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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
拝まれ未知数少女の章
24/84

連れ去られたっ?!

今回の面倒事の詳細が明らかに………なってくる感じです。



それでは、本文へどうぞ!

Side Hal. ~ハル・サイド~


 なっ、ななな何が起きてるの? 急に閉じ込められたと思ったら、天井爆発して(これは僕達のせいだけど)、それで今、町の人たち数十名によってどこかに連行されている。ちなみに手を縄で縛られていて、痛い。


 レイなら縛られていたって、こんなロープくらいスパッと切れるはずだけども。そうしないのには理由があるはず。……多分。そう願っておこう。








 うわー。これ、屋敷というより、宮殿とか城みたいな建物。

 そのまま僕達は開け放たれた正門から連れられて入ってゆく。でも、こんな領地に勝手に入っていいの?


「我々はルナールさまの祝福を授かっている。出入りを許された人間なのだ」


 へぇ、選ばれし者ってこと? 『ルナールさま』ってそんなに凄い人なのかな?

 庭園を横切って歩いて(歩かされて)いくと、邸宅の入り口に人が立っているのが見えた。宅内を護衛する役を務めているのか。だが、姿は一人しか見えない。たった一人でこの入り口を守るとは、無茶なことだと思うが。


「あの……あの人は?」


 僕は隣を護衛していた町人に尋ねてみた。怒られるかな、と思ったが、意外に快く教えてくれた。


「あの御方はルナールさまの兄上さまだ。この町の復活のきっかけをくださった方だ」


 あぁ、なんだ、自慢したかっただけか。でも、復活って……以前は滅びかけてたのかな?


「貴様ら!」


 え、誰の声? あ、ルナールのお兄さんって人か。なんだか若い人だ。呪術師とか魔導師とか祈祷師のお婆さん………それでそのお兄さんだから、かなり年配の人かと思ったよ。あ、てことはお兄さんより年下なんだよな。じゃあルナールってかわいい女の子なのかなぁ!


「はっ、ピーターさま!」


 この人ピーターっていうのか。僕たちよりも少し歳が上のような顔つき。体型は黒いマントのようなものを纏っていてよくわからないが、背は高い。


「こいつらが予言の者か」

「はい」


 ピーターは僕達を眺めまわす。なんだか、違和感? うまく表せないけど、町の人達とは違う空気がする、気がする。


「もう、下がってよいぞ」

「え? しかしピーターさま……」

「今からこの者達に裁きを下す。巻き添えを食らいたいのなら、中へ入っても構わないが」


 え! 僕たちが裁かれるって何で!

 しかし僕たち以上に町人たちは顔を青くしてあとずさった。ちょっと、わざとらしくない?


「ご、ご勘弁を……」

「往け」


 もはや返事もせずに、僕達を取り囲んでいた集団は一目散に門を目指して逃げていった。なんだか、見ているこっちが恐ろしくなるよ。


 そして残された僕たち三人と、祈祷師の兄ピーター。いったいなにされるんだろ……。


 レイが様子を尋ね、セラフィーナが文句を言う……前にピーターが突然叫んだ。


「失礼をいたしました! どうか、お気を荒立てないでください」


 さっきの態度とは全く別物のように、ピーターは深々と頭を下げた。どういうこと?


「なんのことだかわかんねぇが、別に俺たちはお前には怒ってねえ。さっきの手荒い奴らにはイラッとしたがな。話を聞かせてはくれないか」


 わあ! レイが自ら面倒ごとに突っ込んだ。軽く驚きー。口に出さなかった筈なのにレイが睨んできた。


「……はい」


 ピーターは丁寧に、縛られたロープを解いていった。そして屋敷の中に招き入れてくれた。






 外見に似合わず屋敷の内面は、装飾品が無く、なんだか質素な雰囲気。通された部屋も、接客のソファーに机と本棚しかないというシンプル全開。


「お掛けください」


 ピーターは席を勧め、彼は正面に座った。このもてなしぶりはなんなのだろう。落ち着いているのはレイだけで、僕とセラフィーナはそわそわしている。


「で、なんの用だ」


 レイが切り出す。ピーターは両手の指を組んで膝に乗せた。


「妹を、ルナールを救い出して頂きたい」


 ……うん?


「ルナールと私は五年ほど前に出会い、私はそれから彼女の世話をしてきました。二、三年前、この町に飢饉がありました。リディスは外交にあまり力を入れていないので商人も寄り付かない。そんな絶望的環境の中、ルナールはある才能を発揮しました。いえ、能力と言うべきでしょうか。ひとたび彼女が畑に祈りを捧げれば、枯れた作物は生命力を取り戻し、栄養失調症の子供は元気になった。それから、妹は町の人達に救世主と崇められてしまい……。そんな事は無い、と言っても受け入れてもらえずに……このような建造物を。お恥ずかしいかぎりです」


 ……すごいな。いろんな意味で。


「えっと、さっきあたしたちを捕まえた人が『未曾有の事態』とかなんとか言ってたけど、どゆこと?」


 セラフィーナが訊く。ピーターは眉間に皺を寄せた。何かゆゆしき事態でも?


「少し前から、このあたりにワイバーンが棲みつきまして。町が襲われたのは一度だけでしたが。その時はルナールが感化力を使って追い払いました。そしてその後、旅の者が何かをもたらす、と予言しました」


 それって僕たちじゃないか! もたらすものって、良いものなのか悪いものなのか……。歓迎されるものならいいな。





「あの、ルナールさんは今、どちらに?」

「この町に森が隣接しているのはご存知ですか。その森の中に湖があるんです。そこによく出かけています。今日は、私の弟も一緒です」


 森って……来るときに通ってきたところかな。湖なんて知らなかった。走って逃げてきたから気付かなかったのか。

 えっ? それって、ハイ・ワイバーンがいたんじゃあ!?


「森は危険では?」

「ルナは魔術にも精通しています。誰に教わったわけでもありませんが。町の周辺に住む魔獣くらいなら、問題はないでしょう」


 す、すごいんだな。あのワイバーンを相手にできるだなんて。どんな女の子なんだろうか。



ばたばたばたっ、バンッ!



 大きな足音とともにドアが勢いよく開く。その音に驚いてそちらを見ると、十歳くらいの男の子が息を切らせて立っていた。


「ジェーム! どうしたんだ?」


 ピーターが立ち上がる。つられて僕たちも。



「お姉ちゃんがっ、男の人に連れてかれたっ!」



細かい設定などは、レイの心の中の考察で補足しておきます。


まぁ、次回のレイ・サイドってことですね。



それではっ(^^)ノシ

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