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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
拝まれ未知数少女の章
22/84

この町、なんか暗くね?!

はい、一気に次の町であるフィナレアに到着いたしましたw


どうやら、怪しげな町のようですが…。



それでは、本文をどうぞ!


Side Hal. ~ハル・サイド~


 ふぉわあああ! なんか乗ってるよ僕! なにこれ真っ白いし! ふっさふさしてるし! がくんがくん揺れて全然わかんないけど……おおっと落ちるぅ!


 ずっと僕たちを追ってきたハイ・ワイバーンの鳴き声が遠ざかる。あ、撒けたのか? 続いてバサッバサッと翼の音が小さくなっていく。


「もう、いいだろうな」


 白狼の隣を平然と走っていたレイの声。そして流れるようだった周囲の景色が低速し、やがて停止する。ふぅー。


「……びっくりしすぎて何が起きたかわかんないんだけど、助かったの?」

「多分な」


 そう言ってレイは抱えたままだったセラフィーナを降ろす。その顔が赤いのは、頭に血が上っちゃったせいなのかな? 

 僕も担がれていた白い物体から降りる。うわ! コレ、僕、狼に乗ってたの!?

 そういえばセラフィーナが白狼とか言ってたような……初めて見た。その精悍な顔に手を伸ばす。


「これが、白狼なんだ……」

「うかつに触ると、咬まれるわよ」

「ええっ」


 僕はその言葉に、撫でようと伸ばした手をあわてて引っ込める。それを見てセラフィーナが鼻で笑う。


「ウソ」

「ええー……そういう危険系なウソは止めてよぉー」


 白狼までが鼻で笑ったように思ったのは気のせい? それにしても…。


「なんでワイバーンは逃げていったんだろ?」

「見ろ」


 レイが森の先を差す。そこには遠くにちらほら光が見える。もう次の町に着いたのかな? まあ、ずいぶん走ってきたしね。


「フィナレアね」


 セラフィーナが答える。あれ? 僕は新たな疑問をレイにぶつけてみる。


「ねえ、町があるから逃げてったの? 森を歩いてた僕たちは襲うのに、町にいる沢山の人達は襲わないの?」

「ハイ・ワイバーンは縄張り意識が強い。だから自分のテリトリーを侵したヤツを襲う。同時に他人のテリトリーは侵してはならないという考えを持っている。自分が嫌なことは相手にもしない、ってことだな」


 はわー。下手したら僕たち人間よりもしっかりした概念じゃないかな。じゃあ今回は森に入った僕たちが悪かったのか。


「そうなんだあ」

「しかもヤツは最近ここに移り住んだらしいな。この森の分布にハイ・ワイバーンなんて無かった筈だったんだが」


 レイは溜め息。そりゃ、あんなすごい飛竜がいるって知ってたら対策くらいはするよね。レイのことだから。僕なら……あはは。


「まぁ、フィナレアに着けばそれなりに休めるだろうが」

「そうでもないらしいわよ」

「え?」


 僕の疑問符にセラフィーナが解説する。


「どうも、あの町には祈祷師だか呪術師だかがいて、町内を牛耳ってるらしいの。あたしはリディスから出た事ないから詳しいことはわかんないけど」


 呪術師って……なんか怖いな。魔法使いの鷲鼻(わしばな)のおばあさん、とか真っ黒いマント翻してるイメージだけど。


「んだよ、確かなことはわかんねーのかよ。つか、そんなめんどくせぇコト知ってんなら先に言え」

「なっ、何よぉ!!」


 レイのどうでもいい言葉で、また二人に火が点く。ああ、レイも刺激しなければいいのにな……。二人の仲はわからないことだらけだよ。ついでによくハモるし。


「ほ、ほら、言い合ってないで、早く行こうよ?」

「「うるさい!!」」

「……ごめんなさい」


 あれっ何で僕謝った?






 フィナレアは僕が想像したよりは普通の町だった。あくまで僕のイメージよりマシだったというだけで、町並みはセイルスやリディスより静かで活気がなかった。ちなみに僕の想像とは、町中に魔方陣が描いてあって、昼間なのに暗い町……呪術師って、そんなイメージじゃない?


「宿を捜してから、ギルドに寄る。異論はねぇな」

「あ、僕ベッドふかふかな宿がいい!」

「ご飯が美味しいとこがいい!」


 僕とセラフィーナが提案したらレイにぎろりと睨み付けられた。なかなか怖い……狼みたいだよ。


「自分で捜せ」

「えー」


 結局、道行く人に尋ねた方がいいだろうということで、僕はそばにいた若い男を捕まえた。


「あの、ここら辺に宿とかあります?」


 相手は必要以上に驚いた顔をした。おかしな事言ったかな? それでも男は答えてくれた。


「や、宿とは……。旅の方ですか?」

「はい。三人なんですけど」

「旅人……ま、町の、この道の先にありますよ」


 この先って……町の外れじゃ? 宿は大抵、町の中心部にあるはずなのに。


「どうもありがとうございます」

「は、はい……ナイアデスのご加護があらんことを」


 なんか、怯えてた? 若い男はそそくさと僕たちから離れていった。 というか、ナイアデスって?


「町の端か。期待しないほうがいいな」

「「なんで?」」


 珍しく僕とセラフィーナが被る。一瞬顔を見合わせたが、レイに話を促す。


「どうみても、来客を歓迎してねぇだろ。普通は宿を市場の近くに置く。物を買わせるためにな」


 ふぅん。部外者はさっさと出ていけ、ってこと? ずいぶん内向的な町なんだな。

 しかしほかにあてもないので、とりあえず僕たち三人は紹介された宿へと向かうことにした。






 町の雰囲気が暗い。そもそも人があまり出歩いていない。建物なんかは、手入れされててキレイだけど。至る所に噴水があるし。

 でも、町人はこそこそとしているし、僕たちを遠目で見ては逃げるように去っていく。僕たち、ほんとに歓迎されてない?


 道を真っ直ぐ行けば宿が見付かると男は言っていたが、なんだか周囲に木が増えてきてない? 大丈夫なのかな。ちょっと不安。


「大丈夫かな……?」

「宿がみつからねえなら今日は野営だな」

「ええーっ! 女の子に野宿させる気!?」




 幸い、野宿はしなくてすみそうだった。……この小屋を宿と呼べるのなら。


「え? これ、今にも崩れ落ちそうじゃない!」


 セラフィーナの素直な感想。


「なんか……おびただしい歴史を感じるね」


 これは僕の感想。おびただしいって言葉の使い方合ってるっけ?


「……屋根があるだけマシか」


 レイは、苦い顔をして軋む扉に手を掛けた。


さて、彼らはこの町でどのような面倒事に巻き込まれるのでしょうか。


え? 面倒事に巻き込まれるのは当然なのかって?


………もちろんですよ!!


彼らは、これからも次々と面倒事に巻き込まれてゆくことでしょう♪




それではっ(^^)ノシ

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