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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
新しいお荷物、回収の章
17/84

我が狂気に身を委ねる…。

今回、少しレイくんがグロイです(汗)


と言っても、酷すぎるって程でもないと思いますが。



それでは、本文をどうぞ!

Side Ray. ~レイ・サイド~


 ……………なんで俺、こんなめんどくせぇことをやろうと思ったんだろうな…。


 カーストウッドの前から姿を消した俺は、魔法反射による反発力を用いて三十歩ほどでリディスまでの長い道のりを走りきった。町を守る衛兵に、傭兵としてのギルドカードを見せ、それによって身分を証明して町に入る………その過程ですらめんどくさく、影走りで闇に紛れ、さっさと駆け抜けてしまった。

 動くのは深夜。それまでは情報収集………なんだが。


「“影”は、思いのほか色濃いモノらしいな……」


 奴隷商人のグループである“影”……情報を集めれば集めるほど、その規模の大きさが判る。未だ、この町以外での主だった活動はしていないようだが、かなり儲けている。しかも、俺の予想が確かならば…。


―――――“影”のリーダーは、おそらくここ(リディス)の領主と内通している…。


 ここの領主であるウィリアム・アーヴィン、町での評判はすこぶる良い。先代までに築きあげられたガチガチの規則の緩和や、高過ぎる税率を標準レベルまで引き下げる政策を採り、民衆にはかなりの人気を誇っている。

 だが、ひとたび裏の人間から情報を集めると、その見解は百八十度変わってくる。全ての噂を信じるわけではないが、裏での汚れ仕事が多すぎるのだ。邪魔な人間を即処理するための暗殺ギルドを経営しているという噂もあれば、脱税などの軽めの裏仕事にも手を出すという噂まで、多様な噂が存在する。


………その中でも一際、現実味を帯びているのが“影”との関連性の噂だ。


 “影”……それは、リディスを中心に活動している奴隷商人。生活の苦しい平民、没落しそうな貴族や、ただ単に金が欲しいだけの貴族からその子供を高値で買取り、そして奴隷のオークションとでも言うべき会を開いて売りさばく……下衆なヤツらだ。

 気に食わねぇ。自分の子供を捨てるようなマネをするヤツも、それを促すようなヤツらも。………俺を捨てやがった親どもを彷彿とさせるヤツら…目障りだ。


 あとは、裏づけを取るだけだな。領主の家に忍び込む…か。








 時は夜。自身に漆黒の魔力を纏い、暗闇の中に溶け込む。目指すは領主(ワルモノ)の根城。ニヤリと笑う道化の仮面を自分の精神(ココロ)に被り、狂気に身を委ね………報復を実行する――。


 あの後、俺は領主の家に忍び込み、その中でなされる緊迫した会話に耳を澄ましていた。

 俺は隠密系のスキルが豊富にあるため、忍び込むこと自体は容易だった。そこで聞き取った情報は、俺を激怒させるのに充分だった。


……………

………


『我が娘はまだ見つからんのか!』

『す、すみません! ギルドに要請までして、探してはいるのですが…』

『これでは契約金が手に入らぬではないか! ……くっ、大事な資金源であったというに』

『“影”の方々には、どのようにお伝えすれば…』

『秘匿するに決まっておろう! なんとしてでも受け渡しの日までに見つけるのだ!!』


 これだけでも、十二分に殺すべきだと思うが、こいつらは地下に奴隷を集めてやがった。許せねぇ…。


………

……………


 生きる価値すらねぇ。たとえ悪人だと言われても、俺がこの手で…。

 俺は決意を固め、指に絡めた鋼糸(スティールストリング)を繰り、魔力によって操作して、門を守る二人の衛兵の首に巻きつけた。………悪いが死んでもらう。だが、あんたらが元賞金首で、ここの領主に罪を揉み消させた事実………それくらいの情報は、ちゃんと仕入れてるよ。


―――――俺は腕を引き、巻きつけた鋼糸によって、衛兵たちの首を刎ねた。


 …………さて、全員がグルなあんたらは皆殺しだ。奴隷商人の一団に加担するクズ共、捨てられた子供の怨念でも、その身に受けて死ね。


 ここまでくれば、隠密で暗殺なんてナマ優しい殺し方はしねぇから安心しな。俺が唯一使える魔法で……派手に始めようや。

 俺の魔力の性質は闇だ。………魔力の色も、通常“黒”と言われる魔力を持つヤツらよりも濃い……漆黒だ。それで捨てられた。“闇”は、不吉や狂気の象徴だから。買い取られることすらなかった。魔法を使えないことにしてまで、隠そうとしてたんだがなぁ。


……このモヤモヤは、派手に魔法ぶっ放さないと晴れねぇ。


《―――――我、闇に紛れし告死の執行人なり―――――》


 俺の視界に入る“黒”…………俺の魔力が表面に現れてきたようだ。


《―――――我に(あだ)なす者どもよ、その罪を今一度数えよ―――――》


 もっとだ。もっと魔力を込めろ。こんな程度じゃ、屋敷を全壊させられねぇぞ…。


《―――――汝の罪は深きモノなり。罪が赦されること(あら)ず―――――》


 身の内の狂気に意識を委ねろ。


《―――――その身が朽ち果てようと、罪消えず―――――》


 溢れ出す狂気。…………あぁ、これが“闇”だ…。


《―――――罪は多大。罰は死なり。償えずとも、汝の罪は死を以って罰とする―――――》


 …………くらえ。


「《死刑執(キル・エクス)…「待って!!」…》?!」


 俺が魔法を放つ直前のコト。やっとのことで、現実へ引き戻された。


 …………また暴走かよ。俺も、ホントにダメなヤツだ。





 狂気の端に映り、俺を現実に引き戻したのは、まるで夜空のような……綺麗な藍色の髪を持つ少女だった。





次回、狂気から引き戻されたレイと、ハルやセラフィーナたちが策を練り、愚かな領主さんたちを懲らしめることになります。


よろしくお願いしますね。



それではっ(^^)ノシ

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