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ツッコミ 73 〜こうして、捜索が始まった〜

 巨人の存在は、ボク以外にも多くの人が認識したらしかった。おまけに通路での戦闘に気が付いた人もいたようで、デッキに出て海や空を眺める人、レーザーの後を見学に来る人が後を絶たなかった。


「なるほど、ね。その赤い服の女がこの船で何をしていたのか、調べる必要があるね」


 船長の部屋に関係者、というか、ボク達と船長を集め、事の経緯を説明した。シュラナの発言はそれを受けてのものであったが、それに反論をする者は当然いなかった。


「どのタイミングで乗ったのか、というのは、調べられますか?」


 カナネの問いに、船長は難しい顔をする。


「難しいな。貨物に関してはリストによって管理されているが、人に関してはそこまで厳重に管理しているわけではないんだ。あくまでこの船は貨物用であって、乗せる人はそれなりに信頼の置ける人に限られているのだから」

「余計な詮索は信頼の敵、ですね。となると、その赤い服の女はそれなりの身分の人なのか、それとも、無断で乗船していたのか」

「猫は、あいつから逃げていったのかな?」

「それなら、追いかけて外に出ても気もします。それでも船内に留まったのだとしたら、やっぱり何か目的があったとしか」


 謎の人物だけに、その目的がわからなければ、全てのことが線へと繋がることはないのだろう。ティアマトと言う存在も、まだまだ知らないことが多すぎる。


「ねぇ、シュラナ。ボクのティアマトは部屋で大人しくしてた?」

「ああ。……別のティアマトに反応してた、なんてことはない」


 突然暴れ出す、なんて恐れは無さそうなのだろうか。自分の体であったものが、ちょっと信じられなくなってきた。あの赤い服の女――、もう一人のティアマトは、一体どういった存在なのだろうか。


 これ以上は話し合うこともないだろうと、ボク達は船内を探索してみることにした。船長は、この騒動を収めるために何らかの措置を取るようだ。


「巨人の伝説、思わぬところで裏付けられましたね」


 カナネの言葉に、ボクとシュラナは頷いた。


「北の大山、地獄の大穴、波の山脈、だっけ? その三カ所が主な目撃場所だと聞いたけど、別の個体ってケースはなさそうかな」

「移動していた、と考えていいかもね。あの後、消えたんだっけ?」

「そう。景色に溶け込むように消えていった」


 ジャケットの下から現れた砲塔を見るに、光学迷彩だと言われても信じてしまうかもしれない。このファンタジーな世界から、だいぶかけ離れたような近代的な要素。いや、未来的か。なるほど、それが宇宙人だと言われても納得してしまいそうだ。


「宇宙人の定番な目的と言えば、侵略ですよね」

「あ、やっぱりカナネもそう思う? ボクも、それぐらいしかないよなぁ、って思う」


 モンスターを使っての世界征服。パッと思い付くのはそれくらいだろう。けれど、モンスターが現れてからかなりの時が流れている。侵略としたら、かなり悠長だと思えるのだけど……。


「侵略だとしたら、戦争が起こっているときに漁夫の利を狙えばよかったんじゃないかな」


 そう、シュラナの言うそこもポイントだ。ティアマトがこの世界の侵略を望んでいるものだとして、モンスターがその手先だとして、あの戦争は世に出る大きなタイミングだったと思う。


 でもまぁ、そのタイミングでも遅すぎると思うけど。


「ひとまず、目の前のことからやっていこう。僕としては、少し気になるところがあるんだけど」

「なんです?」

「フロロって奴、本当に実在するんだよね?」


 ……。


「存在します。サーカス団だって、確かにあります」

「でも、ここに居るフロロがそのサーカス団の団長でもあると、ここに居ても証明できる?」

「……シュラナは、フロロが入れ替わられていた、って言いたいの?」

「その可能性も考えられるって話。疑い出すとキリがないからね。巨人の話をしたのも、怪しく思えてしまうし」


 まぁ、確かに、疑おうとすればいくらでも疑えるか。


「そうなると、フロロさんは今この船に居ないことになりますよね」

「ちゃんと居るなら、疑いは晴れる」

「イベントの終わりを待つのも手だけど、それが時間稼ぎだったら最悪だよね」


 なんて、そんなボクの考えを下にすれば、すべてはもう、手の平の上なのだろう。もしくは、もうこの船ですることは終わっているのか、諦めたのか。

 

 目的も分からず、何かを探そうというのだから、一つくらい目標があってもいい。そう結論付けて、ボク達は船内で行われているイベントに、真剣に向き合ってみることにした。

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