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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
拝まれ未知数少女の章
25/84

まぁ、作戦会議でも……。

連れ去られてしまった祈祷師。


ハルとレイたちは、どのように助けるんでしょうか。



それでは、本文をどうぞ!

Side Ray. ~レイ・サイド~


 だいぶ、めんどくせぇコトになった。


 ヤツらの言う“未曾有の危機”……どうやら、祈祷師の兄貴とその手下らしき人物とでは、認識に齟齬があるようだ。

 おそらく、手下どもに知らされていた危機というのは、祈祷師による“予言”の言葉……旅の者がなにかをもたらす……この言葉によってもたらされるモノが災いとし、それを危機として俺たちに裁きを、というコトだろう。

 わざわざ“協力しろ”という言葉とともに連行されたが、おそらくヤツらの言う“協力”とは、大人しくつかまればそれが協力という形として捉えられる……という解釈で間違っていないハズ。町民が旅の俺たちと戸惑った表情で相対したのは、罪もなく裁かれる俺たちへの憐れみを込めてのコトだったんだろうか。

 そして、祈祷師の兄貴が言う“未曾有の危機”とは、祈祷師である妹が無駄に祭り上げられ、過度に期待され………そのうち何かが壊れるのを恐れたのだろう。それは、もちろん期待からの重圧に妹が負けてしまうことを考慮しているのか。


 今回の“妹を助けてくれ”…………という依頼。それはこんな状況をぶち壊せ、もしくは妹を旅に同行させろ、なんて鬱陶しいものだったのかもしれない。……まぁどの道、受けているだろうが。

 だが、弟だとか言うヤツがこの部屋に駆け込んできたことで、状況は一気に動いた。そう、祈祷師がどこぞの男どもに連れ去られてしまったのだ。文字通り、“助ける”ことになったわけだな。


 ………………で、それが超めんどくせぇ。


「おい、やっぱり、妹の救助を俺たちに依頼するつもりか?」

「うっ……探していただけるのなら、とても助かりますが…」

「はっきりしねぇな、おい。頼むなら頼むで、もっと堂々と頼み込めよ」


 しっかりしてくれよ。どうせ、この町の一番の兵力が俺たちを連行してきたヤツらだろうが。…………それで、祈祷師を組織から救助するなんて無理に等しい。


「レイ、助けてあげようよ」

「あんた、お人好しなんでしょ? 悩む必要なんてないじゃない」


 はぁ……コイツら、うっせぇ。まぁ、助けるつもりではあるけど。


「では、お願いしてもよろしいでしょうか? クエストとして、あなた方に依頼させていただき、報酬もはずみますので」

「………了解した。報酬の件については、後々俺から要求する。出来る限り応えろよ」


 俺は依頼を承諾し、祈祷師(兄)は明らかに安堵した表情を浮かべる。………それは、俺たちが“何かをもたらす旅人”だと信じ、もたらされるモノが幸福だと思い込んでいるからなのか、それとも純粋に俺たちの実力を買っているのか…。

 まぁ、おそらく前者だろう。まだ、俺たちの実力を見せたわけでもないワケだし。


「よし、そうと決まればさっそく作戦会議だね!」

「そうね! やっぱり、連れ去った男たちのアジトに特攻とかするの?」


 作戦案を全く考えつかねぇ二人が勝手に進めてんじゃねぇよ。それにアホ女、特攻なんてしたらコッチが死ぬわ。


「おい、盛り上がっているトコ悪いが、とりあえず弟くんから男たちの情報を得ておいた方がいいぞ」

「えぇ、なんでよ?」


 …………分かってない。コイツ、ホントに分かってない。


「あれじゃない? その人の体格とか聞いて、戦う時にどういう対策をするか考えるんじゃない?」


 ハル、それも間違ってる。そんなんだったら、直で見た方が有意義だろうがよ。


「あ、そっか。そういえばそうね。あんたも(たま)には役に立つじゃない」

「そう? えへへ」


 納得した?! そこ、納得するトコか??!

それとハル、お前は何故に照れる? お前、褒められてるどころか軽くけなされてるぞ?


 深い溜め息が出るのは、しょうがねぇ自然現象だろう。あ、なんか頭痛くなってきた。

 ………祈祷師(兄)も弟くんも、そろそろ困り始めているようだし、とりあえず空気を換えておこうか。そう思い、俺は懐に手を入れた…。






 パシィィンッ!!


「「いったぁい!!」」


 あ? なにしたって? ハリセンを二つ取り出して、アホ二人の上にぶち込んだだけだ。……なにか問題でも?


「なにすんのよ!!」

「うっせぇ! お前らはなんにも分かってねぇ!!」

「分かってたじゃないの!!」

「分かってねぇんだよ!!」

「「~~~~~~っ!!!」」


 コイツの睨みに、負けじと睨み返す。……………っと、こんなコトしてる場合じゃなかったな。


「はぁ……とりあえず、弟くん」

「え? あ、はい。なんですか?」


 俺が目を逸らしたことで勝ったと思ったのか、とりあえず大人しくなったセラフィをスルーして、弟くんに声をかけてみた。…………ちなみに、ヘタレは未だ痛がっている。コイツの痛覚、大丈夫か?


「とりあえず、男たちの情報を聞きたい。なんでもいいから特徴を挙げてみてくれ」

「え、えぇっと、みんな屈強そうだったけど、それ以外にはこれと言って特徴は……」


 いや、俺の予想が正しければ、そんなハズはない。


「………ふむ…そいつらの腕、そこにタトゥーはなかったか?」

「あ! そういえば、腕に変な印があった!!」

「どんな? 描いてみてくれないか?」


 俺は懐から紙と筆を取り出し、弟くんに渡した。


 …………結果、そこに書かれていたのは黒い薔薇の花に棘が絡みつく、悪趣味なタトゥー。薔薇には、暗に“秘密”という意味が込められている場合もあるという。つまりは、秘密を守らせなければいけない何かがあるというコト―――守らせなければならない秘密を持っているというコト。

さらには、タトゥーには秘密遵守の魔法が込められているハズだ。そしてそれは、それほどの魔法で管理しなければならないほどの、なかなかに大規模な組織であることも意味する。


 そこから導き出される結論は、ほとんど一つと言ってもいいかもしれない。


「ここらで一番大規模な犯罪組織…………おそらく“影”だろうな」


 そう“影”…………人身売買を主目的とする、うぜぇ組織。リディスを中心に活動し、セラフィの父親ともつながっていた組織…。


 このままでは、祈祷師とやらが奴隷になってしまうのも時間の問題かもしれないな…。


 俺の言葉を聞いて顔面蒼白になっている祈祷師(兄)と弟くんを尻目に、俺は助けに行く決意を固めていった。






「あ! 男たちの特徴を訊いたのは、どんなタトゥーをしているか気になったからなんだね! あれ? でも、これから助けに行くのとは関係ないよね? あれれ??」


 ……………………ハル。俺が特徴を訊いたのは、男たちの属する組織を断定し、その組織の場所を特定するためだ。そうでもしなければ、祈祷師の救助なんてドコ行けばいいか分からねぇだろうが。


 ………それを察することが出来ないお前は、逆に天才かもしれない。


さて、またもや奴隷商人グループの“影”ですねぇ。


大立ち回りを演じるか、それともあっけない終わり方で締めるのか。


それは次回のお楽しみ、ということで。



それではっ(^^)ノシ

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