表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

70/74

ツッコミ 69 〜巨人の話〜

 ちょっとした手違いのようなもので、ボク達の部屋に現れたフロロ。サーカス団の団長をしており、今回、ちょっとしたイベントのために、怪盗役をしているらしい。


 バルコニーから現れたという衝撃と、しばしの間、この部屋で身を潜めるという本来のシナリオから、少しの間、気不味い空気が部屋の中を包み込んだ。


 ――何か話したほうがいいのかな?


 シュラナがボク達に視線を向けるけれど、正直、初対面の人に対して空気を和ませるような話題を提供できる力は、ボクにない。そして、それはシュラナも同様だ。


 縋るように、二人でカナネに視線を向けた。


「フロローム、というサーカス団は、私も知っています。一度、観客案内のアルバイトをしたことがあるんですよ」

「おぉ、そうでしたか。サーカスのテントは暗かったり狭かったりとで色々ありまして、ギルドを通して応援を頼むこともあるんですよ」

「ええ。私もそれで参加しました。しかし、その団長が、このようなイベントを担当するとは思いませんでした」

「そうかな? 基本的にサーカスのほうは、優秀な人材がいるから、それだけで回していける。むしろ、指示を出すやつがいては邪魔なくらいだ。だから、こういう時に私が出張るのです」


 そういうものなのかぁ。と、ボクは納得しながら聞いていた。


「確かに、私もその時の公演――、演目のなかで団長様のお姿をあまり見かけませんでました。司会をしていらっしゃいませんでした?」

「ええ、していました。優秀な若手に追いやられてしまいましてなぁ。はは、こう見えてナイフを投げては百発百中と謳われたのですよ」

「この船でのイベントで、それが見れたりするんですか?」

「それは、秘密ということで」


 言葉遣いが変わったのは、警戒が解けたからだろうか。カナネの中で、逃げた猫の件と彼はリンクしなかったのかもしれない。


「世界を股にかけている、と聞きましたけど、その中で巨人の伝説なんて、聞いていらっしゃったりしません? 私達、興味本位で調べているのです」

「あぁ、それはあれだろう? この大陸は巨人が履いたブーツだと。私も気になって、調べ見たことがある。ローカルな伝説などを交えて話すと、受けが良いからね」


 あれは確か――、と思い出すように語られていく。


 大陸が巨人の履いたブーツていうのは、あくまでも伝説のことであり、むしろ、この大陸で巨人を目撃した、という口伝の方が多かったそうだ。


 それは戦争よりもはるかに前のことで、モンスターの発生から暫く経ってからのことだったらしい。


「主に目撃談があるのは、三カ所。北の大山。地獄の谷底。波の山脈。その付近で語られていたかな。北の大山に関しては、いつの間にかブーツを履いた伝説が飲み込んでいったようだが」

「北の大山というのは、私たちも登ったあの山です」


 カナネがボク達に分かるように教えてくれる。


 地獄の谷底というのは隕石によって作られた大きな谷で、まるで底なし沼のように、近くの川から流れ込んだ水が泥を作っているらしい。


 そして波の山脈。これも隕石の落下の衝撃によって生まれた山脈らしく、船を飲み込むような大きな波に似た形をしているそうだ。


「どの土地も、隕石に縁があるんですね」

「そう。それが不思議なところだよね。地中に眠っていた巨人が、隕石によって目を覚ました、なんて説もあったようだよ」


 ……それって、秘宝の隠し場所にも関係があったりするのだろうか。


「ねぇ、シュラナ。北西大陸にもそういう伝説はないの?」

「分からないなぁ。部族によって伝わっている伝説も違うからね。うちの部族だと、海の底に楽園がある、とか」

「お、君は北西大陸の出身かね? その伝説も聞いたことがあるよ。なんでも、隕石に乗った宇宙人が、海底に住むようになった、なんて説もあるね」

「じゃあ、シュラナも宇宙人の血を引いているかもね」

「そういうキアも、宇宙人みたいなものじゃないのか?」


 ……あ、そう言えば、モンスターは隕石と共に来た、なんて話もあるんだっけ。


「……すみませんが、話はひとまずここまで。上の階に人が集まりだして、この階の人出も少なくなるでしょう。今のうちに、他の場所へ身を隠させてもらいます」

「あ、はい。では、次は私達も、あなたを見つけられるように努力しますね」

「ええ。再会を楽しみにしています」


 そう言って、彼はドアから出ていった。


「きゃぁぁぁっ!? 怪しい人が!?」


 早速見つかってるじゃん! と、ボク達は声を揃えて突っ込んだ。あの人、本当にすごい人なの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ