表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Story of one every two people ~二人で一つの物語~  作者: 柚雨&シノ
飛竜討伐の章
10/84

裏の主役は今日もノリが軽い。

えぇ~っと?


ハル・サイド……………ですよね?


いえ! 違います!! ハルくんの妄想の産物……もとい、剣に封印された魂であるシノライン様(笑)の出番のようです!!!


さて、彼はハルくんの身体を乗っ取って(笑)一体何をしでかすんでしょうか。



それでは、本文をどうぞ!

Side Hal. ~ハル・サイド…?~


 やあ初めましてそこのかわい子ちゃん。あ? 野郎は出てけよキョーミねぇし。

 俺はシノライン・ハッカー、この回にしてやっと出番を頂いた裏の主役さ!

……お呼びでない? 勝手に出てくんな? んなコトゆーなよ。今回の飛竜の討伐は俺の独壇場だしよ。まあ、あのレイってヤツがいなければの話なんだが。


 だいたいレイってヤツもどうかしてるな。お荷物(ハル)連れて狩りに行くとか、普通は自殺行為だろ。だがこの俺がついてるんだからな、五分で片をつけてやる! 五分でな。






 深い森の中はあまり日差しがささず、うっすらと寒い。といっても、夜に比べたらまだ暖かいほうだ。その中をレイに先導されてハルがついて行く。

 あの後、彼なりの素早さで身なりを整えたハルは転げながらレイと合流した。やはり、遅いと叱られたのだが。そして、西門から町外に出た。

 セイルスの西側に茂る森。これが意外と広く、その一番奥深くに、問題の竜の巣があるという。ちなみにハルはこの町の名前がセイルスだと知らず、レイに怒られていた。口を開けば相手の怒声しか誘わない、アホなやつだ。


 そんな阿呆をなんやかんやで主人と認めてしまった俺は、ハルが剣を捨てることをしないかぎり、ハルを守らなきゃならない――というのはまた別のお話。






 バサッ、バサッ


 鳥の翼の音か? にしては羽ばたきがゆっくりだが……。と思ったのちの一瞬、空が陰る。

 何事かと空を見上げたハルがあんぐりと口をあける。


「!?」

「隠れろ!」


 レイが素早くハルを木陰に押しやる。幸い、ヤツはこちらに気付いていないようだ。だが、夜でも飛ぶヤツの視力は馬鹿にならないはずだ。息を殺して通り過ぎるのを待つ。

 ヤツの姿が枝の隙間からちらりと見えた。

 トカゲのような姿形。しかし大きさは比較ならないほどの巨体。皮膜の翼が、太陽の光を遮っている。光を遮っているから、その巨体が黒く見える。実際も黒いのだろうか。


「ね、ねえレイくん……もしかしてあれが」

「今回の獲物だ」


 ひいぃぇええ、とハルが凍り付く。ったく、情けないな。こんなんでひるんでんのか。まあ、初めてなら仕方ないって? 対極的に、レイは至って焦らず、飛竜を観察している。


「想像していたものより大きくなかったな」


 レイはごく小さな声でささやいた。


「ええ! あれで小さいっていうの?!」

「黙れ、喰われたくねぇならな」


 飛竜はしばらくふたりの頭上で旋回していたが、やがて巣のある山の方へ飛んでいった。


「高度を下げてる。ヤツが地上に降り立ったところを襲う。行くぞ!」


 言うが早いが、レイは異常な速さで飛竜を追った。慌てながらハルが走りだす。ああ、反応が遅いっ!


『ハル、どけ!』


 半ば無理矢理にハルの意識を押しやって自我を割り込ませる。


「わわっ! うっ、シノライン!?」


 身体がズンと重くなる感覚。乗っ取り成功。この言い方はちょっと、好きじゃないんだが。


「よっし、ひと暴れ!」


 軽く体を慣れさせてから、前方に消えつつあるレイの姿を追いかける。なかなか動きは素早いんだな、こいつ。

 俺はレイを、レイは飛竜をひたすら追い走る。やがて頭上の飛竜がまた旋回を始めた。どうやら着陸するらしい。


「狙うぞ! 囮になれカーストウッド」

「今はハルじゃねえ、俺はシノラインだ!」


 叫び、さらに足を速める。

 そうしてたどり着いたのは、山の間にできた盆地だった。それなりに広く、まさに、降り立つにちょうど良かった。


 俺は地を蹴って飛竜の視界に飛び込んだ。ヤツは突然、面白い標的を見付けたので、方向を変えてこちらに突っ込んでくる。


「グアアアッ」


 うお、醜い鳴き声。その間にも、ぐんぐんと俺目がけて降下してくる。


 シュッ、シュッ、シュッ!

 木陰に潜んでいたレイが鈍く光るダガーを放った。


「グガーッ!」


 放った全てのダガーが命中し、ヤツは空中でバランスを崩す。墜落するかに思えたが、むしろ力強く羽ばたき、上昇していった。うっ、風圧で体が吹き飛ばされそうだ。このチビ! 筋力なし!


「逃げるか!?」

「いや、また降りるな」


 レイの読み通り、バランスを立て直し終えると、再び向かってきた。


「うおりゃ! 来るならこい!」


 俺は声を上げてヤツの気を引いた。剣を抜いて、ねらいを定める。

 ビュンッ。ダガーが宙を裂いてヤツの右翼に突き刺さる。続いて左翼に命中。


「グアッ!」


 だが裂かれた翼をものともせず、全体重をかけて俺に向かって倒れこむように突っ込んできた。寸前で大きく飛んでかわす。

 翼はもう使い物にならないだろう。これで地上戦だ。さあ、どうする?


 俺はヤツに向かって、ロングソードを振り下ろす。だが、器用に使えない翼を振り回して横にかわす。ふうむ、こんな巨体だと、どこを狙えばいいのかわからねえな。

 突然ヤツは空に向けて咆哮した。おいおい、仲間とか呼ばれちゃさすがに困るぜ? まあ、群れないのが飛竜の特徴だが。

 ヤツの頭が上に向いたのを狙い、ロングソードを脇腹に突き立てる。痛みに驚いたのか、むやみに地団駄を踏み地面を揺らす。おかげで剣が俺の手から離れてしまった。もちろん、突きたったままの俺の剣。そして丸腰の俺。


 やばくね?


 踏まれないようにタンブリングで間合いをとる。

 はてさて、どうするか。俺はわざとチャラけた目でレイを見た――。




はい、シノラインさん、何やっとん?


こりゃ、レイくんに活躍してもらうしかないんですかねぇ。


基本、レイの戦闘は罠や不意討ちによる少し“ズルイ”と言われても仕方のない戦法を用いることが多いんですが…。


ま、まぁ、なんとか討伐できるでしょう…!



というわけで、次回をお楽しみに! ………してもらえるとありがたいです(笑)


それでは、また次回っ(^^)ノシ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
http://enq-maker.com/htYrz82
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ