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ツッコミ 52 〜お約束その2〜

 風の流れる通りに進み、その後、いくつかの分かれ道を探索したものの、未だに石は三つしか集まっていない。ここまで、箱を開けること六回。


 四人の心の中にある考えは、遅く一致していた。


「そろそろ、罠とかありそうな気配がしない?」

「それ、フラグって言うんだろ、キア」


 そだよー。と笑いながら頷くけれど、カナネが入念に箱を調べているのだから、怪しい箱を開く、なんてことはしないだろう。今までの箱だって、そうだった。


 魔法的な罠にはどこかしらに印があるそうだから、隅々まで調べれば手がかりは見つかるらしいし、機械仕掛けのものならば、持ち上げようとしたときにどこにより重さを感じるかで、なんとなく分かるのだそう。


「ボクは、カナネがそのフラグをへし折ってくれるって信じてる!」

「キア様、そういうのもフラグですよ? 信じてもらえるのは嬉しいですけど、世の中には絶対なんてないのです。いくら実力があったとしても、不測の事態は、必ずあるのですから」


 自分で実力があるって言っちゃうんだ。


「でも、良くそういうのが分かるなぁ、って感心してしまうよ。どこかで習ったのかい?」

「ギルドでよく、講習会が開かれているんです。シュラナさんは参加したことないんですか?」

「人がいっぱいいるところは、なんだか気持ち悪くなってくるから」


 とてもシンパシー。おまけに、周りが盛り上がっているのに比例して、どんどん調子が悪くなるんだよね。そして、一人になると落ち着く。あの手のものって、外から眺めているのが丁度いいのだ。


 ……なんて思いを、この世界で変えていけたらいいなって思う。そして、シュラナを引っ張ってやるんだ。


「魔族の少数部族の方だと、そう言った事が多いですよね」

「慣れてないからねぇ。家屋の中に大勢の人が集まるのってキアはどう?」

「周りはすべて、植物だと思うようにしている」

「それって同族では?」


 カナネのツッコミが鋭い。


「なぁ、それより、その箱には異常はないのか?」


 箱よりも奥の空間を探索していた、ルートが戻ってきた。この分かれ道で唯一怪しかったのは、その一点だろう。


 他の分かれ道は、箱の辺りで行き止まりであった。けれど此処においては先へと続いているのだから、奥にも何かがあるのではないか、と。


「はい、何も異常はありません。箱の中は……。あ! また石がありますよ。これで四つ目……。あれ、これ、持ったら崩れた?」

「いや、それは怪しすぎじゃないか!?」


 シュラナの言葉に、ボクも同意するように頷いた。ルートだって、不安そうな鳴き声をあげている。


「ルート、奥に何かあったの?」


 気になって問い掛けてみると……。


「大っきな岩があった」


 おう……。


「ちょっとずつ、転がってた」


 えぇ……。


「箱に異常があって、それ以上触らなければいいのかと思ったけど、そうじゃねーみたいだな」


 つまり……。


「それは逃げたほうが良いということではっ!?」


 弾かれたように、一斉に来た道を戻るように駆け出した。直後、その動きを察したかのように、大きな音が響き渡る。


「岩がスピードアップしたみたい! 岩がスピードアップしたみたい!」

「キア! 二回言わなくても分かってるから!」


 だって、バラエティーの基本かと思ったから!


「失敗した、失敗しましたー! そもそも、この分かれ道に入ったのが失敗だったんですよ!」


 ほら、カナネも二回言う。


「でも、それだと対処法がないんじゃないか?」

「……コロッケの中のチーズが粘着性で、それを地面に置いておけば、岩を固定できたのかも」


 という、個人の感想です。


「コロッケを放置したキアが悪い」


 言いがかりも甚だしい!


「そう言うシュラナが、岩を両断すれば良いじゃない」

「失敗したら怖いじゃないか! それに、切って直ぐに止まるわけじゃないだろう? 僕は剣一筋なんだ。こういうマッスルは苦手なんだよ!」

「お前の魔剣で止められるだろー」


 ルート、その考えはナイスだ!


「台詞を発する余裕がない!」

「詠唱破棄とか、格好いいと思うけど!」

「僕の趣味には合わないな!」


 頑固者め!


「で、ではっ、ルートさんの、魔法で、なんとか!」


 息も絶え絶えなカナネの提案に、ルートは無情な一言を浴びせる。


「あんまり風を起こすと、頼りにしている風の流れを乱すことになるけど、良いか?」

「それは駄目ーっ!」


 となると、後はボクの出番ということか。


「じゃあ、ボクが蔓をネットのように張り巡らせて、あの岩を止める」

「出来るのか!?」

「ふっ。トロッコだって止めたんだから、あれくらい出来るでしょ」


 為せば成る、為さねばならぬ何事も! その精神で、ボクは蔓を操ってネットを作る。そして、それはしっかりと岩を包み込んで……。


「あばばばばばっ!?」


 触れると電撃とか聞いてないよー!?


「キア!? 待ってろ、今、蔓を切ってやるか――、あばばばばばっ!?」

「剣を通してシュラナさんも痺れてますー!?」


 結局、ルートが魔法で蔓を切断して助けてくれた。蔓のおかげで岩も止まったし、結果オーライと言いたいところだけど……。


「あぁ、ルートさんの言った通り、風が起こる間隔が変わってる。待ち時間が増えると、襲われる回数も増えるんですよねー」

「でもカナネ、今までは基本的に一本道だったでしょ? それなら風を読まなくたって進めるでしょー」


 と言うのが、正解のフラグ。

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