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復讐に取り憑かれた偽りの勇者は、もふもふ大精霊様に癒される。  作者: 赤金武蔵
第二章 偽りの勇者は助けたい

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第十話 『絶望』

 翌朝。今日も晴天の中、人助けをするために町を歩いていた。


 既に困っている三人を助けている。やっぱり一日一善以上は、気分が良くなるなぁ。

 ……まあ大抵は大したことないけど、だからと言って断ることはできない。

 俺の出来る範囲で、なんでもやってやる。


 途中の喫茶店に立ち寄り、飲み物を注文する。

 さすがに動き回りすぎると、疲れるからな。適度な休憩は必要だ。


 外のテラスに座って、辺りを見渡す。

 やっぱりこっちの区画は、みんな顔が晴れやかだ。向こうの人たちも、いつか前向きになってくれるといいんだけど。


 風を感じつつ、目を閉じる。

 やっぱりいいな、この町は……気持ちのいい風が吹くし、天候が悪くなることも少ない。

 太陽の光も心地いいし、時間がゆっくり流れている。


 カノンに言われた通り、休みを満喫していた……その時。俺の後ろの席にいた男女から、妙な話が聞こえてきた。



「まさか、例の組織に関する情報が手に入るなんてな……」

「まだ口外禁止なんだから、黙りなさい。誰かに聞かれたら、怒られるわよ。騎士団がずっと尻尾を掴めなかった相手よ。まずは慎重に情報を集めないと」



 ……騎士団が尻尾を掴めなかった、例の組織……それって、まさか。



「なあ、お二人さん」



 思わず立ち上がり、二人の間に座った。この二人、諜報員か。振る舞いでわかる。

 一瞬怪しげな顔をされたけど、俺だとわかって慌てたように顔を青ざめた。



「げっ……⁉」

「ら……ライゼル、先輩……⁉」

「げっ、とはなんだ。げっ、とは」



 おいおい、酷いな。そんな顔をするなよ。仲間じゃないか。



「今の話、詳しく聞かせてくれ。例の組織ってなんだ? 誰かに聞かれたら怒られるくらいの機密事項なのか?」

「そ、そ、それは……」



 顔を俯かせる女と、冷や汗を流す男。ますます怪しいな。



「聞こえてきた話的に、言い出しづらいことなのはわかる。大丈夫、二人から聞いたって、誰にも言わないからさ。むしろ諜報員が口を滑らせたなんて上に知られたら、おっそろしい折檻が待ってるだろう。二人にはそんな思いをしてほしくないんだよ、俺は」



 男の肩に手を回し、できるだけ優しく声を掛ける。が、より体が震え出した。

 失礼な。別に脅してる訳じゃなくて、本心から思ってることなのに。


 出来るだけ柔和に笑うが、女が泣きそうな顔で頭を下げた。



「す、すみません、ライゼル先輩っ。か、勘弁してください……!」

「お、俺たち、この事は教官から口止めされてるんですっ。もし話したら……きょ、教官に殺される……!」



 脳裏に、教官の恐ろしい笑顔が思い浮かぶ。


 チッ。教官に口止めされてんのか……確かに、秘密保持を破ったと知られたら、間違いなく殺されるな。

 仕方ない……それなら、直接教官に聞きに行くか。

 ……本当はあんな所、立ち寄る予定じゃなかったんだけどな。



「あ~……邪魔して悪かったな。これで好きなもん食ってくれ。んじゃ、お二人さん。お幸せに」

「え⁉」

「な、ななな何言ってるんですか、先輩!」



 はっはっは。二人して顔を真っ赤にして、可愛いな。


 二人に多めの金を渡し、丁度運ばれてきた熱々のお茶を一気に飲み干す。こうしてる時間も惜しい。

 喫茶店から飛び出し、教官のいる訓練場に向かって走り出した。


 けど、気持ちは体に現れるとはよく言ったもので、足取りが重い。

 近付くに連れて、スピードが落ちていく。本当、トラウマレベルで怖いんだよ、教官。

 ……駄目だ、駄目だ。こんなことで心が折れては、勇者失格だ。しっかりしろ、俺。


 数回、軽く頬を叩き、目的地の門前に立った。

 古く、巨大な石を削って作られた門は、硬く閉ざされている。

 だが向こう側からは、悲鳴とも断末魔とも似つかない絶叫が、絶え間なく聞こえてきた。まるで地獄の門だ。


 やばい。帰りたい。逃げ出したい。

 ……でも行かなくちゃ。ここまで来て回れ右なんて、あってはならない。

 数回大きく深呼吸をして、門に手を翳す。


 けたたましい駆動音が聞こえる。

 鍵が開いたような音が聞こえ、重厚な門が左右に大きく開いた。


 門の向こうに広がる石畳の広場。そこでは、若い男女が数十人、涙と鼻水をまき散らしながら、凶悪な人影から逃げていた。



「オラオラオラァ! もっと足上げて走れ! オレから逃げきれなきゃぶっ殺すぞァ!」

「「「はっ、はいぃ!!」」」



 うわぁ……相変わらず無茶苦茶やるなぁ、あの人。

 恐怖の象徴に引いていると、一人の男性が俺の姿を見て、泣きそうな顔で助けを求めてきた。



「ら、ライゼルせんぱぁい! 助けぶげら⁉」

「余所見してんじゃねェ!」



 わ、吹っ飛んだ。大丈夫? 死んでない?

 相変わらずの容赦のなさに引いていると、ぶっ飛ばした張本人が俺に気付いた。



「ん? おー、ライゼル! 久しぶりだなぁ!」

「は、はは……ご無沙汰してます、クルス教官」



 彼女はクルス・デスペリア。

 見習い騎士団員の教官で、卒業後は絶対会いたくないトラウマ級の人だ。


 慈悲なし。容赦なし。手加減なし。ついたあだ名は『絶望』。

 当然俺も、今回の帰省で会いたくない人物断トツ一番だったんだけど……あ、やば、脚が竦む。

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