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Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
飛竜討伐の章
12/84

限界…もう寝る。

はい、今度こそしっかりとハル・サイドです。


それでは、本文をどうぞ!

Side Hal. ~ハル・サイド~


うわー……倒しちゃった。

 目の前に転がる竜の首を見て恐ろしく思う。サイズは小さいとはいえ、それなりに壮観だ。ていうか…。


「レイくんて魔法使えたんだねー!」

「いや、あれは“魔法”じゃなくて“魔力操作”だ。魔力を放出、操作しているだけでこの世の法則を捻じ曲げているワケではないからな。……ああ、魔方陣を描く程度の知識はあるぞ? というか、魔方陣の知識には結構自信がある。だがまぁ、俺は魔法を使えねぇ設定なんだよ」

「違いが……分からないんだけど?」


 うん、さっぱり分からない。お手上げだ。………というか、“設定”って? 結局、使えるの? 使えないの?


「待て、足音が……人間か?」


 レイが僕の動きを制する。

 そのうち、僕にも聞こえる程に複数の足音と、チェーンメイルの立てる金属音

が近づいてきた。向こうも、こちらの存在に気付いたらしく、一様にどよめきが

走る。


「だ、誰かいるのかね?」


 若干恐怖に震えた声が掛けられた。そして隊長らしき人を筆頭に姿を表す。

 歩兵隊のようだ。レイの言っていた、討伐隊なのだろう。いや、まだ編成を始めようとしている段階だったはずだから、先遣隊とかかな? 数えて五、六人ってところか。


「こっ子供か!? えっ、その後ろのソレは……えっ、ええ?」


 隊長は僕たちと、その後ろに倒れている飛竜を何度も見比べた。最後に、信じ

られないという顔で僕たちを見る。


「飛竜討伐のクエストを受けただけだ。後の処理は頼む」


 レイは隊長に言い渡してさっさとその場を去る。僕もあわててそのあとを追う。


「あっ、失礼します」

「はっ、はい……ご苦労様です!」


 隊長はご丁寧に敬礼までしてくれた。森の中まで派遣されて、ご苦労様なのは

彼らだろうに。






 ギルドマスターに討伐完了を告げると、相手は驚いたように言った。


「報酬が高額なもんで、まだ今は払えない。依頼主から金を預かってねぇんだ。いや、まさかこのクエストを成功するヤツがいるとはな。明日までには用意しよう」


 結局、(僕だけ)一文無しのままギルドを出た。はあー。でもこれでなんとかやっていけそうだ。これから一人で。……一人で?

 その時前を歩いていたレイが振り返った。


「報酬を分ければ俺がお前の面倒を見るのも終わりだ。あとは勝手に生きるんだな、カーストウッド」

「あっ、う、うん……。そうだね」


 思っていたよりレイの言葉が冷たく響く。やっぱりもうサヨナラなのか……。寂しいなあ。レイは全然そう思ってなさそうだけど。


「明日の昼、このギルドの前で待ち合わせだ。来なかったら、報酬は折半しねぇからな」

「ひっ、ひどいよそれは!」


 ……寂しいなんて感情はこれっぽっちもなさそうだ。まあ、彼は僕のこと嫌がってたけどさ。僕、怒られてばっかりだったけどさあ。


「じゃあな」

「えっ、どこ行くの?」

「宿に帰る。そっちは勝手にうろついてろ、ヘタレ」

「またヘタレって言ったあ! あっ、ねえ」


 レイはもう僕に構わずスタスタ歩いていった。傾いた日差しがレイの黒衣の色をより深める。


 僕は……一緒に行こう、が言えなかった。ほんとは一緒に行こうじゃなくて、これからも一緒に居たいよ、って言いたかったのかもしれないけど。


 やがてレイのその姿が見えなくなってしまった。

 一人になった僕にシノラインが話しかけてきた。


『傭兵ってのはな、だいたい心を開いたヤツ以外とは馴れ合わねえんだよ』

「うん」


 取り敢えず僕も宿に帰ることにした。ご飯は、お金が無いので手持ちの携帯食料で済ますことに。市場には新鮮な食材があるのに、なんともせつない。


『レイってのとは縁がなかったんだよ。ほかにもお前の面倒見てくれる人間くらい、少しはいるだろ』

「そうかな?」

『それによ、前にも言ったが、なんでお前があいつにこだわるかわかんねえよ』

「それはー、うーん……いい人だから?」

『おまっ、詐欺にひっかかんじゃねーの』


 それって人を見る目がないってこと? 失礼なっ。これでも僕は……僕は、騙されたことはないんだから! 多分だけど。


 宿に帰り、自分の取った部屋のある二階へ向かう。途中、レイの部屋の前を通るのだが、嫌がるかな、とスルーした。僕も疲れていたし。

 部屋のキーをポケットからとりだす。無くすかと思っていたが、ちゃんと持ってた。よかった。


シノラインをソファーに投げる。が、もう呆れてか文句も言わなかった。不機嫌そうな唸り声は聞こえたけども。


「つかれた……。シノライン、無茶しすぎだよ。疲労するのは、僕の方なんだから」


 その時、ふっと視界が消えた。あっ、と思う間もなく目眩に襲われてベッドに伏す。限界越えてたよう……と同時に意識も吹っ飛んだ。





次回から新章に入ります。


よろしくお願いしますね♪



それでは、また次回っ(^^)ノシ

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