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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
新しいお荷物、回収の章
15/84

めんどくせぇコトをやってやる

どうやら、新キャラが登場するようですよ。


しかも、ヒロインだったり(笑)


レイとハル、どちらのヒロインなのかは、予測してみてください☆



それでは、本文をどうぞ!

Side Ray. ~レイ・サイド~


 ……………最近、思う。面倒事を引き寄せているのはヘタレではなく、俺自身なのではないか、と。


 だってそうだろ? またもやヘタレと同じような境遇のヤツを見つけてしまったのだから。

 俺が目を向けた横道には、たくさんの狼型の魔物であるヘルハウンド数十匹と…………それから必死で逃げている少女が一人。俺たちのいるメインストリートから別れた細道を、やはり大量にかいた汗によって髪を額に張り付かせ、逃げている少女。


 結局、助けることになるのは、俺の性格ゆえのことなのだろうか。……だとしたら、やはり俺は俺の性格を怨む。迷子もまだ見つけていないというのに…………いや、外見の特徴は一致している。探し人であることを願おう…。


「うわぁ! れ、レイくん! 人が狼に襲われてる!!」

「声がでかい。ヘルハウンドに勘付かれるだろうが。………ここは、不意討ちで一気に散らす。お前は、ここに残ってな」


 そう告げ、俺は返事も聞かずに魔力球を足裏に発生させ、その場から消えるように走り去る。そして起爆札装備のダガーを取り出し……。


「果てろ…」


 ダガーを投擲した。もちろん、起爆札には込められるだけの魔力を込めて。

 一直線にヘルハウンドの群れの中心に突き刺さった俺のダガーは、その瞬間に爆発した………追う側であるヘルハウンドの命を、全て散らして。


「きゃあ! な、なにがおきたの?!」


 濃い藍色をした髪の少女は、軽く悲鳴を上げながら辺りを見渡し、ダガーを回収にきた俺と目が合った。

 …………うん、なかなかに可愛い。……じゃなくて。


「大丈夫だったか? こいつらはお前みたいなひ弱そうなヤツを襲うのが得意でな。しっかり気をつけろよ? ………つか、護衛はつけなかったのか?」

「………きゃあぁぁ! 襲われるーーー!!」


 …………は? コイツは今、なんとおっしゃった?


「助けて、そこの茶髪の人ぉ!」

「へ? えぇ?! ぼ、僕??! ……って、その人は悪い人じゃなくて…」


 ヘタレの弁明なんてまるで聞かず、その少女は走りだす。

 …………あぁ、なんかめんどくせぇ展開になってきたもんだ。やはり、面倒事を引き寄せるのは俺なのか? そうでないと言ってくれ! 誰でもいいからぁぁ!!


 ………取り乱している場合じゃねぇか。

 逃がすわけにはいかねぇよ。瞳の色まで、ギルドマスターが挙げた特徴とそのまま同じだった。それに…。


「俺から逃げられるとでも思ってんのか? 家出娘」


 俺は既に、その少女の前に立ちふさがっていた。俺のすぐ後ろには走ってきたヘタレがおり、まぁこいつもすぐに逃げることはとりあえず諦めるだろう。


 改めて見ると、やはり可愛い。俺の好みだ。……夜空を映しこんだかのように深く、濃い藍色の髪を肩甲骨の辺りまで伸ばし、まるで鏡を見ているかと錯覚するほど俺に近い色の蒼い瞳をしている。身長は……まあ、カーストウッドと同じくらいか? ちょうどよく俺の好みのタイプ………なんだが。


「なっ、なんであんたがそんなこと知ってんのよ! まさかお父様の回し者なの?! やっぱり敵じゃないの!!」


 このおそらく高飛車であろう性格、荒めの喋り方。最悪。一番、俺に合わないタイプの人種だ。


「で、でも君も帰らないと。ギルドにまで捜索依頼が出てたよ?」


 ちょうどよくヘタレが俺の隣に並び、その少女に話しかけた。いいぞ、その調子でコイツの相手をしておいてくれ。俺はもうコイツと話す気にはなれない。………深く関われば、さらに面倒事に巻き込まれそうな気がするから。


「!? あんたまでお父様の回し者だったのね? 最悪!! あっち行ってよ!!」

「いや、依頼だから…」

「依頼なんて関係ないわよ!! だいたいなに? ヘタレといきなり爆発起こす非常識があたしを連れ戻そうなんて、百年早いのよ!!!」


 ひ じ ょ う し き ? ……………なんか、コイツに言われると、すげぇむかつくんだけど。


「うっせぇ! 家出して、迷子になって、ヘルハウンドに追いかけられて、それで助けてもらったってのに文句言って、また逃げようとするようなお前よりは非常識じゃねぇよ!!」

「勝手に助けたのはそっちじゃないの!! べっ、別にあんたの助けなんかなくてもあんな狼ぐらいすぐ蹴散らすわよ!!!」


 何強がってんだか。コイツが勝てるわけないっての。


「はっ、無理だね! お前程度の魔力じゃ絶対無理だ! どうせ、魔力の質からして召喚士かなんかだろうが、一体のみの召喚が関の山だろ?!」

「そ、それは! ………そうだけど。で、でも、リアは強いんだもん!!」

「リアとか言われても知らねぇよ!! せめて種族の名前で呼べっ!!」


 ったく、何が言いたいかしっかり纏めてから話せよ。


「白狼よ!! どう? 凄すぎて声も出ない?」

「なに言ってんだか、白狼ごときでヘルハウンドの群れを潰せるかよ!」

「なによ! やってみないと分からないじゃない!!」


 と、ここで、今までオロオロしていたヘタレが口を挟むが…。


「あ、あの…! ケンカはよくないと…」

「「うっさい!!」」

「あ、はい、すいません……って、えぇ?!」


 うん、俺たちの話に口を挟むのが悪い。出直してきな。………って、え? 俺、普通にコイツと関わっちゃってる? やらかしたぁぁぁ!!!


「とにかく! お前は俺についてきてもらうぞ!!」


 気を取り直し、少女の腕を掴み、俺は歩き出す。


「ちょ、ちょっと! なにすんのよ!!」

「依頼を完遂する。お前をリディスの領主まで送り届ける。以上」

「え? え?? れ、レイくん、それは少し乱暴なんじゃ…。あの、セラフィーナさん、泣いてるよ?」


 あ? 泣いてる? そんなコトあるわけ……。


「………なに泣いてんだよ」


 本当に泣いていた。一体なにがあったってんだよ。


「だって……だってぇ!」


 泣きながら拳を固め、俺の胸をポカポカと殴ってくる。……全然痛くはないが、ひじょーに困る。俺が泣かせたみたいだろうが。


「あぁ~、レイくん、セラフィーナさん泣かせた~」

「ヘタレ! こういう時は黙れ! 使えねぇな!!」

「ひ、酷い!!?」


 あー、イラつく! コイツもずっと泣いてやがるし…。ああ、もうしょうがねぇ!


「おい、泣くな。もう手は離したぞ」

「それは関係ないの…ひっぐ…」


 意味分かんねぇよ…。まあ、殴りをやめてくれたのは進歩だが。


「ひょっとして、家に帰るのが嫌なんじゃ…」


 カーストウッドの言葉に、うんうんと頷く少女。まあ、こんな仕草はすげぇ可愛いんだがなぁ。


「はぁ、ワガママ言うなよ。いくらウザくても、捜索願いを出すくらいなんだ。お前のこと、心配してるぞ? 帰ってやれよ」

「いやっ! もうあんなトコには戻りたくない!!」


 そんなに強く否定しなくてもいいだろ…。よっぽど、嫌なコトでもあるのか?


「ねぇレイくん。こういう時って、どうすればいいの?」

「ちょっと黙ってろ、ヘタレ。今、考えを纏める」


 そう言って俺は、少女をヘタレに押し付けながら自身の意識を思考の海へ埋没させ、考える。

 コイツの身なりは、決していいモノじゃない。むしろ、一つの町の領主…その娘にあるまじき服装だ。それに加えて、荷物はゼロ。着の身着のまま、と言ったところか。…………普通、お嬢様とでも言うべき人間が家出する時、なんの用意もナシに、こんな服装で敢行するか? いや、もっとしっかり用意し、たくさんのお金を出来る限り持っていくだろう。ナニカが、おかしい。コイツの状況は、どこかがおかしい…。


 ここでふと、一つの噂が俺の頭に浮かんだ。


―――――リディスでは、“影”と呼ばれる奴隷商人が暗躍しているらしい。


 着ているものは、奴隷の服ってか? まだ新しく、奴隷として働いた経験はないだろうから……売られる直前ってトコか。依頼でギルドに出す金を惜しまなくてもいいほどに、高く売れたのか?


………いや、待て。まだ奴隷として売られると決まったわけじゃねぇ。

 俺はそう思い、一旦意識を浮上させて目を開ける。


「あ、レイくん。なんか思いついた?」


 うぉっ?! なにコイツ。なんでヘタレは頭なでてんだよ。


「あっ、ああ、この方が落ち着くかなーと思って」

「そ、そうか。………で、とりあえず訊きたいことが出来た。アーヴィン…だったな、お前に少し訊いてもいいか?」

「セラフィーナ、でいい…」


 ………さっきまでの威勢はどこに消えたんだか。


「ではセラフィーナ。………お前、荷物はどうした?」

「に、荷物? そ、そんなの持ってくるヒマ……なかったわよ」

「それじゃもう一つ。お前、“影”という単語に心当たりは?」


 俺の言葉に、びくっと震えるセラフィーナ。…………ビンゴか。めんどくせぇことになったもんだ。


「おい、カーストウッド。お前はコイツを連れて、一旦セイルスに戻れ」

「え? なんで??」

「あ? コイツ、帰らせるべきじゃなくなったし、逃がすのを手伝うのもめんどくせぇ。………“影”については、シノラインとやらに訊いときゃ分かるハズだから、それでなんとか納得しろ」


 そう言って俺は後ろを向き、リディスの方へ足を向ける。


「れ、レイくんはどうするの?!」

「逃亡の手伝いなんてめんどくせぇ。俺は関わらねぇで、旅を続ける。ここでお前ともお別れだ、じゃあな」


 足裏に魔力球を出現させることで“影走り”を発動し、今度もカーストウッドの言葉を待たずに、俺はその場から消え去った。


 …………さて、めんどくせぇコトでも、やりにいきますか。





さて、どちらのヒロインか分かりましたか?


………まだ、判断するには描写が足りませんかね。


いや、逆に分かりやすすぎなのかもしれません。


とにかく、判断材料は次回以降から徐々に出てくるハズですので、よろしくお願いします!



それではっ(^^)ノシ

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