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ツッコミ 54 〜隠し扉を開けたらそこは……進化の入り口!?〜

 チーズによって、壁を動かす。その試みは正解であり、見事、新たな道を切り開くことに成功した。


 割れたコロッケからチーズを取り出して壁に貼り付け、それを取手にするなどという謎の仕掛けに、ボク達はすっかり脱力していた。敵として登場するコロッケも、大して強くないのも要因だろう。


 つまり、ボク達はすっかり油断していたのだ。


 壁の向こうへと進み、しばらく経った頃……、それは急に現れた。


「うわぁぁぁ!?」

「キア様がコッペパンに齧られてますーっ!?」


 地面から急に現れたコッペパンに、下半身が食べられるというとんでもないアクシデントに襲われたのである!


「え、どういう状況? これ、どういう状況?」


 慌てるボクは。


「蔓を伸ばして攻撃すれば良いんじゃないかな」


 冷静なシュラナに助けられる。そうだ、よく考えれば、食べられているのは植物の部分。だから、カナネは齧られている、と表現したのだ。そして、その部分であるなら、自由に蔓を伸ばすことができる。


 つまり、口を閉じていられないほどに、蔓を纏わせて肥大化させれば良いというわけだ。


「ならば! 喰らえ、全方向蔓アタック!」


 僕の攻撃。コッペパンは動じない。


「蔓が伸ばせないんですけど」

「そのパンが動きを封じているんじゃねーの」


 冷静そうに言いながらも、ルートは必死に風を起こしてコッペパンを攻撃している。けれど、コッペパンはその柔らかな身体で攻撃をすべて吸収しているようで、まったく動じることはない。


「幻想晴れる晴天の如き絢爛な業火――、魔法剣、天火炎炎斬(てんかえんえんざん)

「熱い熱い熱い! 飛び火がこっちに飛んでるから!」

「わ、悪い! 焦って火力が強すぎた!」


 ボクはコロッケパンのキャベツかよ!


 と言うことで、シュラナが振るった炎を纏った剣は、コッペパンへ命中したものの、やはり動じた様子は見られない。どことなく感じるのは、これは倒すべき敵、と言うよりは、動きを封じるギミック、と言ったところだろうか。


「カナネ、周囲になんかない? これを解除できる何かが、あると思うんだけど」

「えっと……、あ! 石をはめ込めるような窪みが、壁にありました! 四つ!」

「……四つ?」

「……はい。四つ」


 ……一つ足りなーい!?


「仕方がない。これ以上、キアに危害が加わるようではないのなら、僕たちだけで石の探索に行こう」

「そうだなぁ。カナネ、箱開け頼むぞー」

「え、二人とも置いていくきなの!? せめて誰か一人残ってよ! 寂しいよ!」

「一人を残したら、カナネにもしものことがあったら大変だろ? その点、キアならまだ戦える手段がある」


 反論できねぇ。


「ごめんなさい、キア様。私が戦えないばっかりに」

「いや、むしろ、この罠にかかったのがボクで良かったくらいだよ。もしもカナネが食べられたら、石を集めるどころじゃなかったしね」

「……キュン、ってしました」


 吊り橋効果を感じている場合じゃないから。


 そう、だから、これで良かったのだ。……そんな格好いいことを言いながら、ボクは上空から迫る存在を、視界には入れないようにした。


「キア、頭上からコロッケが迫っているのに、良いことを言うじゃないか」

「見て見ぬふりをしていたのに! 感動している暇があったら、早く行ってくれないかな!?」


 タイムリミットのつもりなのか、刻一刻とコロッケサンドが完成しようとしているのだ。さっさと最後の一つを見つけてきてほしい。


「俺、石を見つけてきたらお前の蜜を飲むんだ」

「不穏なことを言ってないで、さっさと行けよこの猫!」


 言葉が荒くなっているのは、ちょっぴり不安だからです。


 そうして三人を見送ったのだけど、流石に待っている間が暇すぎる。なので、なんとか一人でこの状況を打破できないか試しているのだけど……。


 先ず、上から迫っているコロッケは、破壊できない。葉っぱを剣にしても切れないし、ハンマーにしても潰れない。銃にしたって撃ち抜けないのだから、本当にどうしようもないのだと思う。


 次に、コッペパン。やはり攻撃は一切効かず、身を捩ってもピクリとも動かない。動け、動けよ、今動かなかったらコロッケパンになるかもしれないんだぞ? そんな必死な思いで、精一杯に身を捩る。コッペパンに手を置いて、精一杯に身を捩る。


 その時――。


 ズルッ、という擬音が鳴りそうなくらいの勢いで、ボクの身体が回転した。


「……花の部分から体が抜けたんですけど!?」


 それはまるで、ネジを外すかのごとく、人間のような下半身が現れた。

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