表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
拝まれ未知数少女の章
20/84

とりあえず、旅の用意でも始めましょうか。

新章、スタートです!


この章で、主要メンバーは全て揃いますね。


よろしくお願いします♪



それでは、本文をどうぞ!

Side Hal. ~ハル・サイド~


第十九話 とりあえず、旅の用意でも始めましょうか


僕の安眠は妨害されることなく、無事に朝を迎えた。まあ、夜中にハプニングが起きるなんて凄く嫌だし、僕は目覚めないだろうけど。

 静かな朝、ステキ。すっきりした目覚め、イイ。



「おはよおー、レイくん」


 レイはすでに身仕度を整えていた。僕はベッドから這い下りる。


「今日は市場で必要なものを買いそろえたらすぐに発つからな」

「ええー? もう行くの? ここの宿のベッド気持ち良かったんだけどなー」

「こんな町、さっさと出たほうがあいつのためだ」


 あ、そっか……。セラフィーナにはこの町が故郷であると同時に、辛い思い出を秘めた決別の地になる、のかな。


「早く着替えろ。んで、セラフィを起こしてこい。俺が行くと……殴られそうだからな」


 それは僕が行っても同じじゃ? とりあえず言われたままモソモソ着替え、ロングソードを背負って隣室へと向かう。


「セラちゃーん?」


 さすがに無断で扉を開けることはどうかと思い、ノックするも返事はない。鍵もかかっている。


「レイくーん。セラちゃんまだ寝てるみたい」

「しゃーねーな。ま、寝かしておくか」


 起こすのは悪いと思って、扉の隙間に置き手紙を挟んで僕たち二人は市場へ繰り出すことに。


 途中、通り掛かった領主の屋敷の前には人だかりができていた。町役人が調査に入ったようだ。子供を抱いている親の姿も、ちらほら見える。


「行くぞ」

「あっ待ってよー! ねえ……あれでよかったのかな」


 悪を罰したことは。あの子供達は幸せに暮らせるだろうか。


「子供のことなんか知ったこっちゃねえ。ただな、少なくとも一人は救えたんじゃねぇのか?」

「うん……そうだねっ」





 出歩く人の群れですぐに市場は見付かった。それなりに賑わっているようだ。見慣れない服装の商人がいるところを見ると、外交が盛んなのだろう。


「レイくんレイくん。僕こういうとこ来るの初めてだよ!」

「馬鹿か。それと、くん付けはやめろ。見下されてる気がしてならねぇ」

「ええっ! そんなつもり全然無いのに! じゃあ、なんて呼べばいい?」

「……普通に名前で呼べばいいだろ」


 へ? それって名前で呼んでいいって意味だよね。じゃあレイくんからレイって呼んでいいのかな? なんか友達みたいだ!


「じゃあ、れ、レイ? ……えへへっ。あ、レイ、僕のこともハルって呼んでよ!」

「断る!」

「ひどっ! なんでよ……」

「お前はヘタレだ。ヘタレはヘタレとしか呼べないだろ」

「ひどいぃ…」


 さりげなく三回もヘタレって言った……。傷ついたよ。さっさ、一歩踏み込んで仲良くなれたとおもったのに。


「そういうことは脱ヘタレしてから言え」

「ううーっ……」






「小麦粉と、干し肉、少しの乾燥野菜も要るかな? 他に何があれば良い?」

「……料理はできるのか?」

「あ、うん。人並みには。それに、出来合いを買うより安いからねー」


 貧乏生活の賜物ですけど。あれやこれやを切り詰めて生活してたからね。あ、これでも僕、一応貴族生まれですよ?


「あとはー、これも買おうかな」

「チョコレートに、飴玉。何に使うんだ。必要か?」

「セラちゃんにお土産だよー。……留守番させて、怒ってるかもしれないし」


 レイは溜め息で答えた。

 最低限に必要な買い出しは済ませ、お土産も持って、セラフィーナの待っている(で、あろう)宿に帰る。

 その途中、僕は気付いてしまった。




「あああっ! 間違えて“激辛塩キャラメル味キャンディー”買っちゃった!」

「はあ!? どこをどう間違えて何を買ったんだよ! しかも何味だよそれは!」


 てっきり、“桃と林檎の果肉煮込みキャンディー”を手にしたと思ってたんだけどな。甘い飴がキャラメル味でさらに塩辛いなんて、何を考えて作ったんだろう。


「返品するか」

「う、うーん。でも、これもこれで興味あるなあ」

「味覚が死んでも知らねぇからな」

「うっ、やっぱりどうしよ……わっ、何?」


 僕の悩みは、後方から聞こえてきた悲鳴に掻き消された。振り返ると、酔った赤ら顔の大男と……セラフィーナの姿。


「セラちゃん!?」

「なにやってんだあの馬鹿!」


 が、どうも泥酔した男に絡まれているだけで怪我は無さそうだ。

僕らは特に助けもせず、ちょっと離れて眺めていた。薄情だって? いやいや、助けたとしても、来るのが遅い! とか言われそうじゃない? じゃあ最初から見なかったことに、って。やっぱり薄情?


 セラフィーナが男の手を払いのけた。何か叫んでいる。すると男か顔色を変え、持っていた剣を抜き放った。


「ちょ!? なんか危ないよ!」


 タチの悪い酔っぱらいはどこにもいるけれど、どこにいても大概タチが悪い。


「どうする……? 町中だから剣も抜けないしっ」

「ハル! あの、よくわかんねぇ飴玉出しな!」

「えっ、あ、うん!」


 ほえ? いま、ハルって?


 僕は“激辛塩キャラメル味キャンディー”をレイに渡す。と、レイはそれを遠く離れた大男の大笑いしていた大口に投げ入れた。


 ジャストミート。



「!!!?」


 とたんに悶絶する男。その隙にセラフィーナが走りだす。……やっぱりあの飴、不味いんだ。


「セラちゃん!」


 叫んでセラフィーナを呼び止める。気付いたセラフィーナはこちらに駆け込んできた。

 そして開口一番…。


「遅いぃっ!」


 やっぱり怒られた。




「置き手紙してあっただろうが!」

「そんなの信じるわけないじゃない!」

「なんで信じねぇんだよ!」


 えー、僕の目の前で壮絶なケンカが繰り広げられてます。ケンカはよくないと

……思うよ。


「「うるさい!」」

「まあまあ。あ、チョコレート買ってきたよ! コレ食べて、落ち着いてよセラちゃん」


 僕は持っていた粒チョコレートを手渡す。セラフィーナはイライラしながらそれを口に投げ入れた。



「!!!?」


 セラフィーナの顔が激しく歪む。


「えっ!? あっ、ああっ!」


 そう、お分りのように、僕が手渡したのは激辛以下略だったのだ! レイの爆笑する声が聞こえる。僕はセラフィーナにバシバシ叩かれた。い、痛い……わざとじゃないよぉ!


「にゃ、にゃにほれぇ!」

「は、ハル。お前、良い仕事すんじゃねーか。くくくっ!」


 い、痛っ、痛いよ。でもレイくんが笑ってるからいっか? あれっ、僕のことハルって呼んでくれてる。いつから呼んでた? まいっか。仲良くなるのに理由は要らないし、些細なきっかけで友情は深まるものだよね!


激辛塩キャラメル味キャンディー………少し、食べてみたいかも(笑)



さて、次回で旅再開です。


またもや、波乱の予感ですよ?w



それではっ(^^)ノシ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
http://enq-maker.com/htYrz82
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ