ツッコミ 59 〜決着〜
ミミズの口から発射されるメンチカツを打ち返して、ミミズにダメージを与える。様々な攻撃を試した結果、それが攻略法であると断定された。
ルート、シュラナの攻撃では、一切ダメージを与えられなかったことから、やはりメンチカツでしかありえない。そう思われていたのだけど、それを確かめる道のりは、果てしないものだった。
「ルート! 魔法で打ち返せないの?」
「切ったり浮いたりするのが限度だ!」
「シュラナは?」
「切ったり壊したりするのが限度だ!」
何故、どちらも切るのがマストなのだろう。葉っぱを刀にすることがあるボクは、それに対して特にツッコむことはしなかった。
カナネに関しては……。
「あ、石を二つ同時押しすると、メンチカツではなくコロッケを産み出すみたいですね」
という新たな発見と役目を担ってくれたので、バッターに任命することは出来なかった。
つまり、必然的にメンチカツを打ち返すバッターは、僕しかいないということになる。だがボクには野球経験がない。構えもかなりへっぴり腰だし、スイングの段階ではどうしても目を瞑ってしまう。
「シュラナは野球をやったことある?」
「……野球ってあれだろ? 硬い木材で猛獣の頭をかち割る競技」
どんだけ戦闘民族しているんだよ。
「ルートが魔法でバットを浮かせて振るうとか」
「猫の手を借りて成功することなんて、ないと思うけどな」
ご尤も。あ、そう言えば、ご尤も漢字って犬に似ているよね。……という現実逃避。
「やはり、やはりボクが打たなくてはならないのか。もしかしたら、もしかしたら神様が、ボクに眠れる野球の才能をサービスしてくれている可能性を信じて!」
二回同じ言葉をいう時は、お察しの通りバラエティーをするときである。
そうして、ボクはもう一度構える。ミミズの身体は大部分天井から這い出してきていて、このままでは天井を這い回ったり、水中に逃げ込んだりと、なんだか面倒な状況になるかもしれない。
先ずは、これでダメージが与えられるかを確かめなければならない。
第二打席。
まぁ、打てるはずがないんだよね。だって目を瞑ってしまうんだから。ボールは怖い。小中高と、サッカーボールを顔面で受け止めてきたボール恐怖症は伊達ではないのだ。
「どうしよう! 打てない!」
「ティアマトの蔓をバットにしたり、ネットのようにしたりして打ち返せばいいと思いますよ」
……。
「カナネ、もっと早く言ってよ」
「私、努力は応援したいタイプなんです」
「嘘だ! 絶対に面白がってた!」
「違います。可愛いなぁ、と愛でていたのです」
その言葉に違いはありますか? ボクは、違いの分からないモンスターです。
ともあれ、そうしてミミズにダメージを与えられることを確認し、何度目かの打ち返しにより、倒すことに成功したのだ。
討伐した証なのか、光の粒となって消えていくミミズ。それをボク達は満足そうに見つめていた。
「一つだけ試していなかったことがあるのですけど、コロッケや壁を利用して、メンチカツを跳ね返したりは出来なかったんですかね? 動き回るコロッケは、メンチカツを跳ね返すとか、こう、ピンボールみたいな」
……それが正攻法では?




