ツッコミ 62 〜都市伝説〜
「半魚人伝説?」
このワードを入手したのは、山から北の方へ行ったところにある、大きな町でのことだった。
海に近く、港もあることから海運の要所として知られ、大陸を周遊する観光用の大型船も泊まっている。大陸中央部へ行くにも、南西の端に行くにも、海から行ったほうが早いため、さまざまな地域から観光客や商人がやってきているようだった。
人が集まる場所には、情報も集まる。そう判断したボク達は、二日ほどかけてここまでやってきた。途中、宿泊施設などがあったところを見ると、やはり、山までの道程は観光かされているのだろう。それくらい、人が多い。
騎士団から紹介を受けたホテルにて、ボク達は情報収集の成果を発表しあっていた。
半魚人伝説というのは、カナネとルートのコンビが仕入れてきた情報だ。
「そうなんです。なんでも、山の西側の湾で、かつて半魚人が出没していたそうです。野生の動物を海の中に引きずり込む怪物で、ペットを連れた人も、襲われたとか」
「もしも本当にいたら、俺が囮になれるかもな!」
なんてことを言うルートだけど、彼はある意味動物とは違うものになっているので、囮になるかどうかは未知数だ。
「もしかしたら、ルートと同じ存在を作ろうとしていたのかもね」
シュラナの言葉に、ボク達は頷いた。山に入り口があった研究所でも、異様な変化を見せた動物がいた。そして、ルートもその研究所により、魔法を使え、また喋ることが可能になった節がある。
「ただ、一つ問題があるんです」
「それは?」
「地理的な問題です。山から湾までは、イーチの村との距離より少し遠いくらいです。そんな近くに、別の研究所を作るかどうか。それに、あの地下空間もなかなか広いものでしたし」
なるほど、ボク達が見つけた研究所の別の出入り口が、湾の方にあった。そう考えることも出来るのか。
「それでも気になる情報なのは確かだし、距離的にはそう遠くないから、一度行ってみても良いかもね」
その言葉で、次はボクとシュラナのコンビの発表だ。
「僕達も、ある伝説を聞いたんだ。この大陸、見方によってはブーツのように見えるだろ? それは、巨人が履いていたものが大陸となった、なんて話があるそうだよ」
研究所を暗示するような情報ではなかったけど、なかなか面白い伝説だと思ったのだ。
「それ、神様のことを示す伝説ではないんだよね。ボク的には、世界の創造と神様っていうのはリンクしていそうに感じるけれど、ここで出てくるのは巨人。となると、ブーツと言う表現になるのに、なにか根拠があると思うんだ」
「何らかの要因が、ブーツというものを連想させている、ということですか?」
「足跡でもあったのかよー」
「そっちではなく、履けるって事からの連想かな。それだけ空洞がある大陸、って事を暗示しているのではないかと」
なるほど、と猫が鳴いた。シュラナは自信満々にこう言った。
「カナネの話ともリンクしてくるし、地底人の話ともリンクしてくる。洞窟などの地下空間を、かつて目撃した人がいたということだ」
それがいつの時代かは分からないが、戦争よりも古いものだとしても、その地下空間を利用して研究所を作り出した可能性も考えられる。
そして――。
「ついでに、秘宝の方も洞窟に関連していたよね。そういう類を調べていくのが、一つの指標になると思うんだ」
その言葉を締めくくりに、発表会はお開きとなった。
今後は地下空間の在り処を探すために、町での聞き込みをするか、湾の方へ行くかの選択となるだろう。少なくとも、ボクは観光をしたい気分になっているのだけど。




