表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/84

ツッコミ 79 〜全てがそこにある〜

「あー、くそ。訳が分からない」


 頭をガシガシと掻いてみたものの、気分は晴れることはなさそうだった。身代金が要求され、何処かに囚われているかと思われたリティの夫。しかし、彼の無事は船員によって確認されていた。


 乗客の安全確認は、人が船外に落下した恐れがあるとされたことから始まったものだ。だからこうしてリティの部屋のバルコニーからメモが発見されるまでに、そこまでの時間はかかっていない。果たして、彼は何処にいたのか。ボク達はそれを船長に問い掛けた。


 答えは、船員が直接会って無事を確認した。どの船員かは分からない。といったものだった。


「誘拐犯は、人質を連れて歩き回っている、ということなのかな?」


 シュラナの問い掛けに、ボクとカナネは答えられない。そうなると、あのメモが記された紙はただの悪戯だったことになる。


「でも、無事は確認されていても夫の居場所は未だに不明。何処で無事を確認したのかも明らかになっていない。正直、訳が分からない」


 ボクはもう一度繰り返した。船内を調べようと通路を進むが、いったい何処を調べたものか。


「誘拐されたのか、されていないのか。その事実ですら分かっていませんもんね」

「そうなると、その無事を確認した船員っていうのが怪しく思えてくるよ。猫を追い掛けていたのもその人で、ティアマトだった」


 ボクの考えに、二人は難色を示す。


「最後の意見は、時系列がちょっと違うよね。ティアマトが船を出ていった方が先で、落下事件、誘拐事件の方が後」

「それに船長が情報を集約していたところを見ると、報告に来た船員に怪しい人物は居なかったということになります。不審な行動をしていたら、それが分かるはずですし」

「じゃあ、船長が怪しい」

「船の動力は船長がいることによって発揮します。船長が偽物だったら、そもそもこの船は動いていません」


 そういう情報は先に言ってよ、と口を尖らせた。


「誰も怪しくない、か」

「ん? シュラナ、なにか気になることがあるの?」

「いや、なんでもない。まだ、いまいち分かってないだけ。それより、そろそろ食事にしても良いんじゃないかな。お腹を満たせば頭も働く、かも」

「あー、そう言えばお腹が空いてきた、かも? ドタバタ続きで、お昼のことなんて頭になかったよ」

「では、食堂で見張っているのはどうでしょうか。食事ができる場所は限られていますから、もしかしたら、お腹をすかせた旦那さんが、ひょっこり現れるかもしれません」


 そんな馬鹿な、と笑いながらも、闇雲に探し回るよりはマシだと、ボク達は進路を食堂へと向けた。


「そう言えば、コンパスはどうなってる?」

「えっと、……あら? けっこう揺れてますよ。左右に」

「本当だ。じゃあ、示している場所が複数ある、ということかな」

「あー、そんな気がするね。このコンパスを手に入れた場所と、石板を手に入れた場所は違うし、コンパスもその二つを示しているのかも」

「そうすると、分かりやすい目安は地図から消えた場所、ですね」


 ボク達は結局、消えたものを探そうとしている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ