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ツッコミ 61 〜祝勝会は次への会議〜

「それでは――」


 カンパーイ! と、それぞれの声が響き渡る。拠点としている五合目の宿にて、ささやかな祝勝会が開かれた。メインディッシュはピザであり、料理人の腕が光る、薄くモチモチとした生地は軽くも食べ応えがあり満足感がたまらない。


 ベーコンの塩気と甘み、チーズのコク、トマト酸味が生地を咀嚼するごとに口の中で暴れまわり、一つとなって体の中に染みていく感覚は、後から襲う果実感をより感じされる爽やかなレモンのサワーを、向かい入れるための準備とも言えるだろう。


「シェフを呼んで!」

「もう帰ったよ。何時だと思ってるんだ」


 とまぁ、実際に祝勝会が始まったのは比較的遅い時間で、いつもの料理人は、準備が終わったら早々に引き上げてしまっていた。就労時間はきっちり守るタイプらしい。弟子も同じく。


 その間、ボク達は何をしていたのかと言うと……。


「いやー、色々と試着をしていたら、思いの外時間がかかっちゃったからねぇ」

「キア様、どんな服も似合うんですよー。もう、着せるのが楽しくて」


 二手に分かれて休憩を楽しんだのだけど、登山を楽しんだシュラナとルートとは違い、ボクはカナネと共にショッピングを楽しんだ。


 買ったのは主に服であり、どんなものが似合うだろう、と様々な服を試着したものだ。もはや、そんな人相になったのだから、かつて男だったとかは言いっこなし。似合うがままに、サイズが合えばどんなものでも試着した。


 その結果、選んだのは動きやすさも考えたもの。


 少しダボッとしたカーゴパンツに、首元のゆったりとしたTシャツ。キャミソールのようにした葉っぱがチラリと見えるのがアクセントだ。


「ねぇ、これも可愛いでしょ?」

「はいはい。ピザみたいで可愛いよ」


 ……褒め言葉なのかどうか、かなり微妙なラインだ。


「チーズが髭につくー」

「あー、今拭きますから、顔を振らないでください」


 椅子の上でのたうち回るルートを、カナネが介抱する。もう少し細かく切り分けたほうが良かっただろうか。ティアマトの蔓をナイフとフォークに変化させて、専用に切り分けておく。


「操作にも慣れてきたみたいだね」

「うん。まぁね。戦力も増えた感じで、次の秘宝獲得も楽になったんじゃないかなぁ」

「次、かぁ。調査隊が来るまでに活動できる猶予は……、あと二週間くらいか」

「地図上の変化で、此処から近いものってあったっけ」


 手についた粉をはたき落として、荷物の中から地図を取り出してくる。その間に、シュラナが広げるためのスペースを開けておいてくれた。


「一番近いのは、あの湖でしたよね?」


 カナネの記憶の通り、それに間違いはない。北西大陸に四つ、南東大陸に三つの変化が確認できるから、ギリギリ探索に向かえるとすれば……。


「南東大陸にある三つの変化は、北、中央、南に分けられるね」


 シュラナが地図を指差して、場所を確認する。今いる場所は北の外れとも言える場所であるから、南側へは到底行けない。中央にしたって、地図上に変化が見えるのは海を越えた島にある。向かうのは難しいかもしれない。


「でも、大陸の中央まで行くとなると、二週間はギリギリですよ? あの馬であるから、ギリギリです。そこに船を加えたとしたら、先ず間に合いません」

「だとすると、あまりこの近辺から動かないほうがよさそうだね」

「でも、二週間もダラダラ過ごすのは、暇だぞー?」

「ルートに同意。やっぱりさ、何かしらしたくない?」


 ただ待っているだけなのは性に合わない。それは、ボク達一同、同じ思いだった。


「でも、秘宝を探すのは流石に無理だろうし……、あ! 地底人!」


 カナネの声に、ボク達は同じように首を傾げた。


「地底人ですよ。ほら、研究所を見つける手がかりになったでしょう? どうせすることがないのですし、地底人とか、そういう怪しいものを探してみませんか?」

「面白そうだな! 高速で走るババアとか、いるかも知れねーし」

「それを見つけて、ルートはどうする気?」

「心を折る」


 レース漫画かよ。


「それしか、ないかな。もしかしたら、あのネズミみたいに強敵と出会えるかもしれないし」

「今度こそ、勝てるといいね」

「あぁ。絶対に心を折ってやる」


 ……武闘派って、そういうものなの? 相手が泣くまで殴るのを止めなかったりするの?


「これで私達が新しい研究所を見つけたら、調査団も右往左往としてしまうかもしれませんね」


 そういうのを笑顔で言うのは止めようか。裏がなさそうなところが、一番厄介さを感じてしまうから。


「こほん。それはともかく、次の目標も決まったということで。……今日は飲み明かそう!」

「おー! あははっ! ルートさん歯がチーズだらけですよー!」

「磨いて、早く磨いて」

「ピザの耳だけ食いたい。キア、耳をくれないか」

「やだよー。ボクだって好きだもの」


 そうして、夜は更けていく。翌日は、ただただ休息に当てることとなった。 

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