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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
拝まれ未知数少女の章
26/84

意外とあっけなかったり

祈祷師さんと、初対面です。



それでは、本文をどうぞ!

Side Hal. ~ハル・サイド~


「あそこが、アジト?」


 僕たちは息を潜めて周囲を伺う。僕たち、というのは僕とレイ、セラフィーナで、ピーターと彼の弟ジェームズくんは屋敷に残ってもらった。

 そして僕たちは森深くに見つけたとある小屋を見張っているのだった。


「シノライン?」


 戦闘になるだろうから、シノラインを呼び出しておく。こちらから呼び掛ける時以外は、めっきり応答がなくなった。曰く、疲労しやすいので多くの休息が必要だとか。


『おうよ』

「女の子が助けを求めてる、はず。助けるでしょ?」

『そりゃ心惹かれる内容だな。で、その子は美少女か? そうじゃなかったら仕事し…』

「あっ! なんか見るからに怪しそうな人!」


 セラフィーナが小屋の近くを差す。確かに、ゴツい男が小屋目指して歩いてきた。黒いタンクトップ姿で、腕は筋肉隆々……ちょっと、ぞっとする。


『俺の発言中に口を挟むな!』

「いや、シノラインの声聞こえてないからね?」


 僕の声が聞こえたようで、セラフィーナは訝しげ、というよりも、うわー何かに取り憑かれてんのコイツという目を向けてきた。


「うわ、何。虚言癖?」

「ほっとけ。妄想癖だ」


 えっええーっ! ひどいっ、ひどすぎるよそれは。うわっ、セラちゃん、あらまあーとか溜め息つかないでよ! ねえっ!


「うるせえ。気付かれんだろが」


 あ、声に出てた? レイは構わず続ける。


「腕にタトゥーがあったな。目当てがいてもいなくても、行ってみる価値はある。いくぞ」


「ま、待ってよお! シノライン、よろしくっ!」









 ばがぁあん! シノラインが小屋の戸を蹴飛ばした音だ。


「はーい、女性の味方、シノライン・ハッカーさん、とうじょ……うおっと?」



 シノラインは蹴躓いた。何かと見ると、小屋の外で見たあの男だった。他にも、小屋の中には男達が倒れていた。出血や外傷が無いあたり、眠っているのだろうが。でも、なんで?


「……だれ?」


 目線を上げると、倒れる男たちの奥に立つ子供が目に入った。黒いローブに、同じく黒いフードを目深に被っていて顔はわからない。でも声は若い女の子のものだった。この子がルナール?

 入り口で立ち止まるシノラインをレイが押し退ける。


「邪魔だ、裏サイド」

「裏サイドじゃねぇよ! 俺はぁ」

「あなたたち、悪いひと?」



 シノラインの長くなるであろう自己紹介を遮って、少女が小首を傾げる。フードから長い黒髪がこぼれる。ついでに、シノラインが台詞を最後まで言わせろとぼやいた。


「あなたのお兄さんに言われて探しに来たんだけど……ルナール・ラグシェンカ?」


 少女はセラフィーナの問いにこっくりと頷く。フードを取ると、きれいな顔立ちが露になった。おおっ! とシノラインが反応する。


 確かに、祈祷師とかなんとかみたいな、恐ろしい様には見えない。それに、僕よりずっと年下じゃないか! しかもかわいい!



「えっ、もしかして、この人たち全部を一人で倒しちゃったわけ!?」

「うん? そうだよ。サンドマンに助けてもらったの」


 平然と言うルナール。サンドマンって……砂漠と眠りの精霊のことか。だからバタバタ倒れて寝てるんだ、この人たちは。


「俺たちの出る幕はないってか。依頼内容は妹の救出だから、この男共はほっといていいが……気に入らねぇな」


 レイが床に転がる男の腕を蹴る。そこには薔薇のタトゥーが刻っていた。ルナールはレイの顔を見つめる。


「だめ、ころすのだめ。サンドマンのせいで三年は起きてこない、はず。ころす価値ない」


 ええっ、今のセリフはいろいろとすごくありませんでした? 三年間眠ったまま? 殺す価値がない?


「お兄ちゃんのともだちなら悪いことしないはず。かえろう?」


 一緒に屋敷へ戻ろう、ということだろう。囚われた当の本人がいたって元気だし、何も気にしてないなら、まわりの人間があれこれ言うのもおかしいかな。僕たちは結局何もせず、ルナールに連れられて屋敷へ帰った。ま、妹奪還は無事成功したんだし。








「ルーナ!」


 玄関ホールにはピーターが待ち構えていた。ルナールの姿を見るとこちらへ駆けてきた。そして何もしていない僕たちにしきりに頭を下げた。


「ありがとうございました」

「あたしたちは何もしてないけどねー」







「あの、この子はまだ、何も知らないんです。自分の親のことも……。いろんなことを学んでほしいので、旅をさせたいのですが」


 それって、ルナールが旅に出るってこと? どうせなら、僕達と一緒に行こうよ。

 僕の気持ちを代弁したように、レイが言う。


「一人で外の世界に放り出していいのか?」

「……不安ですが、皆様にご迷惑はかけられません」

「仲間に魔術の使い手が居るに越したことはないんだが……まあ、俺たちではなく、彼女が決めることだけどな」


 それって、一緒に旅をするかもって可能性があるのかな? だったら嬉しいなあ!


「ね、ねえレイ、ルナールちゃんと一緒に旅、しようよ……!」


 僕は祈るような目でレイを見た――。



ハルくんに瞳を向けられたレイ。


彼はどんな決断を下すのでしょうか。


それは、また次回に…。


それではっ(^^)ノシ

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