本文でお確かめを。



では、どうぞ!


Side Ray. ~レイ・サイド~


 ……………とりあえず、その縋り付くような視線は止めろ、ハル。男にやられても、吐き気がするだけだ。

 俺は視線を逸らし、次にセラフィを見る。………何故にコイツも同じ視線を向ける? そんなに女一人が嫌だったか? それなら、俺たちについてくるなよ。


 確かに、俺たちのメンバーで組まれるパーティのバランスは最悪だ。新しい仲間を引き入れ、バランスを取り戻したいとも考えていた。

 と言うのも、俺たちパーティは圧倒的な前衛型パーティだからだ。


 ……まず、裏サイドのハル。ヤツはほぼ剣しかできないと言っても過言ではないのではないか。その代わり、ヤツの剣技は確実に俺を上回り、ダイナミックかつアクロバティック、そして強大な攻撃力をも秘めている。攻撃の要とも言えるだろう。


 次に俺。俺の攻撃は所謂、中距離タイプと言うヤツだ。ダガーを主武器とし、特に投げて使う場合の多い俺としてはその辺が適している。近距離、遠距離共に出来なくはないが、特化もしていない。……まぁ、奇策の提案や、隠密系統には些か自信はあるけど。


 最後にセラフィ。一見、ヤツは後方支援型に見えるが、ほとんど“非戦闘員”と言えるだろう。………それ程長くを共にしたわけではないし、あまり言いたくないが、あいつは異常に運動が出来ない……そして鈍くさい。ドジっ娘(憐)というヤツだ。ドジなのが美点でもなんでもなく、ただただ憐れなだけという恐ろしいスキルの持ち主だ。

 だが、あいつは超絶なドジで性格も最悪でありながら、れっきとした召喚士だ。今はまだ大した実力も持ち合わせていないが、その内に大成するハズ……と、俺は予想している。

………まぁ、俺の予想はともかくとして、ヤツの現在召喚できる召喚獣は、“白狼”という特異な性質を持つ大型の狼だ(セラフィの召喚する白狼・リアは幼生であり、そこまで大きいというワケではないが)。そして白狼の戦闘スタイルは、スピードを生かした近接攻撃。爪や牙による外部的損傷を与える攻撃。


 …………今までの説明で分かると思うが、俺たちは圧倒的に攻撃しか出来ないパーティだ。

剣を振り回す二重人格と白い狼が前衛で暴れ、ダガーや鋼糸などで敵に気付かれる前に攻撃する一般的にはズルいと言われてもしょうがない人間が中距離から攻撃…………あとは“非戦闘員”が後方で待機するだけ。防御のコトを全く以って何も考えていない、最悪なパーティだ。


 そこで俺は思ったわけだ。


―――――後方支援が出来る、魔法使い的な存在の仲間が欲しい、と。


 ………そこで転がってきたのが今回の話。つまり、祈祷師のルナール・ラグシェンカの旅、同行問題。聞けば、彼女はかなりの魔法の使い手だと言う。

 それはチャンスでもあり………残念ながら、最悪な展開の幕開けの可能性を秘めている。なんせ“影”のメンバーを幾人も、三年間起きる(・・・・・・)ことのない(・・・・・)状態にしてしまったのだから。

 ヤツら組織の頭は、当然にして怒り狂うだろう。こんな状況に追いやったのは誰だ、すぐに見つけ出して殺せ、と。…………おそらく、見つかることなどないだろうが、こちらには既に“影”から逃げたセラフィもいる。見つけ出されたら即アウトで、俺たちは“影”と全力で戦い抜かなければならなくなったりする。つまり、ほぼチェックメイト的状況。


 ………果たして、そんな可能性を秘めた子供を、仲間に引き入れて良いのか。


「ちょっと、さっきからなんでそんな黙り込んでんのよ! いいじゃない、別に仲間にしてあげたって。可哀想だとは思わないの? 一人旅よ? 女の子が一人で旅するのよ? そこは助けてあげるのが筋でしょうが!! 仮にもお人好しを騙るんなら、ずっとそれっぽくしてなさいよ!!」

「別にお人好しだって公言した覚えはねぇ! 第一、俺は困っているって言われると何故か身体が勝手に動きだすこの性格が大嫌いなんだ!! この性格さえなけりゃ、俺はハルもお前も助けなかったっての!!」


 ホント、こんなお荷物、なんで拾っちまったんだろうか。………いや、まぁ一緒にいれば少しは楽しいと思えなくもないと、思いこんでやってもいいが。もちろん、そんなことは口に出さねぇ。


「それなら、レイのその性格には感謝だね。そのおかげで、僕らは仲間になれたんでしょ?」


 ……ハル、お前って結構プラス思考だよな。いや、楽観的ってヤツか?

 俺の言葉の響きに、ホントは連れてこようなんて思ってなかったって感情は伝わらなかったのか? ………いや、今はそれほど嫌だとは思ってねぇけど。


「ふんっ、別にあたしはあんたたちがどうしてもって言うからついてきただけだけどね」

「ならついてくんな!」

「あら、こんなトコにレディを独り置いていくって言うの? 最悪な男ね!」

「は? レディ? どこにそんな立派な存在がいるって? お前はドジなガキでしかねぇよ!!」

「なんですってぇぇ!!!」


 ん? いつもならここでハルが止めにくるハズなんだが…。


「おい、ハル。どうした?」


 怒りを(あらわ)にして向かってくるセラフィの額を片手で押さえ、牽制しながらハルに訊ねた。


「えっ? いやぁ、ちょっと考えてて」

「何をよ?」


 セラフィ、俺に突っかかるのはやめたとはいえ、なんか言い方に棘があるぞ。とりあえず機嫌直せよ。……っと、俺が言えた義理じゃねぇか。


「あのさぁ……僕たち、勝手にルナールちゃんを同行させるかどうかって悩んでるけど、同行するしないは彼女自身が決めることなんじゃない………かな? あの、えっと、違うならそう言ってね? あ、でもでも、レイもそんなこと言いかけてたよね? ね?!」


 あのハルにしては、なかなかに鋭い。確かに、その通り。旅に出るかどうかでさえ、その少女が決めるべき問題ではないのか。………自信がなさそうなヘタレってコトには変わりないが。


「その通りかもしれねぇな。俺らが決めるコトじゃねぇ。……………おい、祈祷師(兄)、(くだん)の少女を連れてきてくれ。部屋で休ませてんだろ? 意見が聞きたい」

「別に、無理して連れて行ってくださらなくてもよろしいのですよ?」

「いや、別に無理じゃねぇよ。パーティのバランス問題と、少女を引き入れた場合の問題を考え、そこに利益を見出した結果でもある。……いいから連れてきな」


 まぁ、別に利益なんて見出せたワケじゃねぇけどな。………ただ、あいつらが……ハルとセラフィが連れていきたいと思うなら、それでもいいと思えただけだ。

 結局は、あいつらの願いは極力叶えてやりたい。特にセラフィは、未だにショックから立ち直っていないと思う。…………少しくらいはいい思いをさせてやってもいいし、我が侭も聞いてやるよ。




 ルナール・ラグシェンカという少女が来るのは、およそ三十分後だそうだ。

 果たして、彼女の意志はどちらに傾くのか。



 ―――――どちらにしても、俺は仲間二人が望む行動をしてやるか。


はい、レイくんの考察が長いですね。分かってます。


でも、レイは簡潔に語っているようで、実は色々考えていることを知ってもらいたかったのです。


ですので、これからもレイの補足説明が長引くこともあるかと思いますが、よろしくお願いします。



それではっ(^^)ノシ

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