ツッコミ 47 〜現れる湖〜
新車の公開をしよう。
などと言う、動画配信サイトにありがちな紹介を披露するほど、馬車の内装は変わっていない。変化が分かりやすいのは、御者台から内部に入る際に、階段二段分の段差が生まれたことか。それに伴って、車体の高さも変化している。
イメージとしては、底部から後方にかけてが旗状に切り離されて、二つの馬車に分離される感じ。フォークリフトの形をイメージすることも出来るだろうか。前後を逆にして、トラックのように活用する、というわけだ。
側面に設置された、切り離された上部に取り付けるための車輪も、なんだかお洒落に感じられる。
二頭の馬の走りも軽快で、モンスターであるが故か、ルートとの仲もいい。彼らの背を、ぴょんぴょんと飛び跳ねて渡る遊びが大変気に入っているようだ。
乗り心地も良く、うたた寝だって出来そうだ。村までの一日。海までの一日。計二日を使った旅も、快適と言えるものだった。これで最後になれば、との思いで海水採取し、村に戻って木の虚に注ぐ。
快適ではあったものの、手順に関しては不満も多く、それ故疲れも出始めている。ボク達は、何の感動もなく、その作業に徹していた。
そして――、葉っぱが頂点まで、赤く染まっていく。変化は、直ぐに現れた。
「見ろ! 湖が!」
村の直ぐ近くまで、風に揺れる水面が迫っていた。今まで見ていた景色が嘘のように、草原は湖に埋まってしまった。
騒ぎ立てる村人達をよそに、ボク達は湖に近寄り、その水を手で救ってみる。ルートは豪快に、顔を突っ込むようにして舌をつけて飲んでいるが、今のところ、何が異常があるわけではないらしい。
「どう、ルート。なんか特殊な感じがする?」
「しない。普通の水。なぁ、洞窟から取った水、まだ残ってたっけ?」
念の為予備として残していたと、カナネが馬車まで取りに行った。それをルートがペロペロと舐める。
「味が違う」
「では、この水を持っていれば洞窟を進める、というわけではないのか?」
シュラナが疑問を呈するが、その間にも村の騒ぎは大きくなっているため、事情の説明のためにカナネとシュラナが村に残り、ボクとルートで湖を調べることになった。
湖は広く、その縁の全容を見通すことは出来ない。端のほうがゆらゆらと、蜃気楼のように霞んでいるからだろうか。徒歩で巡るのはなかなか時間がかかるだろうが、そこまで苦にはならないはず。感覚的には、山中湖くらいだろうか。半日もかければ、調査と合わせても充分に回れるだろう。
「歩いてみる?」
「だなー、泳いでもいいけど、何かがいたら怖い。先ずは、回って変化を確かめた方がいいな」
そういう生物調査は、水を抜いて確かめるのがいいのだろうけど、今回は順番が逆になっている。何もない頃は、どうやら何も居ないようだった。果たして、水と共に何かが現れる、というようなことが起こるのか否か。
花弁に飛び乗るルートと共に、ボクはのんびりと、それこそ散歩をする気分で歩き出す。一先ず、魚を発見できたら、それは確実に怪しいのだろう。




