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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
拝まれ未知数少女の章
21/84

面倒事に好かれる男

またもや、レイくんが面倒事に巻き込まれるようですよ?


すごいやべぇヤツと出くわすとか…。



それでは、本文をどうぞ!

Side Ray. ~レイ・サイド~


 くくくっ……ハル、お前を連れてきて正解だった。今回ばかりは本気でそう思ったよ。なんせ、天然で(・・・)セラフィにあんな仕打ちをしてしまうのだから!

 ホント、今まででこれほどいい気分だったコトはないのではないか………いや、それは言いすぎか。それでも、なかなかに楽しめた。


「もう! あんたも笑いすぎよ!!」


 ドゴォ! という鈍い音が。………………セラフィ。お前、不意討ち上手いな。まさか笑っている俺の腹に全力で蹴りを入れてくるとは思わなかったよ…。


「だぁぁ!! てめぇ、なにすんだボケぇぇ!! 殴られたいのか? 殴ってやろう!! 今すぐ!!!」

「うっさいわね!! あんたがあたしの不幸で大爆笑するのがいけないんでしょ?!」

「俺は、笑いたいと思えば即刻笑う主義だ! 遠慮なんてしねぇよ!!」

「少しはしなさいよ!!」


 文句が多いヤツだ。


「しねぇ!!」

「しなさい!!」

「け、ケンカは良くないと…」

「「だからヘタレは黙れ!!」」


 ん、タイミングが合うじゃねぇか。ここは、ちょっと冗談でも一つ。


「おい、セラフィ。同盟を組もう」

「? ……あぁ、いいわ。同盟の名はもちろん…」


 いきなり話題を変更した俺を少し訝しむが、すぐに俺の考えを察したようで、了承してくれた。

 そして俺たちは声を合わせる。


「「ハルを憂う会(笑)!!」」


 おぉ、シンクロ! さっきまで怒鳴り合っていたヤツと冗談が被るなんて、意外に感動。ヘタレのいじりがいの良さに共感できる人物が現れるとは。…………まぁ、普段は気に食わねぇヤツだけど。


「なんで被るの?! ねぇ、なんで被るのぉぉ!!?」

「「ヘタレ、それが真理だ(よ)」」

「二人とも、結構仲いいよね?! どんだけシンクロすれば気が済むつもりですかぁぁ!!?」


 ヘタレ、いつの間にお前はツッコミに変わった? ………ああ、俺たちがふざけすぎたのか。悪ぃ悪ぃ。まあ、謝る気なんてさらさらねぇし、これからもしっかりいじるつもりだが。


「ひ、酷いぃ!!?」

「テレパシー?!」


 っと、このくだり、何回やるつもりだよ。


「…………あんたたちも、結構仲いいわよね」


 …………なんか呆れられた。って、誰がこのヘタレと仲いいって?


「いや~、レイとセラちゃんの仲の良さにはかなわないよ?」

「「仲良くねぇ(ないわよ)!!」」

「ほらぁ、仲いいじゃん」


 …………くっ、こいつ、ヘタレのくせに生意気だな。


「あぁ、うっせぇ! 仲よくねぇよ! むしろ性格は嫌いだ!! で、さっさと旅支度済ませて、宿はチェックアウトするぞ!」


こんなトコで時間を無駄にしてる場合じゃねぇからな。さっさと次の町行こう。………そう思い、俺は二人を促してにぎやかに(不本意だったが)旅を始めることになった。

 は? 文句? あぁ、全部無視したよ。





 行き先は、フィナレアという町。選んだ理由は、リディスから近いって以外は特にない。もともと、俺は自由気ままに旅をする派だったし、ハルもセラフィも俺に着いてきているだけのようもんだ。飛竜の収入もまだ残っているわけだし、ゆっくり行こうか。近道になる森を抜けて、すぐの町まで。




 ………うん、俺はいつだって平穏でゆっくりだらだらした旅を望んでいるぞ? ただ、面倒事ってのは向こうから寄ってくるんだ。しょうがねぇ。


「なんでこんなトコにここまで上位種の魔獣がいんだよぉぉぉ!!!」


 全力で逃げてます。ハルを右肩に、セラフィを左肩に引っ掛け、魔力反射による“影走り”で真剣に、マジで、ガチで逃げてます。

 追うは、先日戦った飛竜よりさらに上位の飛竜種。通称、ハイ・ワイバーン。前回戦ったのが、ただのワイバーン………しかも軽く幼生。そんなヤツとは比べ物にならないくらい強く、とにかく速さも通常のワイバーンとは段違いなやべぇヤツ。


「グギャァアー!!」


 後ろからは、激しすぎるハイ・ワイバーンの唸り声。あぁ、コレって…。


―――――もう、詰んだんじゃね?


 いやいやいや、なんかあるハズだ! せめて、一人でも俺から下ろせれば逃げ切れる自信はあるんだ! なにかいい案があるハズだ!!



…………………………………………………………………………………………。



 いや? 思いつかねぇけど? なにか問題でも? …………大アリだっての! ってか俺、壊れすぎだろ! そりゃあ、なんの準備もナシにハイ・ワイバーン目の前にしたらこうなるかもしれねぇけど!


「おい、お前ら! お前らもなんかいい案考えろよ! 討伐なんて、準備ナシじゃあ不可能だぞ!!」


 三人寄れば文殊の知恵。とりあえず、それを実行してみることにした。………ただ、コイツらが全く役に立つことがなさそうなのは気のせいだろうか?


「ひゃあ…め~が~ま~わ~るぅ~……」

「まだ死なない、死にたくない死なない、死なないんだ、ホントにまだ僕は生きる……ぶつぶつ」


 つ、使えねぇー。………文字通り、お荷物ですか?


 …………考えろ。俺の体力が尽きる前に。なんか、この窮地を乗り切る(すべ)があるハズだ。冷静になれ。俺なら出来る。そう思い込め。無理っぽいけど、今だけはそう思い込め!


「グガァァアア!!!」


 うっせぇ! 俺の思考の邪魔すんな、ハイ・ワイバーン! ………いや、お前は飛竜(上)で充分だ!! って、こんなコト考えてる場合じゃねぇっての。


 ………俺が唯一使える魔法《死刑執行キル・エクスキュージョン》を使えば痛手を負わせることは出来るだろうが、あんな長い詠唱を逃げながらする余裕はねぇ……却下。

 ハルの裏サイドを呼び出す。だが、ヤツの走りは“影走り”を使わない俺にも劣る……却下。

 セラフィは……何が出来る? 今は目を回しているが……なんとか起こすことも出来なくもないだろう。その場合、何が出来る? コイツの出来るコト、コイツの得意分野はなんだ?


 ………………きた、閃いたよ。


 セラフィは、召喚士だ。召喚が可能なのは、白狼と呼ばれる特異な魔獣………いや、召喚獣とでも言った方がいいかもしれない。そして、白狼の一番の自慢は、そのスピードにある。では、存分にその長所を生かしてもらおうか。


「おい、セラフィ。起きろ。起きねぇと…」


 俺は耳元で囁く。


―――――キス、するぞ?


「いやぁ!! やめてぇぇ!!!」


 おぉー。なかなかの効果。………だが、ここまで効果があるとそれはそれで軽くへこむ。それが例え気に食わないヤツからの拒否でも、へこむもんはへこむ。まあ、あくまで軽く、だけどな。


「起きたか! おいっ! 死にたくねぇなら白狼を召喚しろ!」

「へ? 白狼? ………リアのコト? 分かったわ! ………でも、なんかすっごい怖いコト言われた気がするのは気のせい?」


 …………気のせいってコトにしとけ。


「今、危ねぇんだよ! 早くしろ!!」

「もう、うるさいわね……………《お願い、リア。あたしを助けて》」


 …………確かに、召喚のルーンは各々で自由だ。だが、このルーンはどうなんだ? これで、ホントに呼び出される?


「グルル…」


 おぉ! 召喚成功か。雪のように真っ白な毛を靡かせ、俺の横を並走する狼が現れた。………それにしても、ホントに“影走り”についてこれるとはな。


「グガァアアアア!!」


 ハイ・ワイバーンもそろそろうるせぇ。さっさと振り切るか。

 俺はそう思い、独り言を連発し続けるハルを白狼の背に投げて乗せ、白狼と並んで走る。そうして俺は、なんとかハイ・ワイバーンから逃げ切るのだった。




それにしても大変だったな。まあ、森を通ったせいで出くわしたんだろうが、コレはさすがにない。どんだけ運がないんだってハナシ。



 ……………面倒事に好かれているのは、やはり俺なのかもしれない、な…。




とにかく逃げましたね(笑)


おかげで、かなりの距離を数時間で駆け抜けました♪



それと、“ハルを憂う会”への参加者を募集しております(嘘)


よろしくお願いしますねw



それではっ(^^)ノシ

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