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復讐に取り憑かれた偽りの勇者は、もふもふ大精霊様に癒される。  作者: 赤金武蔵
第二章 偽りの勇者は助けたい

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第十五話 理不尽な

 首を傾げると、ネイが不安そうに俺の手を握った。

 おっと、ぼーっとしている場合じゃないな。

 祭りの準備で、あちこちと行き交う人たちを見る。

 みんな忙しそうだ。こんなに人も多いし、迷子になるのも仕方ないな。



「建国祭をやるんだよね。いつやるかわかる?」

「えっとね、つぎのお休みの日だから……あとみっか!」



 三日か。多分その前後の日が、一番盛大に賑わうタイミング。

 恐らく『黒の牙』も、その混乱に乗じて人を攫うかもしれない。


 今のところ、それらしい奴は見ていない。

 けど、こうしている間にも暗がりに潜み、行動している。そういう奴らなのだ、奴らは。

 ネイと話をしつつ、辺りに気を配る。


 何度か人に、孤児院をやっている教会の場所を聞くと、大通りから裏路地に入った。

 少し暗く、ジメッとしている。

 ここから先は、クロベスタの住人たちが使う通路みたいだな。明らかに観光客がいない。

 ネイは「あっ」と口を開き、目を輝かせて見上げてきた。



「ネイ、ここからわかるよ……!」

「お。じゃあ案内してくれないか?」

「うん!」



 元気になったネイが、俺の手を引いて奥に進む。

 何回か右へ左へ曲がる間、裏路地にいる人たちを見るが……なんだ? 目に光がないというか……動いて、ない? だけど死んでもいない。一点を見つめて、幸福そうな笑みでよだれを垂らしている。


 様子のおかしい彼らにネイも怖がり、握る手に力が入った。



「ネイ。この人たち、いつもこんな感じなの?」

「んーん。いつもはもっと、あいさつするよ」



 とてもそうは見えないが……。

 ポックルも怪しそうに周りを見る。何かを感じているのか、目を細めて警戒していた。


 特にこの人らが襲い掛かってくることもなく、無事に路地を抜ける。

 路地の先は広場になっていて、中央に古びた教会が佇んでいた。

 ここだけ陽光が射し、苔や蔦が煌びやかに輝いている。


 幻想的だ。少しだけ、レディアの神殿のような雰囲気を感じる。

 思わず立ち止まって教会を見上げていると、正面のドアが開き、暗い顔のシスターが出てきた。



「あ、しすたー!」

「え……ね、ネイ……? ネイっ!」



 ネイを見ると安堵の表情が零れ、シスターが走り寄る。

 ポックルごとネイを強く抱き締め、目に涙を浮かべていた。


 思った通り、ネイは教会で預かっている孤児らしい。

 教会は、身寄りのない子供たちを守るために、孤児院もやってるからな。



「あぁ、よかった……本当によかった。心配したんですよ、ネイ」

「ごめんなさい……」

「いいのです、あなたが無事なら。あぁ、これも神が見守っていてくれたおかげですね」



 手を組んで祈るシスター。敬虔な人だな。

 けど、そろそろポックルは離してくれない? あなたのそのたわわなもので、窒息しちゃいそうなので。



「あのね、しすたー。ライゼルおにーちゃんがたすけてくれたんだよ」

「ライゼル? あ……」



 シスターが俺に気付き、立ち上がって俺の手を握った。

 目に涙を浮かべ、ずずいと近付いてくる。

 近い。駄目だろう、シスターがこんな至近距離で、男に接したら。


 ……それにしても、綺麗な人だ。リビアは凛とした感じだけど、この人は優しい包容力がある。まったく別ベクトルの美しさだ。

 それに……修道服の上からでもわかるくらい、体が……とても健やかだ。

 騎士団は筋肉女子が多いから、見慣れない。ドギマギしちゃうよ。



「ライゼル様。ネイを救ってくださり、本当にありがとうございます」

「い、いえ。ひ、人として当然のことをしただけですから……!」



 顔が熱い。俺、身内以外に慣れてなさすぎだろう。

 さりげなくシスターから手を解くと、ネイの腕から逃れたポックルが、脚に猫パンチを食らわせてきた。

 ちょ、痛い。なんだよ。


 その瞬間――シスターの体から、少しだけ甘ったるい匂いが漂ってきた。

 お菓子……? いや、違うな。もっと人工的というか、違和感がある。嗅ぎなれない匂いだ。

 一歩、シスターから距離を取るが、逃がさないとでも言うように、一歩踏み出してきた。



「ライゼル様、どうか教会へ寄っていってください。ネイを助けてくださった、お礼をしたいのです」

「そ、それは……」

「お願い致します」



 胸の前で手を組み、ウルウルと目に涙を溜めた。そのせいで、大変立派なお胸が寄せられて……。



「は……はい」



 思わず、頷いてしまった。

 ネイとシスターが手を繋ぎ、教会に入っていく。その隙にポックルが頭の上に乗ると、また猫パンチを繰り出してきた。



「なんだよ」

『知らん。ムカつく』



 理不尽な。あ、いつもか。

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